VTuber事務所・EchoVerseが掲げる“新章”とは何か 2期生デビューと共に仕掛ける「次世代型クリエイターの創出」という挑戦

 2024年11月に始動したVTuberプロジェクト「EchoVerse(エコーバース)」をご存知だろうか。老舗・大丸松坂屋百貨店が運営するVTuber事務所だ。2025年9月にデビューした1期生・花依よるはの活動を皮切りに、今年(2026年)4月には2期生オーディションを開始した。

 EchoVerseは、2期生オーディションのタイミングでひとつのテーマを打ち出している。「次世代型クリエイターの創出」だ。1期生・花依よるはが「歌」を軸に、いわゆる王道・正統派なVTuberとして活動してきたなかで、EchoVerseはこのプロジェクトの展開を加速・拡大させていくというのだ。

 では、既存の「VTuber事務所」と何が異なるのか。事務所の特色はどこにあるのだろうか。これを理解する上では、大丸松坂屋百貨店とEchoVerseの原点から振り返っていくのがわかりやすい。“新章の始まり”を掲げる意味と、百貨店がVTuber事業をやる意味、同プロジェクトが秘める可能性とは。じっくりと紐解いていこう。

変化する「VTuber」の在り方と、「EchoVerse」が目指すもの

 VTuber、あるいはバーチャルYouTuberは、2026年12月で誕生してから10年を迎える。この10年を振り返ってみれば、黎明期はテクノロジーに関心を持つ人たちによる実験的表現として始まり、まだ見ぬ才能を持つ人たちの依り代、あるいは個人から企業まで様々なテーマを伝えるためのIP、生活を豊かにする“推し活”の対象など、その役割を広げ続けてきた。

 こうしたなかで、先に挙げた「まだ見ぬ才能を持つ人たちの依り代」としての在り方に目を付けたのが大丸松坂屋百貨店だ。同社の源流は江戸時代の呉服屋にあり、当時から着物のデザインを絵師などさまざまなクリエイターと共に手がけながら商売を営んできた。その歴史を踏まえれば、クリエイターと共に「ものづくり」や「価値の創出」に取り組むことは自然な流れといえる。コロナ禍以降の2023年からは、こうした流れをさらに強化して「3Dアバター」の販売や、J.フロント リテイリング史料館所蔵の着物の資料「松坂屋コレクション」を活用した「3D着物」「伝統衣装」などを手がけてきた。

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 こうしたチャレンジングな精神、文脈を汲んだものづくりに重きを置く点は、EchoVerseの強みといえる。EchoVerseは「企業系VTuber」をプロデュースして、単なるIPビジネスを仕掛けようとしているのではない。個性と情熱にあふれるクリエイターをキュレーションして、それぞれの進化を支援すること。生まれた作品を世に送り出すこと。そして、その制作過程や作品が生まれるまでの創作プロセスにもフォーカスし、ストーリーとして届けていくこと。これこそが、このプロジェクトの肝の部分になっている。

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 世の中で活躍するVTuberたちが、クリエイターと共に作品を作り上げて、互いにリスペクトしあうことで広げてきたVTuber業界。EchoVerseもまた、その魅力に共鳴して生まれたプロジェクトといえる。百貨店の歴史・営みを裏付けにしたものづくりのノウハウと運営チームの「熱量」を掛け合わせることで、VTuberの表現や在り方をもう一段階拡張しようと試みている最中なのだ。

1期生で作り上げた地盤を広げ、さらなる“共鳴”に繋げる

1期生・花依よるは

 そんなEchoVerseの1期生メンバーとしてデビューした花依よるはは、彼女の得意とする歌を軸にリスナーの“心に響く歌”を届けるべく活動をスタートさせた。そして歌ってみた動画の投稿やゲーム実況といった王道の活動をしてきた彼女の周りでも、さまざまなクリエイター同士の響き合いが生まれている。

 花依よるはのデザインを担当したのは、言わずと知れた人気イラストレーター・森倉円。Live2Dモデルを仕立てたのは、北米のVTuberモデル制作スタジオ・Iron Vertex。そして先日リリースされたオリジナル楽曲「晩創膏」は、監修に堀江晶太と彼が率いるクリエイターチーム・PHYZが参加、作詞は花依自らがおこない、楽曲は白神真志朗が担当した。

晩創膏 / 花依よるは Hanayori Yoruha (Official Music Video)

 こうした活動を通じて、花依よるはの歩みをリスナーに届けながら、VTuber事務所としての活動実績を積み重ねてきたEchoVerse。それだけでなく、日々の配信や動画公開、外部イベントへの出演、オリジナル楽曲やグッズ販売の体制といった支援の環境も整えてきた。

 そしていよいよ、2期生のデビューと共にEchoVerseの“新章”が始まる。2期生のオーディション開催にあたっては、ここまで示してきたEchoVerseのコンセプトが一段と強調されていた。すなわち、1期生・花依よるはが築いた地盤をもとに、次世代型クリエイターの発掘を加速させていく試みだ。

顔を出さない表現者にとっての“器”としてのVTuber

EchoVerse 2nd creators 輝跡ひいろ

 イラストレーターや文筆家、映像作家、フォトグラファーなどなど、世の中には「顔を出さず、作品を通して自己表現」を行うクリエイターが数多く存在する。こうした中で、VTuberは「自己表現を行う上でのペルソナ」「発信にあたって最適なアイコン」「世界観を伝えるためのキャンバス」として機能しうるだろう。

 受け手側にとっても、VTuberという様式が存在することで親しみを持ちやすく、世界観をすんなり受け入れることができる。時には個人的な内面を吐露していても違和感がない。そんな絶妙で、幅広い表現を受け入れるだけの土壌も育っている。

EchoVerse 2nd creators イザ・サラバ

 このふたつが揃った「VTuber業界」という場所で、どのように独自性を出せるか。大丸松坂屋百貨店として、EchoVerseとしてチャレンジする意義を見いだせるか。すでに「レッドオーシャン」ともいわれ、様々な事務所が立ち上がるなかで、挑戦するのは何故か。

 当然、簡単なことではない。大丸松坂屋百貨店の江戸時代から続く営みに基づくノウハウと企業理念。異業種・後発として参入する難しさを自覚しながらも、VTuberシーンへの深い愛を持つ運営チーム。そして自らの表現を携えてデビューするクリエイターたち。この三者が一丸となって真摯に向き合っていけば、きっと素晴らしい作品を生み出せるはずだ。それだけでなく、作品が生まれる過程のドラマやストーリーすらも、エンターテインメントに昇華して我々に届けてくれるだろう。

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 そんな今後の展開が楽しみなEchoVerseから、2期生にあたる「2nd creators」として2名のクリエイター「輝跡ひいろ」「イザ・サラバ」がデビューする。大丸松坂屋百貨店がキュレーターとしての役割を担い届けるクリエイターとは、どのような人物なのか。本コラムが掲載されるEchoVerse特集では、気になる部分を掘り下げていくので、ぜひ今後の記事を楽しみにしてほしい。

■2nd creators ティザー動画

【ティザー/Teaser】EchoVerse 2nd Creators始動!

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