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アニメ版『舟を編む』は“男の友情”が見どころ? ノイタミナ枠、原作アレンジの上手さを読む

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 現在、フジテレビのノイタミナ枠で放送中のアニメ『舟を編む』。映画化もされた三浦しをんの大ヒット小説を原作とし、原作ファンはもちろん、アニメファンからも大きな注目を集めている。ノイタミナでは過去にも、森見登美彦作『四畳半神話大系』や、森広嗣作『すべてがFになる』、あさのあつこ作『バッテリー』などをはじめとした文学作品のアニメ化に挑戦し、話題を集めていた。こうした小説原作に手慣れたノイタミナ枠において、アニメ版『舟を編む』はどのように描かれているのだろうか。

女性視聴者層を取り込んだノイタミナ枠

20161109-funewoamu-s3-th-th.jpg『舟を編む』第1話より

 “アニメの常識を覆したい”という構想から設立された「ノイタミナ」は、これまでになかった作品群を取り上げることで、独自のブランディングに成功してきた。放送開始当初は『ハチミツとクローバー』『Paradise Kiss』『のだめカンタービレ』といった人気少女漫画原作を中心に、深夜アニメ枠にしては珍しい、女性視聴者を大きく意識したラインナップとなっていた。また、「連ドラのようなアニメ」というコンセプトのもと、泣けるヒューマンドラマ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や、本格サスペンス『僕だけがいない街』のような、一話完結ではない続き物の作品も目立つ。こうしたオリジナリティ溢れる作品選出によって、従来のアニメファンはもちろん、普段アニメを見ない層からも注目を集めることとなったのだ。

 そんな中、アニメ版『舟を編む』では、実写映画版とは異なる、アニメならではの手法でストーリーが展開されていく。告知PVでも「これは、辞書づくりに魅せられた一人の男と、その熱意に魅せられたもう一人の男の物語」と謳っているように、マジメで口下手な主人公・馬締光也と、その同僚で社交的なチャラ男・西岡正志という、対照的な男性の友情にスポットが当てられているのだ。原作や映画版においては、西岡よりもヒロインの林香具矢が重要な役どころとして描かれている。キャスト表でも、香具矢役の宮崎あおいが主演・松田龍平に続いて二番目に記されているが、アニメのキャスト表では、馬締役の櫻井孝宏の次に、西岡役の神谷浩史の名前がきていることからも、そうした設定の違いをうかがえる。実際、「物語シリーズ」などでもタッグを組んでいる櫻井と神谷のコンビネーションは秀逸で、恋の話で西岡に詰め寄られ、たじろぐ馬締の様子や、馬締の熱心な仕事っぷりに感化される西岡の描写など、性格も考え方も正反対な二人が互いに影響し合う模様は見ていて微笑ましい。そんな二人の掛け合いを「かわいい」と褒めたり、「西岡と馬締のイチャイチャがあるなら楽しめる」といった声も上がっている。

ボーイズラブを想起させる脚色

20161110-funewoamu-s2-th-th.jpg『舟を編む』第3話より

 アニメ化に際して、なぜ西岡という男にスポットライトが当てられたのか。それは、近年のアニメや漫画のヒット作の傾向から考察することができるのではないか。今期放送アニメの『ユーリ!!! on ICE』や、同じくスポ根系の漫画原作『ハイキュー!!』、2017年1月から第3期が放送される『弱虫ペダル』のように、最近では男性同士の友情を描いた作品が、女性を中心に人気を集めることが多い。前述したように、もともとノイタミナは女性視聴者の存在を強く意識している。その点を踏まえた上で、今回の『舟を編む』でも、男性同士の友情をメインに描く形に脚色されたのではないだろうか。

 そもそも、原作を手掛けた作家の三浦しをんは、熱心なBL(ボーイズラブ)ファンなのだそうだ。古書店を舞台に二人の青年の友情を描いた同氏の小説『月魚』も、一部では「ボーイズラブ作品」と評されることがある。また、『舟を編む』の小説連載時に挿絵を担当し、アニメ化に際してキャラクターデザイン原案を手掛けた雲田はるこも、BL漫画家としての顔を持っている。そうした背景から、BLに関心のある一部女性ファンたちのあいだでは、放送前から「アニメ版はBL的に描かれるのではないか」とも囁かれていたようだ。作品に内包されているライトなBL要素は、これまで女性視聴者の獲得を意識してきたノイタミナのターゲット層とはあっているのかもしれない。

      

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