イラストレーター・najucoも納得の『Wacom MovinkPad 11』の実力 「描きたい瞬間」を逃さない革新的ポータブルパッド体験レポート
ワコムは創作に特化したOS搭載ポータブルパッド『Wacom MovinkPad 11』のメディア発表会を開催した。本製品は「描きたい」気持ちにまっすぐ応えることを追求したオールインワンデバイスで、11.45型の液晶にAndroid 14を搭載。PCとの接続不要で、手に取ったその瞬間から創作を始められる。
発表会には本製品を先行体験したイラストレーター・najuco氏も登壇。「本当に軽くてびっくりした」と驚きを隠せない様子で、「遅延が本当に少なくて、直感的に手の動きそのままでサラサラ描ける」とコメント。特に新機能「Quick drawing」については「アイデアが湧いた瞬間にすぐ描き始められる」と、創作者にとって理想的な体験を実現しているとのことだ。気になる新製品のスペックや革新的なUX設計を紹介しつつ、najuco氏が体験を通じて感じた“創作への没入感”もレポートする。
いつでもどこでも、アイデアを逃さない588グラムの軽量ボディ
『MovinkPad 11』最大の特徴は、創作に必要なすべてが1台に集約されたポータビリティだ。重量588グラム、厚さわずか6.99ミリという薄型軽量で、まるでスケッチブックのような手軽さを実現している。Android OSを搭載しているため、PCとの接続も不要で、カフェでも公園でも、場所を選ばずに創作活動が可能になった。
注目の新機能「Quick drawing」は、スリープ状態の画面をペンで長押しするだけで、即座にワコムのスケッチアプリ「Wacom Canvas」が起動する仕組み。電源ボタンのダブルクリックでも同様に起動可能で、思い浮かんだアイデアを瞬時に描き留められる。
プロダクトマーケティングマネージャーの小幡幸結氏は「紙とペンの体験を存分に感じられる工夫が込められている」と説明。動画視聴やSNSなど多目的なタブレットとは一線を画し、「本当に描くための道具」として設計されたという。
プロ仕様の描き心地を実現する『Wacom Pro Pen 3』
ペンには、プロフェッショナルモデルでも採用されている『Wacom Pro Pen 3』が付属。内部構造から素材まで一から見直されたこのペンは、パーツの遊びを極限まで排除し、微妙な筆圧の変化も正確にタブレット側に伝える。鉛筆をイメージしたデザインで、細いペン先と握りやすい形状が特徴だ。
ディスプレイは2200×1440の高解像度で、sRGB 99%のカバー率を実現。アンチグレア・アンチフィンガープリント加工により、写り込みが少なく指紋もつきにくい。さらに本体内部のEMRセンサーの改良により、応答速度は12ミリ秒まで短縮され、ペン先の追従性が格段に向上している。
UXサービスデザインを担当した鈴木氏は「クリエイティブにフォーカスできることを実現する工夫を可能な限り盛り込んだ」と自信を見せる。驚くべきことに、テーブルに置かれた本体の取りやすさにまでこだわり、ゴム足の高さや硬さまで最適化。創作への没入を妨げる要素を、徹底的に排除している。
創作のサイクルを完結させる「Wacom UX」機能
本製品の気になる機能として、創作に特化した独自の「Wacom UX」が挙げられる。「Wacom Canvas」でスケッチや下書きを行い、シェアボタンをタップすると「CLIP STUDIO PAINT」(2年ライセンス付属)へシームレスに移行。作成したデータは自動的に「Wacom Shelf」に保存され、いつでも編集を再開できる。
さらに、動画を交えた分かりやすいマニュアル「Wacom Tips」、簡単なサポートアクセスを実現する「Wacom Support」など、創作者を全方位からサポートする環境が整っている。
「アイデアスケッチから本格制作まで、これ1台で」
発表会に登壇したnajuco氏は、数日前から本製品を先行体験。普段は13インチの液晶ペンタブレットを使用しているが、「最初に持ってみて、本当に軽くてすごい驚きました」と第一印象を語った。
特に心を掴まれたのは「Quick drawing」機能であるとし、「普段アイデアスケッチを描くときは、わざわざデスクトップPCの前までおこなって、ペイントソフトを起動してという工程があるんですけど、本当に一瞬で描き始められてしまうので、すごく便利」と、これまでの創作プロセスが一変したことを実感していた。
描き心地については「遅延が本当に少ないので、直感的に手の動きそのままでサラサラ描けます」と、プロならではの視点で高く評価。『Wacom Pro Pen 3』については「とても細くて手にフィットする」「充電不要なのもありがたい」と、実用性の高さに感激していた。
使用シーンについて聞かれると「ベッドに寝転がって使える」と嬉しそうに語り、創作活動がより自由で身近なものになったことを強調。「これがあれば、どこでも本格的な制作ができる」と、新しい創作スタイルの可能性に期待を寄せた。
初心者からプロまで、幅広い層に向けた“ちょうどいい”製品
najuco氏は本製品の魅力を「まずはペンタブレットを使ったことがなくて、でも興味はあるという人に使ってみてほしい。すごく直感的で描きやすいし、使いやすいので、もっと絵を描くことが好きになってくれると思う」と、初心者への門戸の広さを強調。
同時に「プロの方にも使ってほしい。アイデアスケッチの使い方もそうですし、イラストレーターって旅行先でも絵を描かれる方がすごく多いので、そういうところに持っていってほしい」と、プロフェッショナルにとっても魅力的なツールであることを力説した。
そして「学生の私がこれを持っていたら、デジタルで絵を描くハードルがすごく下がっていたと思う」と、かつての自分を振り返りながら、本製品が持つ革新的な可能性を示唆した。
創作者の「次のステップ」を支える、驚異的なコストパフォーマンス
『Wacom MovinkPad 11』は、エントリー向けの「Wacom One」とプロ向けの「Wacom Cintiq Pro」の間を埋める、まさに“ちょうどいい”製品として誕生した。しかしその実力は、単なる中間モデルの域を超え、すべての創作者に新しい可能性を提示している。
価格は6万9080円(ワコムストア価格、税込)。この価格で、プロレベルの描き心地と革新的なモバイル創作環境が手に入ることを考えれば、驚異的なコストパフォーマンスと言えるだろう。
「描きたい」気持ちにまっすぐ応え、創作への没入を最大化する新しい道具。それが『Wacom MovinkPad 11』が目指す姿だ。