ドラマ『火花』インタビュー:林遣都 × 波岡一喜が語る、表現を仕事にする苦楽

林遣都 × 波岡一喜『火花』インタビュー

 ピースの又吉直樹による同名小説を原作としたドラマ『火花』が、オンラインストリーミングサービスNetflixで、世界190ヵ国へ全10話一挙に配信されている。師弟関係を結んだふたりの売れないお笑い芸人が上京して立身出世を志すも、厳しい現実に翻弄され、やがてそれぞれの道を歩む様を描いた青春ドラマだ。総監督に廣木隆一、その他の監督に白石和彌、沖田修一、久万真路、毛利安孝ら、映画界の俊英を集結させ、その完成度の高さからすでに各界で話題となっている本作。主人公・徳永役を務めた林遣都と、その先輩である神谷役を務めた波岡一喜に、制作の舞台裏を聞いた。

林「波岡さんと師弟関係を演じられるのは感慨深かった」

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ーー映画のような美しい映像、練りこまれた脚本、緊張感ほとばしるリアルな漫才シーン、そしておふたりの熱演と、非常に見どころの多い作品で、Netflixがいよいよ日本でも本格的にオリジナル作品に注力していることが伺えました。出演が決定した際の心境は?

林:「これは大変な作品になる」と思って、正直かなりプレッシャーはありましたが、一方で、絶対に自分にとっても観た人にとっても心に残る作品にしようという気持ちも強かったです。その気持ちがプレッシャーよりも大きかったので、実際の現場では余計なことを考えずに、いまの自分のすべてをぶつけることができたと感じています。

波岡:お話をいただいたときは、素直にめちゃくちゃ嬉しかったですね。でも同時に、神谷という役はカリスマ性というか、人を惹きつける力を持っている人物なので、それをどう表現しようかと考えると、プレッシャーと不安でいっぱいになりました。ただ、撮影が始まって一話を撮り終えた時点で、いつもの遣都との関係性を、そのまま徳永と神谷の関係性にしていけるかなって思いました。徳永だけの神谷であれば良いってことがわかったんです。そこからは楽しんで、集中してやりきることができました。

ーーおふたりは撮影の前から先輩後輩としての関係があった?

林:10年近く前、僕が俳優の仕事を始めたばかりの頃に共演して、初めて撮影中に2人でご飯に連れていってくれた先輩なんです。当時はまだ地元に住んでいた高校生だったので、俳優を別世界の人たちのように見ていたのですが、波岡さんが誘ってくれてすごく嬉しかったです。

波岡:まあ、飯って言ってもファミレスですけれど。

林:仕事のこと、学校のこと、恋愛のこと……まあ、いろんな話をさせていただいて。そのあともちょくちょく連絡をくれていたので、僕にとって波岡さんは俳優界では数少ない、心を開いて気兼ねなく話せる先輩なんです。だから、神谷役が波岡さんだと聞いて安心しましたし、出会ってから10年近く経って、こうして師弟関係を演じられるのは感慨深かったです。

波岡:運命やな! こんなことはじめて言うけど。

林:もしかしたら、出会ったときにすでに決まっていたのかなって思いました。

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ーー『火花』にも通じる劇的な出会いですね。今回は役柄もお笑い芸人とのことで、俳優であるおふたりにとっては共感する部分も多かったのでは。

林:表現することを仕事にしようと夢を持って東京に出てきて、でもそんなにうまいこといくわけもなく、慣れない環境の中で埋もれていきそうになりながらもがいて、這いつくばって。そこで出会った仲間と助け合いながら、なんとかしがみついて続けていく姿には、やっぱり深く共感しました。本当に、自分に置き換えていました。

波岡:お笑いの世界の話だけど、自分らがおもろいかどうかもわからんっていうのは、すごくわかるところがありますねぇ。でも、神谷は自分がおもろいと思ってること、その感性をすごく信じているんですよ。徳永にも「お前ならもっとできると思うで、お前がもっとおもろいこと知ってるからなぁ」って言い続けていて。周りがどうこうじゃなくて、自分がおもろいと思うことをやれよって言葉は、なんか自分に言われてるような気がして。これまでも一生懸命やってきたけど、そこまで自分を信じてやってこなかったなぁって。もっと自分にわがままで、自分のやりたいようにやることも大事なんだなって、痛感させられました。自分がやりたい神谷を演じる、自分自身が神谷でいるってことは、今回すごく意識しましたね。原作に引っ張られる感じで。

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