にじさんじに現れた新たな“平成ネットミーム王” 佐伯イッテツが放つ不可思議な魅力を知る
佐伯自身も“よくわからない企画”がなんと40本も?
さて、そんな佐伯がどんな配信をしているのか。ゲーム実況以外にもさまざまな企画に挑戦している佐伯なのだが、そのクセの強さも人一倍だ。
某ゲームを模した「サイキクラフトアドベンチャー」という架空のゲームを編み出してフィットネスをする、三連休中の企画配信としてコメントに指示してもらってスイカ割りを試みる、スタジオに出ると称して実写動画を流し、石を料理して食べるなど、体を張っているどころではないレベルの企画配信をしばしば行なっている。
こういった企画配信は、佐伯のYouTubeチャンネルで「よくわからない企画集」として再生リスト化されており、現在まで40本以上もの動画が再生リストの中に入っている。デビューから約3年以上経ち、本人ですら「よくわからない」といえる企画を40本分も考え、配信上でみせているのは、単純に末恐ろしさすらある。
自身で考えた無理難題に体当たりでのぞむ姿は、にじさんじの公式切り抜きチャンネルでも捉えられている。
そんな佐伯だが、同じグループで活動する赤城、緋八、宇佐美の3人からは「人見知り」だと言われている。普段の配信で見せる笑顔いっぱいの佐伯からはなかなか想像できないが、「大人数になると途端に何を話せばいいかわからなくなってしまう」というのは、筆者も経験がある。
そういった自身の気質については佐伯本人もわかっており、「人見知りというより、内弁慶なんだと思う!」という自己評価をリスナーに話していた。
人見知りで内弁慶、そんな彼の司会進行から見えるもの
佐伯が大人数のときに置かれているポジションを気にしてみると、石神のぞみとともに司会役を担当し、同時期にデビューした面々にくわえ、先輩・後輩・海外メンバーを含めてビシビシと仕切っていたのが記憶に新しい。
同じくネットカルチャー好きである石神とはVTA時代から親交を深めており、何かとイジりやすい石神が横にいることで佐伯も緊張がほぐれ、スムーズに司会をこなせていたようだ。
配信を通じて上述したようなネタ動画を生み出し、普段の会話からネットミームやネタを積極的に引用する佐伯は、はたから見るとボケ役に見られがちだ。
だがこうした場に立つ時の彼は、相手の出方を見てアレコレとツッコミを入れ、しっかりと場を回している。そういった姿を見ていると、彼のセンスがあくまで自分に向けられたものであること、そして“根はしっかり者”であることが伝わってくる。冗談は冗談、ボケはボケとして自覚してコントロールしているのが、こちらにも伝わってくる。
佐伯が在籍するOriensと、同期グループのDytica。彼ら8人によるMECHATU-Aは、7月22日にはファーストミニアルバム『On-Deck!』がリリースされ、2026年10月10日にはファーストライブ『Over Drive!』をKアリーナ横浜で開催する予定となっている。
現在のにじさんじにおいてもっとも勢いがあるといっても過言ではない8人。彼ら8人がずらりと並んだとき、個性豊かなライバーたちをひとまとめにして司会をするのは、佐伯イッテツその人なのかもしれない。
おもえば、にじさんじはこれまでもネットミームやネットカルチャーに高いアンテナを持ったタレントを生み出してきた。“始祖”である月ノ美兎にはじまり、社築、花畑チャイカ、春崎エアル、リゼ・ヘルエスタ、周央サンゴ、石神のぞみ……。後輩も含めるならば栞葉るりや渚トラウトらも入るだろう。
この系譜の中に、もちろん佐伯も入るはず。なによりこのメンツを見ればわかるように、司会役もしくは引っ掻き回す役となり、場をコントロールする人物が多い。自身の発する言葉に自覚的だからこそ、自身の言動をカメレオンのように変え、場に適応してしまう……そんな柔軟性、ある種の空気読みのようなスキルが、佐伯の中にもあるのかもしれない。
ネットカルチャーに染まった様々なネタを飛び道具のように放ちつづける佐伯が、この日のこの瞬間だけは、7人のトークを切り盛りしながら約2万人の視線をものの見事にコントロールしていく。そんなシーンが生まれれば、それは痛快なモーメントになるんじゃないだろうか。筆者は、密かにそんな期待をしている。