『すべてのJ-POPはパクリである』インタビュー(後編)

ホルモンとももクロの共通点とは? マキタスポーツが「人気曲の構造」を分析

既成の音楽業界への危機感

――今のアイドル、ジャニーズが王道をひた走る現在については?

マキタ:とにかく、経済が厳しい時代じゃないですか、みんな財布のひもが固いし、中途半端な人にお金も払わない。だから余裕が見えるような表現ってダメで、サービスを徹底しているものが生き残っているだけだと思います。

 そのサービスを徹底しているのが、アイドルであり、ジャニーズであり、ビジュアル系なのではないでしょうか。逆に、サービスの出来ない人、従来のアーティスト型の人たちってどうするんだろうって思うんですよね。

――表現者としての欲求が強すぎるがゆえに、サービスをしない人とか?

マキタ:厳しいでしょうね。昔は、のちに「アーティスト志向」という風に分類される方も、テレビの歌番組に出なければいけなかった時代じゃないですか。でも今はそうしなくてもよくなっている。愛のない人たちに出会わなくてもよくなっていて、同人たちのところ、小さい商いでやっていければいいっていう根性でやってるミュージシャンが多い。でもそんな環境では、なかなかスターって生まれてこないと思うんですよね。

 だから、既成の音楽業界には、僕は期待をしていなくて。今までの音楽畑とは違うライン、例えばボカロPとかが、爆発的に売れてたとして、そこから今の音楽業界を変えてくれればと思うんです。

 音楽業界のプロパー的な感じで、ブロイラー化された音楽業界からは、面白いミュージシャンは一切出てこないですよ。

「ヴィジュアル系」は一つのビジネスモデル

――ボーカロイド以外に、既存の仕組みから外れたものがあるとすれば?

マキタ:ヴィジュアル系はシーンが出来ていて、閉鎖的ではあるんですけど、必ず越境者が出てきます。例えばゴールデンボンバーなんかもそう。ヴィジュアルシーンの閉鎖性が嫌だから、ヴィジュアル系バンドとはほとんど交わってないんですよね。でもヴィジュアル畑から一応出てきて、芸能界のど真ん中にいった。この感じって、見ていて痛快だなって思うんですよね。彼らの凄さって、鬼龍院翔君がNSCに通っていたエピソードなんかにも顕著に表れていて。お笑い芸人を目指して入学したけど、1年ですっぱりやめているんです。どうも話を聞くと、「お笑いは面白くなかった。お笑い自体の頭打ち感を感じた」とか。そういう「音楽は好きだけど音楽業界はつまらん、でも創作活動は続けたい」って思うやつが、自分たちでシーンを形成して、そこからマーケットを拡大させれるようにならないと、中々面白いことはできないのではないでしょうか。

 かつてのHi-STANDARDがシーンを牽引して作っていったようなことをやらないと、面白いものなんて生まれづらいなって思うんですよね。

 日本の音楽シーンは、もうしばらくアイドル、ジャニーズが制圧していると思います。それは彼ら、彼女らが「お客様本位の本丸」であって、それをずっと続けてきた人だから。その信用度って、限りなくディズニーランドに近いものを感じます。

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