2組のカップルに立ちはだかる“結婚”というステージーー「幸せのかたち」を考えさせられる『さよならプロポーズ』を見て

 キュンキュンとした気持ちや、明日使える恋愛テクニックを学ぶ場、誰と誰がどのように進展していくかなどを考察するなど、さまざまな楽しみ方ができる恋愛番組。

 ABEMAの結婚決断リアリティ番組『さよならプロポーズ』は、そのどれでもないように感じている。

 あえてどんな番組かを説明するならば「結婚決断リアリティ番組」という名前にふさわしく、結婚をするかどうかを決めかねている男女の悩みが凝縮されたような番組だ。その悩みのリアルさは、まるで自分の友人・知人など、すぐ近くで起こっているような身近さがあり、番組を見ながら「これ友達に相談されたら、なんて返そう…」と自分ごと化して考えてしまうことも少なくないだろう。

 それもそのはず、この番組は結婚に踏み切れないカップルが7日間の旅を通して、最終的に結婚するかお別れかを決めるという過酷なルールが強いられているのだから。

 そんな『さよならプロポーズ via スペイン』に今回参加しているのは、2組のカップル。

 まずはアパレル店員の彼氏・ケイゴと、アイブロウサロンを経営する年上の彼女・ヤワラのカップルだ。2人の交際期間は2年半、昨年末からは同棲を開始しており、一見とても仲睦まじいようにも見える。

 そんな2人の同棲生活は、2024年にサロンを開業し、朝から終電まで働く多忙な日々を送っているヤワラと、そんな彼女が快適に過ごせるよう家事をこなし、献身的にサポートするケイゴという関係性がデフォルト。これを見て、スタジオメンバーは「素敵!」と盛り上がるのだが、ケイゴは心のなかで、この関係性を「家政婦のようだ」と不満に思っていた。

 そもそもこのカップルにおける問題点は、お互いが自立していることと、優しすぎるところにある。自分で自分のことができるゆえに、相手の機嫌を損ねてまで自分の要求を言うのが怖いという気持ちが見え隠れしているのだ。

 実際、4話でケイゴはもう1組の参加カップルのタカミツと合流した際に、喧嘩できる関係性を「いいなー!」と羨ましがっていた。

 そして、もうひとつの問題が仕事観の違いだ。ヤワラはいま、サロンを開業したばかりでキャリアを止めたくない。その一方でケイゴは出世欲がほぼなく、ただいまの楽しい環境でそれなりにお金をもらって過ごせていたら……という考えなのだ。だからこそヤワラは、「結婚して、子どもが欲しいとは言うが金銭的な問題はどうするのだろう?」と心配してしまうのだ。

 これまで嫌われるのが怖くて、相手と価値観のようなものを擦り合わせてこなかった2人。この旅を通して、2人の価値観はお互いに納得できるものへとなっていくのだろうか。旅の後半の見どころは、2人が腹を割って話せるかということになりそうだ。

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