アポロ11号に搭載されていたコンピュータが腕時計に 『The DSKY Moonwatch』が日本上陸
英国のスタートアップ企業・Apollo Instrumentsは、アポロ計画の遺産と最先端テクノロジーを融合させた腕時計『The DSKY(Display and Keyboard)Moonwatch』を日本発売を発表した。
同社によれば、世界31か国で高い評価を得ている『DSKY Moonwatch』は、宇宙愛好家や高級時計コレクター、そしてテクノロジーの先駆者たちを魅了しているという。その中にはApple共同創業者であるスティーブ・ウォズニアック氏や、マサチューセッツ工科大学(MIT)のソフトウェアエンジニアであり、大統領自由勲章受章者でもあるマーガレット・ハミルトン氏など、著名な人物も含まれている。
NASAのアポロ宇宙船が月に向けて打ち上げられた際、ブリーフケースほどの大きさの2台のコンピュータが搭載されていた。当時、これらのコンピュータは通常、数部屋分の広さを必要とするサイズであった。しかし、それを大幅に小型化したデバイスは、小型でありながらも、地球から月までの宇宙飛行士を誘導するのに十分な処理能力とメモリを備えていた。
それから55年、Apollo Instrumentsは、この「アポロ誘導コンピュータ(以下、「AGC」)」をさらに小型化し、腕時計サイズに縮小することに成功した。宇宙飛行士が司令船と月着陸船で使用していた、DSKY(ディスキー)の愛称で呼ばれるこの「ディスプレイとキーボード」システムを、今や誰でも腕に装着できるのだ。しかも、この『DSKY Moonwatch』は単なる腕時計ではなく、当時と同様の操作を実行することができる。
アポロ計画の宇宙飛行士とAGCとのインタラクションは、その小型化と同様に画期的なものだった。MITは、当時のコンピューターにおいて一般的だった数千ものパンチカードや、多数のスイッチとライトの代わりに、ユーザーが動詞と名詞のコードを入力することでルーティンを実行できる初期のディスプレイとキーボードシステムを開発した。
現代コンピューターの操作に慣れている人にとって、AGCの手法は理解するのが難しいように思えるかもしれない。基本的に「動詞」は実行するアクションを、「名詞」は操作対象となるデータを定義しており、『DSKY Moonwatch』では、動詞と名詞のコードを使用することで、時計の時刻、日付、アラーム、ストップウォッチ、GPSナビゲーション機能を調整できる。本格的なDSKY体験がいつでも手元でおこなえるのだ。
5年以上もの歳月をかけて開発された『DSKY Moonwatch』は、アポロ11号月着陸船に搭載されていたDSKYを4.6:1の縮尺で再現し、フォントやバックライトの色合いまで忠実に再現しているのが特徴。素材の品質と精密な製造技術にこだわり、『DSKY Moonwatch』は、軍用グレードのセラミックコーティングを施した頑丈な316Lステンレススチール製ケースと、本場イタリア製のナッパレザーストラップを採用している。
日本市場向けの価格や、販売チャネルについては未発表。気になる方は続報をチェックしておこう。