「相手から誘われたい」“電柱女”が増加中? 『時計じかけのマリッジ』が映し出す、待つだけでは進まない婚活のリアル
今、婚活女子の間であるキーワードが注目を集めている。それは「電柱女」だ。
「電柱女」とは、婚活の場で相手からのアクションを待つばかりで、自分から一歩を踏み出せない女性を指す言葉。結婚したい。出会いもほしい。けれど、いざ関係を築く段階になると、つい待ちに回ってしまう――。これはABEMAオリジナルリアリティーショー『時計じかけのマリッジ』の先行映像#0で、恋愛・婚活アドバイザーの植草美幸氏が「見てるだけは“電柱女”なんですよ」と参加女性に切り込む場面に由来する。
『時計じかけのマリッジ』は、恋愛には自信があるものの婚活は初心者の美女3人が、30日後に行われる結婚式までに結婚相手を見つけなければならない“期限付き婚活プログラム”。参加するのは、人気婚活番組への出演経験を持つ経営者のあやか、現役アナウンサーのゆか、モデルのなつえ。3人は素顔を隠した総勢30人のハイスペック男性の中から、会ってみたい相手を選び、デートを重ねていく。
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特徴的なのは、参加女性たちが徹底して「選ぶ」ことを求められる点だ。男性陣は年収によってランキング化され、年齢や職業とともに紹介される。平均年収は2,000万円超え。条件だけ見れば、魅力的に映る相手は多い。
しかし婚活で問われるのは、わかりやすい条件を満たしているかどうかだけではない。自分にとって、一緒に人生を進めていける相手なのか。そこを見極めなければ、結婚にはたどり着けない。
番組のルールはシビアだ。女性たちは男性との関係性をどう進めていくのか、日々決断を迫られることになる。関係を深めるために“ゼロ日婚約”をして同棲へ進むのか。それとも別の男性を選ぶために“婚約破棄”をするのか。『時計じかけのマリッジ』は、婚活に必要な「見極める力」と「決める力」を同時に可視化する番組でもある。
未婚女性の約6割が「電柱女」 婚活のキーワードは「待つよりも動け」
番組に関連して、20〜39歳の未婚女性3000名を対象に行われた調査からも、恋愛や婚活における受け身の傾向が見えてくる。出会いの経路では、具体的な手段を持つ層のうち「マッチングアプリ」が26%で最多。一方で、「良いな」と思う相手がいても、自分からは動かず相手の出方を待つ人は約6割。さらに、自らアプローチすると答えた人を含めても、全体の85%が本音では「相手から誘われたい」と回答している。
マッチングアプリによって、出会いの手段は増えた。それでも、関係を動かす最初の一歩には、まだ大きな心理的ハードルがあるようだ。
婚活で具体的な話を進められない、いわゆる「電柱女」状態に陥っていると感じる人も全体の58%にのぼる。デートはする。食事にも行く。会話も続く――。けれど、結婚への本気度や将来の価値観には踏み込めない。そうして関係が進展しないまま終わってしまう“お食事会止まり”の婚活に、心当たりがある人も多いのではないだろうか。
そんな女性たちに婚活の現実を突きつけるのが、東京・青山の結婚相談所「マリーミー」代表で、これまで多くの成婚を支えてきた植草氏だ。先行映像#0でも、植草氏は参加女性たちに容赦なく切り込んでいく。
恋愛結婚が理想だと語るあやかには、「頭の中がお花畑みたいなところが見えました」「ディズニープリンセスじゃないんだから」と一刀両断。また、ゆかが自身の恋愛傾向について「付き合う前に、何回も食事を重ねて知ろうとする」と話すと、「無駄なお食事会」と辛口な指摘でバッサリ。食事を重ねて相手を知ろうとすることと、結婚に向けて具体的な話を進めること。その差が、婚活におけるひとつの論点として浮かび上がる。
こうした流れから、番組を通して見えてくる婚活のキーワードのひとつは、「待つよりも動け」ということだ。相手から誘われるのを待つ。気持ちを示してくれるのを待つ。いつか理想の相手が現れるのを待つ。そうした受け身の姿勢は、限られた時間の中で結婚相手を探す婚活では足かせになりやすいのだろう。
選択肢の多さから生じる迷い――『時計じかけのマリッジ』は、令和の婚活市場の縮図
もうひとつのキーワードは、「条件の先を見る」こと。『時計じかけのマリッジ』では、出会った相手の情報を植草氏視点で整理する「マリッジメモ」も登場する。年収や職業、勤務地、生活スタイル。そこに並ぶ情報は、相手を知る材料にはなる。しかし、それだけで結婚後の暮らしまで、まるっと見えるわけではない。
番組内でも、年収ランキング上位の男性と下位の男性の間で気持ちが揺れたり、高収入の男性との会話を通して価値観のギャップが浮かび上がる場面がある。条件だけを見れば申し分なく思える相手でも、実際に向き合ってみると、生活の感覚や将来の描き方、自分が望む生活環境とのずれが見えてくる。条件が整っていることと、自分が望む結婚生活が手に入ることは、必ずしも同じではない。
さらに、選択肢が多いほど、決断は難しくなる。誰か一人を選ぶことは、ほかの可能性を手放すことでもあるからだ。
調査では、「もっといい人がいるかも」と別の人を探して後悔した経験がある人は48.5%にのぼった。さらに、「この人とは二度と会えないかも」という不安を感じたことがある人は58%で、そのうち86%が、十分に納得しきれていない相手でも関係をキープしてしまった経験があるという。
『時計じかけのマリッジ』では、その心理が「KEEPデート」という仕掛けによって可視化される。婚約者の許可を得られれば、その相手をキープしたまま、別の男性とデートに行くことができるというシステムだ。
多くの選択肢を持てるのは、婚活において強みになる。しかし番組では、相手をキープした先で、かえって迷いが深まっていく。片方には結婚後の安心感があり、もう片方には恋愛として惹かれるトキメキがある。そんな比較に共感してしまう人も多いのではないだろうか。どちらも簡単には手放せないからこそ、迷いはより生々しく、本当に向き合うべき相手を見失ってしまう場面も少なくない。
『時計じかけのマリッジ』は、恋愛に自信がある女性たちが、“婚活”という現実の前で何を選び、何に迷い、どう決断していくのかを映し出す番組だ。植草氏の鋭い言葉と参加女性たちの選択を通して見えてくるのは、待つだけでは進まない婚活のリアル。限られた時間の中で条件を見比べ、迷いながらも“結婚を見据えた相手”と向き合おうとする本番組は、選択肢が増えた令和の婚活市場の縮図とも言えるだろう。
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