「運営なら何を言っても許される」は終わり? ゲーム業界のカスハラ対策が本格化する背景

 令和になり、さまざまな業界で問題視されるようになったカスタマーハラスメント、通称「カスハラ」。ゲーム業界でもカスハラ対策が急速に進むなか、スクウェア・エニックスの施策が注目を集めている。

 3月2日、スクウェア・エニックスは「当社役職員等へのハラスメント行為に対する対応について」と題した文章を発表。あるまとめサイトの管理人に対して、『ファイナルファンタジーXIV』スタッフの社会的評価を低下させる内容を含む記事を掲載したとして、発信者情報開示請求を行った旨を報告した。この件はサイト管理人との協議を経て、当該サイトの閉鎖や謝罪文の掲載などによって和解が成立したという。

 この件の余波は大きく、当該サイト以外の『FF14』関連まとめサイトも次々に更新停止を発表。また別会社(ガンホー・オンライン・エンターテイメント)のゲームである『パズル&ドラゴンズ』のまとめサイトからも同様の発表があり、ゲーム関連の情報を扱うまとめサイト全体に釘を刺した形となった。

MMORPGやソシャゲで過激化しやすいユーザーの批判

 実際にMMORPGやソーシャルゲームといったジャンルでは、運営スタッフに対するユーザーの批判が過激化しやすいと言われていた。とくに匿名で書き込めるネット掲示板やまとめサイトのコメント欄などは歯止めが利かず、「運営に対してなら何を言っても許される」といった風潮が蔓延していた節がある。そのなかで今回スクウェア・エニックスがとった対応は、エスカレートする誹謗中傷を抑止する効果を期待できるかもしれない。

 カスハラ対策を進めているのは同社だけではない。たとえば任天堂は2022年、「修理サービス規程/保証規程」に「カスタマーハラスメントについて」の項目を追加して注目を集めた。内容は修理品について問い合わせる際の、「威迫・脅迫・威嚇行為」や「侮辱、人格を否定する発言」といった社会通念上相当な範囲を超える行為に対して、厳しく対処するという方針を明らかにした形だ。

 カプコンも同様に、「社会通念上相当な範囲を超える行為」に対して適切に対応していくといった主旨の声明を2025年に発表。ちなみにこの声明が発表されたのは、ちょうどユーザーからの批判的な声が少なくなかった『モンスターハンターワイルズ』が発売されてから少し経った時期だ。

背景にあるゲーマーの“語り合い”文化と“悪ノリ”の過激化

 なぜ公式が厳しく対処するような状況が生まれてしまったのか。その背景を考えると、ゲーマーの“語り合い”文化が影響しているように思われる。

 ゲームというジャンルはファンコミュニティの熱気が高く、ファン同士で感想を語り合うことが楽しみの一つとなっている。かつてのゲーム雑誌に見られた投稿欄の盛り上がりがそれを象徴していると言えるだろう。さらに1990年代後半~2000年代の匿名掲示板黎明期の頃から、そうした活動がインターネット上で盛んに行われるようになっていった。

 ファンコミュニティで共有されるのは、必ずしもポジティブな感想ばかりではなく、たとえば出来の悪いゲームやバグの多いゲームを「クソゲー」として茶化す文化があったことは有名だ。そうした“悪ノリ”はゲーム業界を盛り上げる一因となっているものの、とくにネット上では内輪ネタが過激化しやすいという側面もあり、ゲーム会社が無視できないほど人目を引くようになってしまったと考えられる。

課金ユーザーが抱える“お金を払っている”という意識

 さらに重要なのは、ファンが過激化しやすいとされているソシャゲやMMORPGが、ユーザーの“課金”によって成り立っているゲームであるという事実だ。普段お金を使っているゲームが、自分の意志とそぐわない方向に向かってしまう……ということで、語気が強くなる人が多かったのではないだろうか。

 もちろんお客様は神様ではなく、お金を投じているからと言って何を言ってもいいわけではない。また、ゲームをネタとした悪ノリにも作り手への敬意が前提として求められる。ゲーム会社とゲーマーが幸福な関係を構築していくことを祈りたい。

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