アイドル戦国時代はすでに終了 BABYMETALら次世代の新たな戦略とは?

――次世代アイドルの中で岡島さんが特に注目しているグループは?

岡島 まずはBABYMETAL。彼女たちはメタルとアイドルを融合しているんですけど、大御所アーティストが多数在籍しているアミューズに所属しているので、スキームがしっかりとできていて、ものすごく本格的。ちゃんとお金をかけて作りこんでいるんですね。たとえばあるCDには昔、すこし流行ったCDエキストラが入っているんですよ。パソコンに入れるとちょっとした動画が観れたりするヤツですね。そういうところまで抜け目なく作っているんです。また、メタルとは言っても、X JAPANのような、すでに世間に浸透しているバンドの潮流までを含めた意味でのメタルだから、実は多くのひとに刺さることをやっているんです。NHKホールや幕張メッセでのライブも決まっていて、どんどん規模が拡大していっています。

「- メギツネ – MEGITSUNE」BABYMETAL『メギツネ』収録

 あとはライムベリー。彼女たちはアイドルラップユニットなんですけど、歌唱法としてラップを取り入れているので、あえてヒップホップとは言っていません。ヒップホップというと少しマニアックなイメージもありますが、ラップ自体はJ-POPではすでに十分浸透しています。しかし、実は彼女たちがルーツにしているのは90年代の伝説的なヒップホップイベントである「さんピンCAMP」。日本語ラップを作り上げた先人たちへリスペクトを感じさせます。「mass 対 core」にオマージュを捧げた「まず太鼓」という曲をやっていたり、ジャケットアートワークにファミコンやフィギュアの写真が散りばめられていたりと、ヒップホップ好きの層だけでなく、他のカルチャーが好きな層も思わずニヤリとするような小技が効いています。トラックもポップに洗練されていて、すごくいいんですよね。

「SUPERMCZTOKYO」ライムベリー『SUPERMCZTOKYO』収録

 戦略という観点で面白いのは、おはガールちゅ!ちゅ!ちゅ!。テレビ東京がやっている「おはスタ」のアイドルグループなんですけど、彼女たちはメディア発のアイドルでありながら、最近主流であるボトムアップ型アイドルの手法も取り入れているんです。つまり、ももクロやPerfumeのようにライブの現場から徐々にのし上がってメディアに取り上げられるのではなく、すでにメディアに出ているにも関わらず、ライブもがんがんやってファンを獲得しているんです。上と下から同時に攻めていくイメージですね。また「おーはー」って今や誰もが知っているフレーズですが、あれの正統な後継者って彼女たちだけなんですよね。今本物の「おはガール」って彼女たちだけなんで。そういったキャッチ―な”武器”を持っている点においても強い。さくら学院みたいに、期限付きの活動であることを感じさせるのも、刹那的で良いです。

「夏サンキュ!!!」おはガールちゅ!ちゅ!ちゅ!『夏サンキュ!!!』収録

――なるほど、グループそれぞれに強い特色がありますね。まさに”アイドル戦国時代”といった印象を受けますが……。

岡島 メディアをやっているひとは”アイドル戦国時代”ってフレーズを乱発しがちですが、既に終わっていると思っています。『グループアイドル進化論』の中でTOKYO IDOL FESTIVALとアイドリング!!!の(元)プロデューサーの門澤さんにインタビューをしているんですが、門澤さんはそこでアイドルについて「多様性の時代」という言葉を使われています。僕も「メディア/アイドル ミュージアム」の年表で使わせて頂きましたが、今は「アイドル多様性時代」に突入していると感じています。誰も必要以上に負けなくていい、いろんなアイドルがそれぞれ活躍してればいいんじゃないかと。個性的なグループがたくさんあって、それらが共栄共存できるのが一番理想的ですよね。
中編:「モーニング娘。の逆襲が始まった ハロプロ勢が再評価される理由」に続く
(取材・文=マツタヒロノリ)

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