『Weekly Virtual News』(2026年3月24日号)

星街すいせいの個人事務所設立、アバター通話アプリ『POPOPO』登場……新たな波が訪れるバーチャル業界の1週間を振り返る

 VTuber、XR技術、メタバース――様々な“バーチャル”に関するトピックは、日々多く生まれている。企業による巨大な施策から、個人によるマイクロだが熱気あふれる取り組みまで、その規模は様々だ。

 連載『Weekly Virtual News』では、一週間のうちに起きた“バーチャル業界”に関連する様々な話題をピックアップ。ニュースとして紹介するだけでなく、筆者の独断と興味関心からフックアップしたいトピックも取り上げる。

星街すいせいが個人事務所を設立

 3月22日の夜、バーチャルアーティストの星街すいせいが、生誕記念ライブの中で大きな発表を行った。個人事務所「Studio STELLAR」の設立だ。

 現在の大きな目標である東京ドームでのライブに向け、配信、音楽活動、メディア出演、グッズ展開などを、より自由に展開していくための新たな拠点となる。ホロライブ所属タレントとしても引き続き活動予定だが、活動の軸はこの事務所を拠点としたソロ活動へと移るという。

プリマドンナ / 星街すいせい(official)

 さらに、公式サイトおよびファンクラブ開設、全国アリーナツアー開催発表、さらにTAKU INOUEとの音楽プロジェクト「Midnight Grand Orchestra」の再始動も発表され、新体制のもと夢へ向けた大きな一歩を踏み出した形だ。同日に発表された新曲「プリマドンナ」が示すように、バーチャルアーティストの“一等星”の新たな道のりが始まったと言えよう。

『POPOPO』サービス開始 アバターコミュニケーションの入口となるか?

 3月18日、新たなスマートフォンアプリ『POPOPO』が発表された。同日にサービスが開始され、さらに運営企業となるPOPOPO株式会社も発表された。取締役には川上量生のほか、GACKT、西村博之、庵野秀明が、取締役CTOにソーシャルVR「バーチャルキャスト」も手がけた岩城進之介が名を連ねる。

 「カメラのいらないテレビ電話」を謳うこのアプリの正体は、自動制御されるアバターを介した通話・コミュニケーションアプリだ。任意のアバターを選び、通話用のルームを立ち上げれば、後はDiscordのように人と会話ができる。事前にフォロワーとなったほかユーザーはもちろん、そうではないユーザーも招いたオープンな配信もできる。配信形式では“聞き専”も可能だ。

 筆者も軽く使ってみたが、WEBカメラを使わずともアバターがいい感じに動き、発話者が自然とカットインされる演出と合わせた通話体験は、意外と心地がよい。『VRChat』を筆頭としたソーシャルVR体験のうち、「アバターを介した会話」のみを抽出したような感覚だ。

 これをスマホ一台で体験し、アバターコミュニケーションそのものに慣れ親しむ上では、なかなか良い線を行っているように思う。一方で、“それ以外はできない”点は飽きを呼ぶ可能性もあるように感じた。ソーシャルVRに人が集まる理由は「そこに人がいるから」とよく言われるが、著名人の通話に気軽に参加できる点などを活かし、人が集まる土台を整えられれば、発展の余地はありそうだ。今後の動向に期待したい。

『VRChat』上の本格的なホビー展「バーチャルホビーフェス2026」開催

 『VRChat』では、ホビージャパンとVの共催イベント「バーチャルホビーフェス2026」が3月20日から開催がスタートした。4月5日までの期間限定イベントとなる。

 名称から察せられる通り、本イベントは特設ワールドを用いたホビー展だ。最たる特徴は名だたるホビーメーカーの品々が展示されているところだ。「スター・ウォーズ」「マクロス」「ゾイド」などなど、多くの人が知る著名タイトルがそろっている。『バーチャルマーケット』の企業出展エリアがホビーに特化したような感じ、と言えば方向性が伝わるだろうか。

 フォトグラメトリとおぼしきロボットのプラモデルやフィギュア、オフィシャルなデータから作ったと考えられる3Dモデルなど、好きな人ならばたまらない展示内容だ。そして展示物のスケールも大きなものが多い。眼前にそびえる巨大なブレードライガー(「ゾイド」シリーズ)には、有無を言わせない迫力がある。

 展示物だけでなく、一部メーカーは『VRChat』向けアイテムの販売にまでこぎだしている。シングルアクションリボルバーの“バーチャル・モデルガン”、戦車「ARSENIA64 M1A2エイブラムス」を操作できるラジコン、どこでも遊べる「番犬ガオガオ」、そして「ゾイド」シリーズの人気機体・ジェノブレイカーのアバター随伴ギミックと、各所とも力の入れ具合が伝わる。

 ちなみに、主催のホビージャパンはこのイベントに加えて、オリジナルロボ「ヴァルライン」を3Dアバター化し、『VRChat』公式アバターショップで販売を始めている。直近のホビージャパンは『VRChat』で遊べるホビーアイテムの制作を始めており、「バーチャル・ホビー」とも言える新たな事業領域の開拓に挑んでいる印象だ。本イベントは、その大きなマイルストーンとなるだろうか。

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