にじさんじ・緋八マナの活動から感じる“プロ意識” 明るいトークとエンタメ精神を持つヒーロー
トークだけではない、クリエイティブワークにも強い緋八マナ
ゲーム配信では高い雑談力をいかしてさまざまなタイトルをプレイしているが、彼の本領はファンからは少し見えづらいところにある。じつは動画編集や歌のミキシングなど、クリエイティブワークに強く、初配信で披露した映像も歌・ミックス・イラスト・動画をすべて自分自身で担当。OriensやDyticaのユニットマークやロゴも、緋八が担当したようだ。
その後、自身の配信で使用するムービーの制作や、自身の歌配信で使用する音源に自分でコーラスを吹き込んでみるなど、活動の随所で持ち前のクリエイティビティを発揮しているのだ。
ある配信では、自身の歌と歌唱パートをどのように制作しているか、収録の模様を配信を通じて公開したことがある。DAWソフトを立ち上げ、メインボーカルをしっかりと歌ったあとにピッチ調整やクオンタイズを使っていく緋八。歌詞に対して声のニュアンスをどう当てるかじっくりと考え、要所要所でパンチイン・パンチアウト(録音した歌や演奏から修正したい部分だけを録音しなおし差し替える作業)をしていく。
録音、再生、調整、録音、再生、調整、録音、再生、調整……緋八は表現と確認をくりかえす。納得したところで今度はコーラスやハーモニー部分の収録に入り、またしても録音と再生、調整へ。約2時間を超える配信でできあがった音源は、「簡易版」「仮音源」としてメンバー限定で公開されたのだった。
こうした活動内容からも分かるように、緋八は自身をシンガーとして押し出していこうという気概に溢れた人物でもある。
2025年3月8日に自身初のオリジナル楽曲「パッチワーク・ヒーロー」をリリースし、6月末には「ヤキツキ」、12月には「永遠をめぐる翼」と、1年に3曲のオリジナル楽曲をリリースしたのだ。
「パッチワーク・ヒーロー」の制作に携わったのは『ソードアート・オンライン』や『Fate Grand/Order』などの関連楽曲を手掛けてきた毛蟹(LIVE LAB.)、「永遠をめぐる翼」は2000年代から同人音楽シーンで活躍を続けてきたシンガー 兼 クリエイターの霜月はるかが作曲を手掛けるなど、豪華なメンバーを起用している。
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TYPE-MOONによる人気ゲーム/伝奇活劇ビジュアルノベル『Fate/stay night』を起点にした幾多の関連シリーズの中…現代の楽曲において、オーケストラサウンドなどのストリングスパートは打ち込みで代用することが多くあるが、「永遠をめぐる翼」と「パッチワーク・ヒーロー」では生楽器を使って収録しており、重厚感をもったサウンドに仕上がっている。収録時のエピソードについては、自身の朝活雑談だけでなく、「パッチワーク・ヒーロー」を手掛けた毛蟹とのコラボ配信で制作秘話を明かしている。
さて、ここで一つ想像してほしいのだが、もしもあなたが自身の好きな領域(音楽やマンガでもいい)で最前線を走るクリエイターといっしょに仕事をするとなったとき、どういう風に仕事をするだろう。
好きだからこそ、ある程度学んでいるからこそ、共作するクリエイターの凄さが肌身でわかるはずで、そういった面々と一緒に仕事をするとなれば、おもわず「言われた通りにこなそう」という風に脳裏をかすめてしまうかもしれない。アニメや漫画が好きな緋八にとって、毛蟹や霜月はるかはシーンにおいて活躍する先輩たちであり、なおのこと及び腰になっていても不思議ではない。
そんななかでも、彼は臆することなく自分の意見やイメージを伝え、共有し、よりよい物を作ろうと試みた。MVを制作するときは自作の絵コンテやイメージボードをもって動画制作者にコンセプトをつたえ、自身のコンプレックスや弱さについて明かすなど、、全身全霊をもって制作したことを明かしている。
先述したような配信上での明るさや爽やかさは、自身の高い意識やコントロールによるものであり、裏を返せば弱さやネガティブな一面を、自身の配信内で映し出したくないということにつながる。
彼の制作した3曲は、配信上で見せているようなブライトな輝きではない。どこかすこしズキズキとした痛みや拭いきれない恐れを封じ込め、“ヒーロー・緋八マナ”ではなく“人間”としての緋八マナの魅力が滲んでいる。
2026年6月の現時点で、4曲目となるオリジナル楽曲のリリースは行われていないが、それは彼が所属するOriensとDyticaによる8人組グループ・MECHATU-Aが、2026年10月10日にファーストライブ『Over Drive!』をKアリーナ横浜で開催することが、少なからず影響しているかもしれない。
自身の音楽活動をよりグッと進めていきたいと考えている緋八にとって、この日この瞬間はただのデビュー戦ではなく、今後を左右する大一番といっても過言ではないだろう。ライブに足を運ぶ人がいれば、8人の中でもとびきりの光を発するであろう緋八マナの勇姿を、しかとこの目に焼き付けてみてほしい。
最後に、6月29日に緋八マナは24歳の誕生日を迎える。彼の一年が素晴らしきものであることを願うばかりだ。