この夏、最後のスト鯖RUST「DEATH GAME」 途中離脱の初心者4人組“豚笑神楽”はなぜ最高だったのか
無慈悲な「全ロス」と、“持っている4人”の結末
しかし、その頃には上級者が所属するチームとの戦力差は拡大しており、2日目にして「全ロスト」という無慈悲だが必然の状況が訪れてしまった。すでに配信的な見せ場も多く、普段は温厚ならっしゃーの攻撃的な一面、あの柊ツルギが息を殺してファームする姿など、本企画ならではの珍しい見どころもあった。そのままサーバーを去っても視聴者の満足度はそれなりに高かったはずだが、彼らは根っからのエンターテイナー。手元に残ったスクラップを握り締め、撃ち合いが発生しないセーフエリアにあるギャンブル場で最後の賭けに出たのだった。
普通では到底稼げない額のスクラップを手にして、最後まで隠し通す。そんなうまい話はなく、全額ロストしてあえなく終了だろう、2日目までよくがんばった……と思ってしまうところだが、彼らは“持って”いた。序盤はツルギ、そこから神楽めあ、そしてリーダーの夢野あかりが博才を発揮し、まさかの大勝ち。ただし、その流れはオープンVCで周囲に筒抜けで、セーフエリアを出た瞬間に蜂の巣にされるのは目に見えていた。そこでツルギはリスナーの意見を参考に、不要な素材を高額でマーケットに売りに出し、遠隔地でスクラップを受け取る「自販機輸送」(ドローンデリバリー)というテクニックを成功させる。ツルギが広く知られるきっかけになった「VCR GTA2」を思い出すような、緊張感のあるミッションだった。
結末はどうなったか。2日目の終了間際、なんとか拠点でスクラップを受け取ったツルギとらっしゃーだったが、オープンVCでの大騒ぎと、他チームの尾行により拠点はすでにバレており、最後の最後で大金を掻っ攫われるというバッドエンドだった。
3日目の躍進を望んでいたファンにとっては、残念な結果だったかもしれない。しかし客観的に見て、最終日に発生するだろう大戦争を生き残り、スクラップを隠し続けられる見込みが極めて薄いなかで、勝敗を左右し得る“財宝”を残してサーバーを去るという、某海賊王のような立ち回りは見事というほかない。下馬評を覆し、初心者チームが勝負を決める最後のピースになり得るところまで健闘した事実と、彼らのエンタメ力に拍手を送りたい。
ストリーマーと視聴者が大いに笑い、怒り、涙した『RUST』の夏。そもそもがヒリつくゲームだからこそ、ジェットコースターのように感情を揺さぶった各ストリーマーサーバーの運営と参加者に敬意を表しつつ、次なる戦いを楽しみにしたいところだ。