『シャドバWB』初のカード調整での変化は? 「財宝ロイヤル」と「クレストビショップ」が活躍

 スマホカードゲーム『Shadowverse: Worlds Beyond』にて8月にリリースされた新パック「絶傑の継承者 / Heirs of the Omen」では多くの個性的なカードが追加された。

 新弾の追加から1カ月が経ち、環境が固まってきた中、9月末にカードの能力調整が入ったことによりこれまで活躍できなかったデッキにも可能性がでてきている。本稿では、新カードがもたらした環境の変化を振り返りつつ、カード調整を踏まえ、現在活躍しているデッキを紹介する。

「財宝ロイヤル」と「クレストビショップ」「ナイトメア」が環境で活躍

 まず、現環境の初期から今も活躍し続けているのが「財宝ロイヤル」デッキだ。このデッキでは新たに追加された「財宝」カードを活かしながら戦う。「財宝」カードで小回りが効くだけでなく、<簒奪の継承者・シンセライズ>と<空絶の残光>によるバーン性能、<王断の天宮・スタチウム>や<レヴィオンの迅雷・アルベール>といった前環境から引き続き強力なカードもあって、一気に相手のライフを削る動きが強力なデッキとなっている。

 その一方で、長期戦ではリソース不足に陥りやすく、回復や守護には弱い傾向にある。そうした弱点を補うために<煌刃の勇者アマリア>を投入したレシピも見られる。

「財宝ロイヤル」は財宝カードを融合した<シンセライズ>によるバーンと、9PPからのエンハンス<アルベール>だけで相手のライフを削り切る動きが強力

 「財宝ロイヤル」は新弾リリース時から現在まで高い評価を保っているが、徐々に評価を上げ、現在も猛威をふるっているデッキが「クレストビショップ」だ。このデッキは「クレスト」の数に応じて相手のフォロワーとリーダーにダメージを与えられる<絶望の顕現・マーウィン>のクレストでライフを削っていくデッキ。攻撃をすると<マーウィン>のクレストが発動しないというデメリットがあるものの、「ビショップ」カードの高い処理性能を活かせば相手のフォロワーを処理しながら相手リーダーにバーンダメージを与えることができる。

 <マーウィン>のクレスト効果を発動するまでは相手のライフを削る手段は乏しいものの、豊富なドローソースによって<マーウィン>を手札に引き入れやすいのもこのデッキの強みだ。また、序盤のパワーに乏しく、ライフを削られてしまう展開も少なくないものの、クレスト枠が埋まっている状態で使用する<狂おしき恩寵>がデメリットなしでライフを10回復する2コストカードとなり、リーサルを回避する手段として非常に強力なのもポイント。1桁しかなかったライフが試合終了時には全快しているということも珍しくない。

相手の場のカードを除去しつつ、<マーウィン>のクレストでリーダーのライフを削っていく
<マーウィン>のクレストだけでなく、アミュレット<輝く失意>もバーンと回復を両立した強力なカードだ

 また、「モードナイトメア」も環境で活躍しているデッキだ。このデッキは、能力を選択して発動する「モード」効果を持ったカードで盤面をコントロールしながら、「モード」を2つ選べるようになる<混融の継承者シャム=ナクア>の着地を目指す。<シャム=ナクア>の効果は、「モード」効果を10回発動していないと適応されないものの、ひとたび発動してしまえば<絶叫と愛絶の顕現・ルルナイ&ヴァーナレク><双輪夜行・ギンセツ&ユヅキ>などの強力な「モード」効果で非常に強力な動きが可能だ。

 他の上位デッキに比べ、強みを押し付けるまでの助走が長いデッキではあるものの、<シャム=ナクア>着地前でも柔軟な動きがしやすいため、テンポよく試合が進めば序盤〜中盤で試合を決めることも可能だ。“上ぶれ”気味の動きにはなるが、<混融の肯定者>のスタッツをあげるモード効果は進化時にも発動するため、4ターン目で7/7のフォロワーで攻撃することも可能。この動きができれば、序盤がネックとなるデッキは一気に崩れることとなる。

「モードナイトメア」はカードの効果を選択する「モード」効果を的確に使用できるかがカギとなる

<シャム=ナクア>着地後は、モードが2つ選べるようになり、返し辛い盤面を作りやすくなる

ニュートラルレジェンド<マゼルベイン>と<ギルネリーゼ>もそれぞれ活躍

 現環境では他にも、前環境トップだった「スペルウィッチ」が引き続きトップに位置しており、「クレストビショップ」などの遅めのデッキに対する“蓋”として活躍している。一方、前環境で同じく活躍していた「リノセウスエルフ」もシェアは落としたものの、「スペルウィッチ」に勝ちやすいという立ち位置は維持できている。また、「モード」に特化していない「ミッドレンジナイトメア」も各カードの単体性能の高さから徐々に評価を戻しつつあるようだ。

 現環境で筆者が好んで使用しているのが、序盤から攻めていく「テンポエルフ」。手札のエルフの数に応じて強化される<ビギンズブレイダーアマツ>が高スタッツで場に出せればそのまま試合を決めきれるほか、速攻タイプのデッキにありがちなリソース切れを<絶大の顕現・マゼルベイン>の無限リソースで補うことができる。

 <マゼルベイン>はデッキ切れを敗北ではなく特殊勝利に変更。デッキを「絶傑の継承者」に収録されている全てのカードが1枚ずつ入った「マゼルベインデッキ」にし、毎ターン手札を捨てて引き直すというクレスト効果を持っている。運の要素は絡むものの、そのギャンブル性と、供給された手札をどう使うかを考えるのが楽しい1枚だ。

<マゼルベイン>の効果はギャンブル性抜群で楽しい

 なお、<マゼルベイン>はどのデッキでも投入できるニュートラルフォロワーのため、さまざまなクラスのデッキで活躍の余地がある。「テンポエルフ」のようなリソース不足に陥りがちなデッキなら、第2の勝ち筋として投入を検討してみるといいだろう。

 一方、今回追加されたもう1枚のニュートラルレジェンドカード<干絶の顕現ギルネリーゼ>は多くのデッキで活躍するカードとなっている。このカードは、場のフォロワーの攻撃力を2上げ、体力を2下げるドレイン持ちのフォロワーで、相手フォロワーの体力を下げて除去に使用したり、自分のフォロワーの攻撃力を上げ、相手のライフを大きく削るといった動きや、ドレインでのリーサル回避など、場面ごとに応じた動きが可能だ。また、お互いのPPが10になっていると、相手フォロワーとリーダーに5ダメージを与えるスペル<干絶の甘露>を手札に加えることもでき、フィニッシャーの役割を担うこともできる。

 <干絶の顕現・ギルネリーゼ>は「スペルウィッチ」や「クレストビショップ」では序盤の除去札としてはもちろん、<干絶の甘露>をコンボに組み込み一気に相手のライフを削る使い方もできるカードとして活躍している。

序盤から終盤まで活躍する<干絶の顕現・ギルネリーゼ>

能力調整で注目される「人形ネメシス」と「ランプドラゴン」

 冒頭で触れた9月末のカード調整では、一部カードのバフが行なわれた。ナーフがなかったため、上で紹介したデッキのパワーには変動がなかったものの、新たに「人形ネメシス」と「ランプドラゴン」が注目されている。

今回調整されたカードたち

 人形ネメシスは、<狂気の創造者・リーアム>、<シンフォニアハート・ツヴァイ>、<パペットキャット>の3枚のカードが強化された。もともとこのデッキは<プロシードハート・オーキス>をフィニッシャーに据えたデッキとしてゲームリリース時の環境で活躍していたが、今回の調整で<ツヴァイ>が中盤の盤面の強さを支え、<パペットキャット>が<オーキス>の爆発力を増加、そして<リーアム>が9コストになったことにより<オーキス>を使用した次のターンに繰り出せるようになり、より試合を決めやすくなった。

 <オーキス>を引けるかや、ドローソースの少なさ、2コストフォロワーの選択肢の少なさなど、ネックになる部分は未だにあるものの、環境で活躍するには充分なパワーを得たデッキといえるだろう。

初期から活躍し続ける<プロシードハート・オーキス>

 また、今回の調整で<栄弦の天宮・リュウフウ>のコストが下がった「ドラゴン」デッキも注目株。ネメシスほどの強化ではないものの、PPブーストが行いやすくなったことにより、これまでよりも安定感が増している。現在は<覇道の竜翼・フォルテ>や<龍人演義・ガリュウ>といった「疾走」フォロワーを採用したタイプが多く見られる。上位のデッキに比べて安定感は劣るものの、ハマった時の爆発力は充分なので今後注目したいデッキとなっている。

 「絶傑の継承者」のリリースにより、盤面の取り合いに長けたデッキがパワーを落とし、いかに勝利に直結するコンボを決めるかを重視したデッキがより台頭した印象だ。また、「クレストビショップ」など長期戦で強力なデッキも登場。さらに上位のデッキは立ち回りが難しいものが多いこともあって、環境に合わせてゲーム自体のプレイフィールも変動したように思える。

 能力の調整はあったものの、弱体化が行なわれなかったため、こうした傾向は次弾の追加まで変わりはないだろう。ともあれ、強化されたデッキの構築面など、変化が楽しみな面もあるのでそうした点には注目したい。ちなみに、筆者は今環境は前環境からの変化がかなり大きかったと感じており、特に、「ロイヤル」の<静寂のアナテマ・ギルダリア>のような前環境で非常に強力だったカードをを全く見かけなくなったことに驚いている。

 なお、第4弾カードパックは、10月下旬のリリースを予定している。ここでどのような環境変化があるのかも楽しみだ。

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