『嵐はなぜ最強のエンタメ集団になったか』先行公開PART.8

嵐はいかにしてバラエティ番組で活躍の場を拡げたか サブカル期から王道への移行期の足跡を辿る

<嵐の王道への移行期>

 『Cの嵐!』『Dの嵐!』『Gの嵐!』の後、最終系として時間帯を1時間ほど早めてスタートした『嵐の宿題くん』(06年)。これは、小倉智昭を司会者に据え、毎回ゲストを招いて、そのゲストのイメージなどを視聴者に「宿題」として出したうえで、トークをする視聴者参加型のバラエティだった。
小倉智昭が加わったこと、ゲストを迎えることなどで、安定感はあるものの、「普通のバラエティになってしまった」という落胆の声もある一方で、同時期、「嵐」的なものを受け継いでいたのは、フジテレビの土曜昼の『まごまご嵐』(05年)である。

 嵐のメンバーのうち二人が老夫婦のもとを訪れ、1日だけ孫になるという内容だが、これぞ嵐以外では成立しえない企画だと思う。なにせ、おばあちゃんの手伝いをする優等生の櫻井や、おじいちゃんと意気投合して遊ぶ無邪気な相葉、転がってゲームばかりやっている二宮など、それぞれにキャラが異なりつつも、醸し出すリアル「お孫」感は尋常じゃない。嵐の作りこまない「素」の魅力を引き出すキーワードとして、「孫」という設定を考えたスタッフはお見事としか言いようがない企画だった。(続きは書籍で)

(文=田幸和歌子)

■書籍情報
『嵐はなぜ史上最強のエンタメ集団になったか』
リアルサウンド編集部・篇
価格:¥ 1,500(+税)
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内容紹介:ごく普通の青年たちがエンタメ界のトップに君臨したのはなぜか? 音楽性、演技・バラエティ、キャラクター、パフォーマンス…… 時代が嵐を求めた理由を、4つの視点から読み解いた最強の嵐本! 嵐の音楽はポップ・ミュージックとしてどんな可能性を持っている? 現代思想で読み解く各メンバーのキャラクターとは? 嵐ドラマは00年代の情景をどう描いてきた? 青井サンマ、柴那典、関修、田幸和歌子、成馬零一、矢野利裕など、気鋭の評論家・ライターが“エンターテイナーとしての嵐”を語り尽くす。総合音楽情報サイト『リアルサウンド』から生まれた、まったく新しい嵐エンタメ読本。

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