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『闇金ウシジマくん』山口雅俊監督 × 岩倉達哉Pが語る、シリーズ6年間の挑戦と進化

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 2004年に誕生した真鍋昌平の問題作『闇金ウシジマくん』が山田孝之主演でテレビドラマ化されたのは2010年10月だった。金と欲に翻弄されて闇金に吸い寄せられる人々を描く取り扱い注意のコンテンツはその後、3本の連ドラと4本の映画となり、2016年にピリオドを打つ。作品を重ねるごとにキャストの顔ぶれが豪華になり、クオリティが高まり、人気コンテンツとなった理由とは? そしてこのタイミングでシリーズを終える理由とは? 企画を立ち上げたプロデューサーであり、監督も手がけた山口雅俊氏と、岩倉達哉プロデューサーに話を聞く。

※テレビドラマは〈Season1〉〈Season2〉〈Season3〉、映画は〈Part1〉〈Part2〉〈Part3〉〈ザ・ファイナル〉と表記
※文中の場面写真はすべて映画『闇金ウシジマくん Part3』より

岩倉「フィナーレは自然と『ヤミ金くん編』に着地しました」

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——まず「なぜ終わるのか」を教えてください。

山口雅俊(以下、山口):今回のドラマと映画についての最初の打ち合わせの席で、山田君が「そろそろ終わってもいいのではないか」と切り出しました。真鍋さんは粛々と面白いマンガを描き続けてらっしゃるので、「今、連載中のものを映像化しなくていいのか?」という議題はありますが、ひとまずそれは忘れて、ピリオドを打つことになりました。

岩倉達哉(以下、岩倉):山田さんが『闇金ウシジマくん』を6年間やり続けてきて「やりきった」と言うのであれば、そこで終わるのがタイミングなのかなと思います。

——そして、あの美しい〈ザ・ファイナル〉が誕生した。シリーズ最高傑作だと思います。

山口:ありがとうございます。山田君に「やってよかった」と思わせる作品にしなきゃいけないと思って〈ザ・ファイナル〉を作ったので、山田君が綾野剛くんに「すっげー面白かった」と感想を言ってくれたらしいということで、名実ともにシリーズが終わりました。

——〈ザ・ファイナル〉に「ヤミ金くん編」のエピソードを選んだ理由は?

岩倉:丑嶋の過去が唯一描かれる「ヤミ金くん編」は、原作のなかでも人気エピソードです。山田さんややべきょうすけさんとも、「あのエピソードはいずれちゃんと実写で形にするんだよな」という暗黙の了解があったので、今回のフィナーレは自然とあそこに着地しました。

山口:早い段階で「なんであれをやらないのか?」とは言われていたんです。でも、積み重ねていかないとルーツは描けないじゃないですか。満を持しての「ヤミ金くん編」です。

山口「普通のドラマのふりをして、徐々に過激にしていきました」

——このシリーズを、テレビドラマと映画という2つのメディアで展開した意図と効果を改めて教えてください。

山口:真鍋さんの原作は、僕がフジテレビ時代に映像化させて頂いた『ナニワ金融道』の原作と並んでお金をモチーフにした漫画歴史に残る作品なので、誰でも無料で簡単にアクセスできる地上波のテレビでオンエアすることがとても重要だと思いました。でも、丑嶋という犯罪者が主人公で、下手すると丑嶋の言っていることが正しく見えるこの作品は、テレビ的には危険です。いちばん制約が厳しいテレビというメディアで映像化するために何をすべきかを考えていきました。

——具体的には?

山口:連続ドラマのの第1話は、業界の人間や関係者も見ますし、ものすごく注目されるわけです。だから、〈Season1〉の第1話はものすごくいい話にして、普通のドラマのふりをして、徐々に過激にしていきました。原作のファンからは「〈Season1〉の第1話は原作の過激さや怖さが出ていない」と言われましたが。想定内でした。

——最初のドラマですべて出し切るつもりではなかったと。

山口:あとはテロップですね。ドラマの最後に入る「このドラマはフィクションです」というテロップは、一応の逃げ道になります。とはいえ『闇金ウシジマくん』の場合は、フィクションテロップだけでは済まない心配があったので、劇中で犯罪や不法行為を描写するシーンでいちいち「犯罪です。」「闇金は犯罪です。」といったように、しつこいほどテロップを入れていきました。フィクションテロップをさらに武装しつつ、ある程度地上波で受け入れられる作品のフォーマットを探りながら、映画化への展開を目指しました。

岩倉:劇中の「犯罪です」テロップは、〈Season1〉の撮影が終わってから、山口さんから「入れようと思う」と提案がありました。ああいうテロップを監督は嫌がりますけど、プロデューサーとして数々のドラマをつくられてきた山口さんだから出せるアイデアだと思います。視聴者への啓発のためにただ入れるのではなく、どうやったら面白さを維持できるかを探りました。

——たしかにあのテロップは、犯罪の解説ではなく、ストーリーや設定、登場人物へのツッコミになっていますよね。「みなさん、なんで犯罪を当たり前のように受け入れてますの?」と。

岩倉:そうです。僕はそもそも、『闇金ウシジマくん』においては、テレビと映画で展開することが効果的だと思っていました。ああいうトーンの原作をどうやったらテレビドラマで成立させられるのかを山口さんが必死で考えた結果、テレビドラマにたくさんのファンがついた。山口さんがおっしゃったように、債務者よりも正しいことを言っているようにみえる丑嶋をヒーローとして捉えたくなる気持ちは僕にもあります。でも、ちゃんと見れば、丑嶋馨は犯罪者であることがわかるようにつくってある。特に最初の映画をつくるときは、闇金を礼賛せずに、見た人のなかに何かが残る作品であることを、改めて理解してもらう必要があると思いました。

——例えば何をしましたか?

岩倉:実際に闇金の被害に遭って苦しまれている方々が相談する団体があるんです。〈Part1〉をつくる前に、「こういう作品をつくることを理解していただきたい」とお願いしたところご理解いただきまして、〈ザ・ファイナル〉に至るまで、エンドロールにお名前をのせさせていただいています。それは他の作品ではやらないことですし、そういうことを積み重ねてきたシリーズです。

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