LOUDNESSが2年ぶり新作発表へ 彼らはなぜ世界から尊敬を集め続けるのか?

20140415-loudness01.jpg
LOUDNESS『BEST MUSIC VIDEOS』(徳間ジャパンコミュニケーションズ)

 ヘヴィメタル黎明期からその中核として活躍し、世界の音楽ファンに広く知られた日本のロックバンドとしてアジアの至宝と称えられるLOUDNESSが、およそ2年ぶりとなるスタジオ・アルバム「THE SUN WILL RISE AGAIN~ザ・サン・ウィル・ライズ・アゲイン~『撃魂霊刀』」のリリースを発表した。LOUDNESSはメンバー自らのマネージメント/レーベルでもあるカタナミュージックを立ち上げ、日本ではユニバーサルインターナショナル/Thunderball667から同作を6月4日に世界に先駆け先行発売する。

 ロックバンド「レイジー」に在籍していた高崎晃と樋口宗孝、田中宏幸に元EARTHSHAKERのボーカリスト二井原実を加えたメンバーで1981年に結成されたLOUDNESS。その直後に音楽性の違いから田中が脱退、高崎の幼馴染である山下昌良をベースに迎え同年11月25日にアルバム『THE BIRTHDAY EVE 〜誕生前夜〜』でデビューを果たす。当時「日本のヘヴィメタルは売れない」と言われるなかで同作はスマッシュヒットを記録、浅草国際劇場で行われたデビューライブも即日完売し、日本初となる「本物のメタルバンド」の登場は世間を驚かせた。

 デビュー当初から世界志向だったバンドは1983年にアメリカとヨーロッパでワールドツアーを敢行。翌年にはアメリカのアトランティック・レコードと契約を結び、1985年にリリースされたアルバム『THUNDER IN THE EAST』は日本のロックバンドで初めてアメリカのビルボードアルバムチャート74位にランクインした。また同年にはモトリー・クルーとツアーを行い、アジア人アーティストとして初めて、ロックの殿堂マディソン・スクエア・ガーデンのステージに立つという快挙も成し遂げている。

 当時のLOUDNESSはギター高崎の重厚なリフとボスハンズ・タッピングに代表されるテクニカルなソロ、ドラム樋口のパワフルで正確な手数の多いドラミング、そしてボーカル二井原の日本人離れした高音シャウトが特徴だった。とりわけ高崎と樋口のプレイは「テクニック競争時代」と言われた80年代のプレイヤーの中でも群を抜いており、その影響を受けたと公言するミュージシャンはMr. BIGのポール・ギルバートやイングヴェイ・マルムスティーン、メガデスのショーン・ドローヴァー、スコーピオンズのジェイムス・コタックなど枚挙にいとまがない。彼らは紛れも無く新しいメタルミュージックを開拓するパイオニアであった。

 その後、幾多のメンバーチェンジや2008年の樋口の死を乗り越え現在も精力的に活動する彼ら。今回の新作は2013年初頭から本格的に制作が始まり「より世界レベルの作品に極める為」に1年以上の試行錯誤を経て完成した。マスタリングにはエミネムやDr.DRE、LINKIN PARKなど大物アーティストを手がけハードなサウンドに定評のあるBrian"BIG BASS"Gardnerを起用。サウンドに最新のヘヴィネスを導入し、キャリア30年以上にも関わらず攻めの姿勢を見せる意欲作となっている。リリース直後の6月6日には六本木EXシアターにて一夜限りのスペシャルライブも開催が決定。また夏から秋にかけては海外を含むフェスティバルへの出演も予定されている。”日本発世界照準の真のヘヴィーメタルバンド”LOUDNESSの快進撃がいよいよ始まりそうだ。
(文=北濱信哉)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる