岸田教団&THE明星ロケッツと盟友エンジニアが考える、自作機材の利点と“ロックバンドの音像”

岸田教団&エンジニアが考える“音像”

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「ミュージシャンの才能は脳ではなく肉体に宿るのかも」

ーーマスタリングの段階では、岸田さんはかなり細かくリクエストするのですか?

岸田:いや、そんなことないです。レコーディングエンジニアが渡辺(敏広)さんなんですけど、すっごい細かいところまで緻密に考えてくださるので、正直その先のことはよく分からない。てか、ぶっちゃけ歌詞と歌が聞こえていればそれでOKっていう。

守屋:(笑)。そう言えるのは、そこに行き着くまでの試行錯誤があったからこそでしょう?

岸田:まあ、そうなんですけどね。演奏しているときは、やっぱり細かいことが気になるかな。でも、演奏が終わってミックスとかマスタリングの段階になると、かなり大雑把ですね。

守屋:演奏が終わった段階で、ミュージシャンからプロデューサーの目に切り替わるのでしょうね。細かいところよりも、「他のバンドと比べて、立ち位置としてはどう聞こえるか?」みたいなことの方が気になるみたいで。

岸田:そうだね。曲を作っているときや演奏中は、他の音楽とか一切聴かないのに、録り終わった瞬間から色んな音楽を聴くようになる(笑)。

守屋:あ、あと「音がキレイ過ぎる」という理由でマスタリングがボツになることもあるんですよ。それって他のバンドじゃ考えられないんですけど(笑)。つまり、「ロックバンドらしい荒々しさが消えてしまう」と。そこは、例えば音質を引き換えにしたとしても、維持しないといけないとか。そういう、岸田さん独自のルールはありますね。

岸田:ハイファイすぎて、高域まで伸びすぎちゃうと、柔らかく聞こえてしまう。ポップスだったらその方がいい場合がほとんどなんですけど、ロックバンドの場合はツルツルし過ぎてしまって、なんか違和感があるんです。

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ーー理想的な音像ってありますか?

守屋:前に岸田さんとそういう話をしたことがあるんですけど、ベースはUKっぽくて、ドラムはUSっぽい感じかも。

岸田:別に「タイトなローが欲しいか?」っていうと、そんなこともないんだよね。ハイはカラッとしている方が好みだけど。その辺は、クラブミュージックというよりもクラシックロックからの影響が強いかもしれない。おそらく僕は、演奏の押し引きがちゃんと見える音像が好きなんだと思う。

守屋:ああ、そうかもしれないね。普通、ロックやダンスミュージックのローって、スパッと切れるフレーズが多いんですけど、岸田教団の場合はローもなだらかに減衰していくフレーズの方が多い。

岸田:確かに。その代わり、上モノはスパッと切ってるね。

守屋:その辺は、ミックスエンジニアの渡辺さんも同じ傾向だと思います。

ーーところで、ベーシストとしてはどんなこだわりがありますか?

岸田:そこも「効率」の話と同じですね。自分の肉体、スタイルに合わないベースは弾きたくない(笑)。

守屋:「ミュージシャン肉体論」というのも、常々岸田さんは唱えてますよね(笑)。岸田さん自身が、自分はどういう体で、ベースを弾くにはどう動かすのがいいかをかなり意識して弾いている。

岸田:ミュージシャンは肉体、大事ですよ。最近だと米津玄師くんはすごいなと思った。まず、体がでかくて手がでかい。しかも柔らかそうだしね! ギターのテクニックがどうとか云うよりも、単純に弦を鳴らした時のパワーがすごいんですよね。彼のことは、初めて観た時からずっと注目しているんですけど、「LOSER」のPVで踊っている姿も、「その体で踊ったらそりゃ勝ちだよ!」って思った。筋肉の動かし方とか天性の才能ですよね。歌も結局同じなんですよ。自分の喉の鳴らし方、体の筋肉の使い方で、歌の表現力は変わってくる。結局のところ、才能はどこに宿るのか? っていうと、脳じゃなくて肉体だと思うんですよね。「顔が可愛い」とか(笑)。

ーー(笑)。最後に、本作の歌詞についてお聞きしてもいいですか?

岸田:「人生とは戦うこと」。それがアルバムを貫くテーマかもしれないですね。「戦って勝てば、大体のことは解決する」っていう(笑)。「この世の罪のほとんどは、負けることによって生まれる」と思うんですよ。もっと言えば、戦って負けても自分が納得いけば、それは不幸ではなかったりする。

ーー逆に、たとえ勝っても納得できていなかったら幸せになれないですよね。

岸田:そうなんです。要は、納得いくまで戦うことが大切というか。歌詞に関しては、良くも悪くもリアリズムというか、「それを言ったら身もふたもないでしょ」ってことをいう人が、一人くらいいてもいいのかなと。みんなが言って欲しいことを書く親切な人は他に沢山いるし(笑)。「ichigoという、あまり性格の良くなさそうなボーカルが歌ったときに、説得力のある歌詞ってなんだろう?」って思ったら、こういう方向性がいいのかなと。はははは(笑)。

守屋:ichigoさん、全力で否定しそう(笑)。

(取材・文=黒田隆憲/写真=池田真理)

■リリース情報
『LIVE YOUR LIFE』
発売:3月22日(水)
価格:アーティスト盤(CD+特典DVD (2枚組))¥3,500+税
通常盤(CD (1枚組))¥2,800+税
LP盤(アナログ(1枚組))※メロンブックス限定販売商品
¥3,200+税
<CD収録曲>※全仕様共通
1. GATE〜それは暁のように〜(TVアニメ『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』OP)
2. GATE II 〜世界を超えて〜(TVアニメ『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』新OP)
3. 天鏡のアルデラミン(TVアニメ『ねじ巻き精霊戦記天鏡のアルデラミン』OP)
4. Blood on the EDGE(アニメ『ストライク・サ・ブラッド II OVA』OP)
5. EGOISTICHERO
6.「LIVEMYLIFE」を含む7曲の新曲
全12曲収録(予定)
※デジパック仕様
※ライブ・チケット優先販売申込券封入

<特典DVD収録内容>
LIVE MY LIFE(新曲)Music Video
アルバム『LIVE YOUR LIFE』 TV-SPOT
GATE〜それは暁のように〜Music Video
GATE II 〜世界を超えて〜Music Video
天鏡のアルデラミン Music Video
Blood on the EDGE Music Video

■ライブ情報
『岸田教団&THE明星ロケッツ ワンマンツアー2017』
7月28日(金)
梅田CLUB QUATTRO
OPEN/START 18:15/19:00
チケット料金
前売/当日 4,500円/5,000円(税込、ドリンク代別)
主催 夢番地大阪
企画・制作 スタジオK2

7月30日(日)
名古屋 ELL
OPEN/START 17:00/18:00
チケット料金
前売/当日 4,500円/5,000円(税込、ドリンク代別)
主催 サンデーフォークプロモーション
企画・制作 スタジオK2

8月4日(金)
TSUTAYA O-EAST
OPEN/START 18:00/19:00
チケット料金
前売/当日 4,500円/5,000円(税込、ドリンク代別)
主催 ディスクガレージ
企画・制作 スタジオK2

8月5日(土)
TSUTAYA O-EAST
OPEN/START 17:00/18:00
チケット料金
前売/当日 4,500円/5,000円(税込、ドリンク代別)
主催 ディスクガレージ
企画・制作 スタジオK2

公式HP
公式ブログ
ichigo(Vocal)Twitter
はやぴ〜(Guitar)Twitter
岸田(Bass&Guitar)Twitter
みっちゃん(Drums)Twitter

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