2015年、フェスシーンはどう変わった? ヘッドライナーと動員数から見えた“今年の主役”

 ロックフェスの現場から音楽シーンの潮流を読み解いていく「フェス文化論」連載。年末の『COUNTDOWN JAPAN 15/16』のラインナップも発表されたということで、今回の記事は2015年を振り返っていきたい。フェスを巡る状況はどう変わったのか? そしてフェスシーンの主役は誰だったのか? それを数字から読み解いていこうと思う。

主要フェスの動員数はのきなみ拡大

 というわけで、まずは全体の状況から。2015年に行われた主要なフェスの動員は軒並み増えている。

 主催者発表の数字によると、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL2015』は25万人で昨年より1万人増、『SUMMER SONIC 2015』は18万2千人で1万7千人増、『FUJI ROCK FESTIVAL '15』は11.5万人で1万3千人増。『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO』は6.5万人で5千人増、『VIVA LA ROCK』は6.1万人で7千人増。昨年に4日間開催となり国内最大規模となった『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』は今年もチケットがソールドアウト。『FUJI ROCK FESTIVAL』や『SUMMER SONIC』なども今年は動員を伸ばしている。

 ライブ市場の拡大は音楽業界全体の大きな潮流だ。コンサート全体の動員数や収益は10年以上にわたり右肩上がりの推移を続けている。ただ、ここ数年は、夏の野外フェスや年末のカウントダウンフェスだけでなく、春や秋も含め一年中にわたって開催されるようになった。ファンのみならずアーティストや主催者側からも「飽和状態」という声が聞かれるようになった。

 しかし動員数を見る限りでは、2015年もやはり上昇トレンドは変わっていない。2年目を迎えた『VIVA LA ROCK』や、同じく2年目となるPIZZA OF DEATH主催の『SATANIC CARNIVAL』など、新たなロックフェスも定着してきている。レーベルやアーティスト主導型のフェスも増え、タワーレコードがアーティストと共に主催する『Bowline』のようなフェスも生まれている。

 また、2015年の動きとして特徴的なのは。EDMフェスの公演数と動員が飛躍的に伸びたことだ。昨年に初開催された国内最大規模の『ULTRA JAPAN』は日数を拡大し4万2千人から9万人へと動員数が倍増。ゴールデンウィーク開催の『Electric Zoo Beach Tokyo』など初開催のフェスも増えた。これらの中には非日常的な空間で味わう一体感を魅力として打ち出しているものも多い。フロア全てを白で装飾し客も全身白のドレスコードが課せられた『Sensation』が象徴的だ。2016年には“世界三大EDMフェス”とされるEDC(Electric Daisy Carnival)の日本初上陸も予定されている。ド派手な会場の装飾や参加者のカラフルなコスプレで知られる同フェスだけに、こちらも注目を集めそうだ。

 飽和状態と言われながらも、市場の拡大と多様化を迎えてきたのが、2015年のフェスを巡る状況だ。来年以降もこの流れは続いていくだろう。

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