内田彩が語る『アイマリンプロジェクト』の独自性 「体験できない世界に連れて行ってもらってる」

内田彩が語る『アイマリン++』の新展開

 『アイマリンプロジェクト』が今年で10周年を迎え、再び転換期に突入している。

 その詳細については、同情報を発表した『ニコニコ超会議2025 SANYO超集合!ブース』のレポートに記した通りだが、なかでも大きかったのは『アイマリンプロジェクト++(読み:アイマリンプロジェクトプラス)』と名称を新たにしたことや、新キャラクターの登場にコンセプトファンクラブ「自由機甲楽団」の新設。さらには、同楽団の団歌として新曲「M.A.D.」をリリースしたことだろう(参考:10周年で進化した『アイマリンプロジェクト++』、VRライブ&新キャストも登場の『ニコニコ超会議』を目撃した)。

 「M.A.D.」にはどんなメッセージが込められているのか。そして『アイマリンプロジェクト++』は目下、どんな未来予想図を広げているのか。リアルサウンド テックでは、主人公=アイマリンを演じる声優の内田彩にインタビューを実施し、作品のディレクター/映像作家を務める篠田利隆氏をサポートに交えながら、「M.A.D.」の制作エピソードをはじめ、内田のVRコンテンツに対する印象や、声優と作家陣が一緒になってキャラクター像を作り上げるスタンスなどについて、たっぷりと語ってもらった。(一条皓太)

「さすがにプロジェクトの名前もロゴも変わるしかない!」

ーーこのたび『アイマリンプロジェクト++』として名称を新たに、コンセプトファンクラブ「自由機甲楽団」新設から、オルカ(CV:松岡洋平)、イサナ(CV:砂田理子)といった新キャラクター登場まで、さまざまな情報が立て続けに明かされました。

内田:これまで数多くのクリエイターさんと、毎回違ったコンセプトに挑戦してきた『アイマリンプロジェクト』でしたが、コロナ禍を挟んでなかなか思うようには活動できず。そこから大きく動き出すと思ったら……これだけの新たな試みがあれば、さすがにプロジェクトの名前もロゴも変わるしかない! 『アイマリン』のプラットフォームがどんどん盛り上がっていくのを、私もうれしい気持ちで見守っ……てちゃいけないですよね(笑)。

ーーなんたって主役ですから。

内田:でも、歌う楽曲が年々複雑になっているので、新曲「M.A.D.」も「ライブで歌えるかな?」と早くも心配しています。

ーー「M.A.D.」は、自由機甲楽団の団歌として、新キャラクターのイサナとともに挑発的なラップを繰り広げるヒップホップチューン。第一印象はいかがでしたか。

内田:真っ先に浮かんだのは「どうやって歌えば……?」でしたね。事前にいただいた仮歌がめちゃめちゃゴリゴリでカッコよかったので、ただ真似するだけにならないよう意識しつつも、まずは同じ歌い方をしてみて。少し慣れてきたところで、私のなかのアイマリンらしさを馴染ませるように、高音を入れての差し引きなどを考え始めました。

ーー「アイマリンらしさ」とは具体的に?

内田:どこか透明感があることかな。2019年に『新章アイマリンプロジェクト』に突入してからは、等身も高くクールな印象が強くなったので、今回も曲に寄せすぎてあまりオラオラしないように意識していました。

ーーなるほど。内田さん=ラップのイメージはあまりなかったのですが、高難易度のリリックを見事に歌いきっていました。そこからさらにキャラクターを演じながらとなると、ますます難易度も上がったことかと思います。

内田:ラップ自体も、なんなら音程の部分もそうでした。「あまり低すぎる声にしたら、アイマリンらしさがなくなっちゃうんじゃ?」……なんて考えていたのは私だけかもしれないし、いざ試してみたら意外とハマるのかもしれないですが、私自身はそう思い込んでいる節もあって。でも、そのあたりの迷いはすべて、私の後にレコーディングした、イサナ役の砂田ちゃんとの完成系を聴いて安心感に変わりました。イサナがぐいぐいと前に出てくれて、バランスよく仕上がっていました!

ーーそれでは曲全体を通して、特に好きだった部分は?

内田:どうしよう、全部好きなんですよね~。歌い出しも、英語の部分も。あ、Bメロで〈nananana 飛び込めride on 上へ〉って歌っぽくなるところも。イサナパートの〈支配下に置こうなんて(笑) 海の藻屑に変えますから〉も、言葉遊びが効いていて好きです。

ーーかなり悩まれていますね。

内田:今回の曲はまとめて歌い上げるというより、言葉一つひとつに意識を向けて、むしろ置いてくる感覚だったのが本当に気に入っているんです。だから、う〜ん……やっぱり全部好き!(笑)

「アイマリンは2.8次元アイドルと言いつつ、もうほとんど3次元な感覚」

「M.A.D.」Official Music Video「アイマリンプロジェクト++」vol.1 

ーー本楽曲はMVも制作されていますが、視聴しての感想はいかがでしたか?

内田:『新章アイマリンプロジェクト』の第1弾楽曲「Stand up! Blaze up!」の曲の世界観やテーマと近しいうえ、アイマリンだけでなくオルカにイサナといった自由機甲楽団のメンバーが一緒に登場して盛り上げてくれているので、観てくださるみなさんに「自分もその一員なんだ!」と感じていただけたらいいですね。『アイマリンプロジェクト++』では、『新章』の始まりに立ち返って、改めて物語を丁寧に描いていくようなので、再起の想いが宿った映像になっている気がします。

ーー間違いないです。

内田:あと、アイマリンたちが暮らす「水晶宮」を再現したVR空間「メタバース水晶宮」も改築されて。道を歩いている途中に落書きがあったり、イサナちゃんたちのお部屋が映っていたりしたのもかわいかった!

ーーイサナはMVの中で、優雅にコーヒーを淹れていましたね。

内田:生活感があって、想像がぐんと広がりますよね。

篠田:今回の『ニコニコ超会議2025』でも発表があった通り、オルカとイサナは今夏から定期生配信を始めるのですが、それもあの部屋からお届けする予定なんです。で、コーヒーを淹れていたのは、配信の合間という設定なんですよ。

内田:すごく素敵! 水晶宮もとても作り込まれていて、あの世界でみんなが集まって、生きている感じが伝わってきました。

ーー篠田さんには、イサナのブレイクダンスについて聞いても宜しいでしょうか。あの速さで踊っているのに、映像が欠けていないことに本当に驚かされまして。

篠田:あれはほとんど、モーションキャプチャで撮影した状態そのままなんですよね。振り付けは、日本のブレイクダンスの第一人者で、『B BOY PARK』などの立ち上げに関わったCHINOさんなのですが、実際に踊ってくださったのは彼のお弟子さんで。まだ20歳にもなっていない、本当に幼い頃からCHINOさんに育てられてきた方なんです。今回初めてお仕事できたんですけど……もう、凄すぎてスタッフ全員が思わず歓声を上げちゃったくらい。

内田:すごい! あの動きをキャラクターで再現できるのもビックリ。

ーー本当に力のこもった映像ですよね。毎度ながら、透明感ある独特な塗りの映像にも惹かれてしまいました。

内田:『アイマリンプロジェクト』といえば、やっぱりあの色使いですよね。作品としてのイメージやコンセプトが明確に固まっているので、毎回変わらず「カッコいい!」と思わされちゃいます。

ーーなんたって、MV終盤のクレジットに映っていた通り「世界設定」の役職があるくらいですから。

篠田:砂守岳央さんのことですね。砂守さんは、僕が書いたプロットを小説に仕上げてくださったほか、ふたりで一緒に作品の設定を考えているので「世界設定」なんですよ。

内田:イチカちゃん(イチカゼロ/CV:佐伯伊織)がしている小説の朗読も、たくさんの方々に楽しんでもらいたいですよね。このタイミングで作品を知ってくださった方はもちろん、世界観のおさらいにも役立つのでぜひ!

【朗読劇】新章アイマリンプロジェクト~from 0 to 1~ 第1話【語り手:イチカゼロ(CV佐伯伊織)】

篠田:実はいずれ、内田さんにも朗読をしてほしいと考えていて。一般的なアニメ作品では、製作委員会や監督があらかじめ作り込んだ台本を声優さんが演じますが、『アイマリンプロジェクト』では僕たち企画人と、声優さんが一緒になってキャラクターの生活を考えていきたいと思っているんです。

内田:そう仰っていただけてうれしいです。ただ私自身、好き勝手に喋ることで「作品の世界観を壊したらどうしよう」と考えていた時期もあったので、どこまで積極的になってよいのか足踏みしちゃって。アイマリンの崇高な歌姫感を壊したくなかったのですが、私の性格なんかも実はキャラクターと融合してくださっていたんですよね。

篠田:そうそう。アイマリンのドジっ子っぽいところとか。イチカゼロの腹ペコキャラも佐伯さん独自の裏設定を公式のものにしてみようと、キャラクターに対して徐々に刷り込んでいるんですよね。声優さん自身の考えと、VTuberさんのような生っぽい要素を掛け合わせられるのが、このプロジェクトのよいところだと自負しています。

ーーとても素敵なエピソードです。ところで、今回のイベントには「アイマリン VRLIVE体験コーナー」が設けられていましたが、内田さんご自身はVRに対してどのくらいの解像度を持っていますか?

内田:2021年1月にバーチャルマーケット5に参加させていただいたのが初めてでした。その後、2022年8月の「ダンシング・クレイジー」発表時、水晶宮でのリリース記念イベントに参加させていただいて。いまもそうですが、世界最先端の技術に対して正直まだ自分の気持ちや理解が追いつかず、「どういうこと?」って思っている部分があります(笑)。

篠田:内田さんの驚きがいつも新鮮なので、その感じも「すごくいいな」と思わされています。バーチャルマーケット5では歌を披露していただきましたよね。いま考えると、めちゃめちゃ貴重な回だったなと。

内田:たしか、歌唱前のセッティングでも、アバターの動かし方がわからなくて立ち位置があやふやになっちゃったり。そもそも「ここまで移動してくださいね」と言われても、「い、移動ってなんですか?」みたいな感じで。水晶宮での発表時も、水晶宮の階段からぴゅーって落ちて「もう一度、入り口から入り直します」なんてやりとりをした気がします。

篠田:懐かしいですね(笑)。

内田:アイマリンは2.8次元アイドルと言いつつ、もうほとんど3次元な感覚です。以前Vtuberのおめがシスターズさんが水晶宮に遊びに来てくれたイベントがあったんですけど、とっても自由にのびのびと〝そこにいる”感覚でびっくりしました!(笑) イベントでの記念撮影もその場で撮影チェックできたりと「バーチャルとはいえ、本当にその場に存在して活動しているんだ」と、改めて実感する時間でした。

ーー今後また、内田さんとアイマリンをVR空間で見られる日が楽しみです。

内田:きっとまたVR初心者まで記憶が巻き戻っていると思うので、温かい目で見守っていただけたらと。あと、オルカとイサナちゃんの生配信は気楽にできればいいな〜(笑)。

ーー内田さんと佐伯さんの乱入も楽しみにしております。チャレンジングな企画が目白押しの『アイマリンプロジェクト++』ですが、内田さんが今後、新たに挑戦したいと考えていることがあれば教えてください。

内田:先ほどお話があった朗読もそうですが、この作品はなにより楽曲がカッコよいので、もっとたくさんの方々に届けたくて。それこそ仲間も増えて、今後さらに楽曲も揃うことかと思うので、いつの日かリアルライブを開催してみたい! 私自身、声優というフィールドだけでは絶対に体験できないような世界に連れて行っていただいているので、これからも楽しみながら、期待に応えられるよう頑張っていきたいです。

■プロジェクト情報
アイマリンプロジェクト++公式HP

■リリース情報
シングル「M.A.D.」
配信中

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