世界一の携帯電話評論家・山根康宏のスマホ進化論(第13回)
海外スマホはここまで進化した 2億画素×外付けレンズで超望遠クラスに踏み込んだ『vivo X300 Ultra』実践レビュー
スマートフォンのカメラ性能はここ数年で著しく向上しているが、数百倍といったズーム撮影をするにはまだまだ高価な高級デジカメと高倍率の望遠レンズが必要だ。ところがそんな常識を打ち破るスマートフォンが海外で登場した。望遠レンズが装着可能で、その外観はもはやスマートフォンとは思えないほどだ。
2億画素カメラを2つ搭載、世界シェア5位のハイエンドスマホ
今回、紹介するのはvivo(ヴィヴォ)というメーカーの『X300 Ultra』だ。vivoは日本ではあまり知られていないが、世界規模で見るとスマートフォンの出荷台数は世界シェア5位。日本以外の国では知られたメーカーなのだ。そのvivoが2026年4月に発売した最新モデルが『X300 Ultra』なのである。カメラは驚異の2億画素を2つと5000万画素をひとつ搭載している。
チップセットに現時点で世界最高性能を持つクアルコム製の「Snapdragon 8 Elite Gen 5」を採用しており、スマートフォンとしての性能も世界最高クラス。ストレージも最大1TBを搭載する。バッテリーは6600mAhで100Wの急速充電にも対応している。
『X300 Ultra』のカメラ部分は側面にいわゆる「ローレット処理」を施すことで、交換レンズを取り付けたようなイメージに仕上げている。本体重量は232gまたは237gで軽量とは言えないものの、手にもってみるとその存在感をしっかりと味わうことができる。
2億画素カメラの威力は絶大だ。『X300 Ultra』は広角撮影、3.7倍望遠撮影のどちらも2億画素で写真や動画が撮れる。さらに超広角も5000万画素カメラでしっかりと撮影できる。ちなみに「iPhone 17 Pro Max」のカメラは4800万画素が3つ。X300 Ultraのカメラ性能のすごさがわかるというものだ。
350倍の望遠レンズを装着可能
『X300 Ultra』は本体だけで最大100倍のデジタル望遠撮影が可能だ。AI補正を効かせ、デジタル望遠とは思えぬ美しい絵が撮れるが、それは後で紹介しよう。さらに400ミリ対応のテレコンレンズとして『vivo G2 Ultraレンズ』が別売されている。『X300 Ultra』にグリップ付きのカメラ風ケースを取り付け、カメラ部分には専用のアタッチメントを装着して利用する。
レンズを取り付けると、スマートフォン本体からレンズが大きく伸びた外観となる。レンズは金属製で高級感もあり、『X300 Ultra』に取り付けたシルバーカラーのカメラキットカバーと一体化するよう、色合いも統一されている。
このレンズを取り付けると標準で16倍(400ミリレンズ)、最大で350倍(8100ミリレンズ)での撮影が可能となる。しかもAIによる手振れ補正により、100倍どころか最大の350倍で撮影するときも手持ちで写せるのだ。
100倍撮影もAI処理で実用的、300倍も十分使える
では実際に作例を見てみよう。ズーミングによる画角の違いを見るため、同じ場所で倍率を変えて撮影してみた。なおレンズの倍率は23ミリレンズ換算である。まずは超広角カメラから。
続いて標準の広角カメラでの撮影だ。実は『X300 Ultra』の標準カメラは焦点距離35ミリのレンズを搭載している。一般的なスマートフォンは23ミリや28ミリなど、カメラの世界でいえばワイド感の強い広角を搭載している。『X300 Ultra』はより画質のゆがみにくい35ミリを搭載することで、ポートレート撮影も顔のディテールを崩さず撮影できる。
10倍の230ミリ。かなりの望遠でだいぶ遠い部分も拡大して撮影できる。船のマストの周りもしっかり写っている。
次に一気に100倍で撮影してみよう。デジタルズームであり一般的なスマートフォンなら、画質は荒く「記録として見る程度」にしか使えない倍率だ。ところが『X300 Ultra』ではワイヤーの1本1本もくっきりした仕上げに写してくれる。AI処理は写真をここまで仕上げてくれるのである。もはや「100倍ズーム」が日常的に使えるレベルに達していることがわかるだろう。
ここで『G2 Ultra』レンズを『X300 Ultra』に取り付けてみた。まずは140倍(3200ミリ)での撮影だ。「JRC」と書かれた箱の上のペンキの劣化具合などもしっかり表現されている。
そして最大倍率の350倍(8100ミリ)で撮影してみた。数枚前の、船全体を写した写真と比較してほしい。米粒ほどにしか見えない部分がここまで大きく、しかもボケもほぼなく写ってしまうのだ。全体的なディテールに甘さはあるものの、SNSに投稿するレベルなら全く問題ないだろう。
望遠レンズの世界を体験
「望遠レンズなんて使わない」「なくても困らない」なんて意見もあるだろう。だが実際に『X300 Ultra』に『G2 Ultra』レンズをつけて使ってみると、旅先などでは積極的に使いたいと思えるのだ。以下は香港での作例だが、実際にどんな効果があるかを見てみよう。
まずは標準の35ミリ撮影。ビクトリアハーバーの向い側を撮影してみた。画面中央に小さく見える観覧車や、1本だけのっぽな高層ビルに注目してほしい。
『G2 Ultra』レンズをつけて16倍(400ミリ)で撮影。観覧車をここまで拡大できる。こんな撮影は一般的なスマートフォンでは不可能だ。
そして350倍(8100ミリ)で撮ってみると、なんと観覧車のひとつひとつの「かご」がここまで写ってしまうのだ。よく見ると観覧車のフレームなどが若干ゆがんで見える部分もあるが、これがAI処理の跡である。とはいえ十分「使える」写真ではないだろうか。繰り返すが、この写真は三脚を使わず手持ちで撮影している。
もう一度全体の写真に戻って、高層ビルを見てから、この写真を見てほしい。16倍(400ミリ)でビルの上部を撮影したものだ。
こちらも350倍(8100ミリ)で撮影。高倍率望遠撮影の威力がわかるだろう。
日本でも高倍率撮影スマホが間もなく登場
ちなみにvivoは日本市場に参入しておらず、優れた高倍率撮影ができたとしても海外での話にすぎない。ところが日本でも同じように望遠レンズを取り付けられるスマートフォンが発売される予定だ。2026年4月中旬、OPPO(オッポ)は折りたたみスマートフォン『Find N6』の発表会を東京で行ったが、その席で『Find X9 Ultra』をこの夏に日本で発表することを表明した。
『Find X9 Ultra』は中国で先行販売されているが、『X300 Ultra』同様に望遠レンズを取り付けることができる。このスマートフォンが今年の夏に日本で発売されるのだ。
老舗のカメラメーカー、ハッセルブラッドとも協業しており、本体だけでも美しい写真撮影が可能だが、望遠レンズを取り付ければ、『X300 Ultra』のような超高倍率ズーム撮影も可能になるのである。果たして日本でいつ登場するのか、価格はいくらになるのか、楽しみである。