にじさんじ・伊波ライの“才能”を紐解く たゆまぬ努力と愛される人間性をもつスペシャルなヒーロー
195時間プレイ、40度近い高熱、「にじスト6部」部長など ゲームへの熱量も高い伊波ライ
そんな伊波は、「なんでもゲームが上手い」と言われると、決まって「めっちゃやってるだけだよ」と照れ隠しに謙遜しているが、プレイし始めてから要領を得るまでのスピードが尋常ではなく、その流れと様子を知った先輩や同期が舌を巻くことは一度や二度ではない。
『VTuber最協決定戦 SEASON6 Ver. Apex Legends』に出場した際には、チームメイトだったバーチャルゴリラが、「自分の直近のプレイ時間が130時間で結構やったなぁと思ってたんだけど、伊波は168時間とかあって、“死ぬど!?”と思った。いまみたら195時間になってる……」と明かしていた。
このとき、伊波はかなりの体調不良に襲われており、練習に参加できない日々が続いていた。「その分の遅れを取り戻そうとしたのでは?」と推察しており、伊波も「短期超集中合宿みたいな感じだった」「40度くらいまで熱が上がって死ぬかと思った」と振り返っている。
そんな伊波が、もっともやりこんでいるゲームとして挙げているのが『ストリートファイター6』。同期の宇佐美リトや叢雲カゲツ、先輩のオリバー・エバンス、後輩の榊ネスらが見事に『スト6』にハマったのは、伊波による部分が大きい。4人ともタイミングや状況、流れは違うものの伊波からの教えを受けてスタートし、現在ではかなりプレイするようになっている。
前作『ストリートファイターⅤ』をかなりやりこんでいた影響もあり、『スト6』でもすぐに頭角を現すと、にじさんじ内で高い実力をみせていた葛葉や奈羅花などから名前を上げて称賛され、2023年11月に行われた『KZHCUP in STREET FIGHTER 6』では新人ながら大将に選ばれた。
大会の優勝は逃したが、個人戦績では大将戦を全勝するというハイパフォーマンスをみせ、“伊波ライ、ここにあり”と視聴者に高い実力を知らしめたのだった。
2025年11月、奈羅花がにじさんじを卒業することとなり、彼女が任を背負っていた「にじスト6部」部長の座を伊波が受け継ぐことに。その後も継続的ににじさんじ内外の大会に出場しており、2026年6月に開催された『VTuber最協決定戦 Ver. STREET FIGHTER 6 第二幕』ではチームを準優勝へと導き、参加者全体のレベルが飛躍的に上がっているなかで、いまだ高い実力を保持していることを証明した。
現在にじさんじ内でも多くのメンバーが『スト6』をプレイしているが、葛葉や叢雲カゲツとならび、印象的なプレイヤーとして伊波ライの名前を挙げるファンは多いだろう。
学生時代の音楽経験を活かしてさまざまなステージへ
そんな伊波だが、今後彼は音楽方面へ活動をシフトしていく可能性がある。小学校から高校入学ごろまではピアノを習い、高校では軽音部に入ってギターやドラムをプレイしたことがあると話しており、自身の3Dお披露目配信や先輩たちのステージに登場して演奏を披露したことが何度もある。
そういった流れからか自然と自分で歌唱、そしてミキシングもするようになったようで、ショート動画や他メンバーのミキシングを担当することもある。
また、OriensとDyticaによって組まれたMECHATU-Aの歌ってみた動画「パーペキヒーロー」では、Oriensの緋八とともに2人が歌唱のディレクションを担当。主に伊波がメインを務め、緋八がサポートに回るという形で進行したという。
とはいえ、ポップスにおいて重要になるのは、やはりボーカルや歌声であろう。伊波の“歌声”を評価しているのは、他でもない先輩たちだ。先述した『にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin'in the Rainbow!神戸公演』で一緒に出演した樋口、竜胆、レヴィ、シェリン、甲斐田のうち、樋口と甲斐田のふたりはにじさんじのなかでもソロシンガーとして長く活動するライバーで、竜胆とレヴィも高い歌唱力を持つメンバーとして知られている。
にじさんじのなかでも歌やパフォーマンスに長けた面々とともに伊波は初出演したわけだが、彼らは伊波の音楽やライブへの向かう姿勢を褒めるだけでなく、高い歌唱力や声の良さをあげて、その能力の高さを指摘している。
くわえて2026年5月と直近で開催された『Uncharted Spheres』に出演した際にも、戌亥とこ、町田ちま、ジョー・力一とこちらも音楽活動に定評ある面々とともに出演、負けず劣らずのパフォーマンスを見せていたのが記憶に新しい。
話して良し、ゲームして良し、歌って良し。自身をより高い次元へと上げていこうという前向きなマインドと、周囲と柔和に話しながらも、ストレートな叱咤激励も欠かさないという人格で、先輩・後輩問わず一目を置かれている伊波ライ。
OriensとDyticaの2グループは、ともに「ヒーロー」というプロフィールで活動をスタートさせたが、にじさんじ内で重要視されている要素・才覚をここまで兼ね備えているとなると、本当にヒーローのような“超人”然とした趣すら漂い始めている。
トーク力、ゲームスキル、歌唱力。これらはいまのVTuberシーンで求められがちなスキルやセンスではないかと筆者は思うのだが、VTuberという特殊なポップカルチャーのなかにおいて、これらの局面・シチュエーション・状況においても力を発揮できるとなれば、VTuberというフィールドは伊波にとって素晴らしい環境なのではないか。そう思えてしまうほどだ。
そんな伊波が在籍するDyticaと同期グループのOriensは、8人グループによるMECHATU-Aとして7月22日にはファーストミニアルバム『On-Deck!』をリリース、2026年10月10日にはファーストライブ『Over Drive!』をKアリーナ横浜で開催する予定となっている。
にじさんじの一員として歌唱面・パフォーマンス面でより多くを経験している伊波が、同期7人を先導する役割を担っていきそうなのが想像ができる。どんな楽曲、どんなライブを見せてくれるのか、努力を怠らない漢の真骨頂が、数カ月後にみられるはずだ。