大野智主演『セカムズ』第9話で描かれたドラマ的な“奇跡”は、ハッピーエンドに繋がるのか?

 鮫島零治(大野智)が柴山美咲(波瑠)のハートを射止めようと奮闘するも、やることなすことが裏目に出て、なかなかうまくいかない様子をコメディタッチで描いてきた『世界一難しい恋』(日本テレビ)。最終回直前の第9話では、周囲の人物のサポートやアドバイスがまるで複雑なパズルのように思いもよらぬかたちでハマり、見事に伏線を回収した回となった。(参考:大野智、小池栄子の“大人の色気”にモンモン!? 『セカムズ』第8話の意外な展開を振り返る

 前回の終盤、物語におけるメンターである村沖舞子(小池栄子)から、「弱い自分に向き合って、本当に好きな人にアタックすること」とのアドバイスを受けた零治は、さっそく彼女が勤めるステイゴールドホテルの側で待ち伏せし、勤務後の彼女を掴まえて思いの丈を伝える。しかし翌日、美咲からは「しばらくお会いしたくありません」との返事がきてしまう。そこで零治は、偶然を装って美咲に接近するため、自転車通勤にかこつけて彼女の職場付近をうろついたり、その近辺の不動産を物色したり、ゆるキャラの着ぐるみバイトを始めてコミュニケーションを図ったりと、あの手この手の策を尽くすというのが、今回の話の筋だ。いうまでもなく、零治の行為は一歩間違えれば“ストーキング”であり、絶対に真似をしてはいけないだろう。実際、村沖から「そんな真似をして、美咲さんが喜ぶと思いますか?」と、たしなめられるシーンがたびたび見受けられた。

 いつも通りの展開であれば、こうした零治の行動は裏目に出て、美咲を怒らせたはずだ。しかし、今回はここからがいつもと違った。まず、ステイゴールドホテルの社長を退き、山小屋での暮らしを始めた和田英雄(北村一輝)が、零治に対し、「お前だけはあの女を絶対に諦めちゃいけないんだよ」と激励する。早くも隠居暮らしをしようとしている和田を引き止めるはずだったのが、逆に叱咤され面を喰らった零治は、その具体性を欠いたアドバイスに困惑しつつも、まずは美咲のことをよりよく知ることを決意。部下の三浦家康(小瀧望)に命令し、周囲の人間から美咲の情報を集めはじめる。そして、美咲の友人である堀まひろ(清水富美加)から、美咲の夢は祖父が残してくれた土地に自分のホテルを建てることだと知らされる。三浦らは、零治がその夢を叶えてあげれば、彼女の心を射止められるのではないかと提案するが、「いや、夢は自分で叶えなければ意味がない。応援はするけれど、手助けはしない」と、零治は却下する。

 まひろはその一部始終を美咲に報告し、「社長には本当にがっかりしました」と伝えるが、一方で美咲は「そんなこと言ってくれるひとだとは全然思ってなかった。もしかしたらわたし、(零治のことを)全然わかってないのかもしれない」と、零治のことを思い直し、彼の実家である鮫島旅館を訪れる。そして、零治の父・鮫島幸蔵(小堺一機)から、子どもの頃の零治が自分の力だけで旅館に池を作ったというエピソードを知らされる。幸蔵にとっては単なる子煩悩エピソードだったが、美咲にとっては、以前は知ることがなかった彼の努力家としての一面を垣間見た瞬間だった。さらに零治が、かつて自らがホテル業を学ぶ際に使用していた付箋と書き込みだらけのテキストを、三浦を通して美咲にプレゼントしたことも、彼女の心を動かしたのだった。

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