過去最大規模で開催された『にじさんじフェス2025』 会場取材を通して感じた、さまざまな“変化”
2025年2月21日から23日にかけて、『にじさんじ 7th Anniversary Festival(にじさんじフェス2025)』が幕張メッセで開催された。
今やインターネットシーンを飛び越えつつあるバーチャルタレントシーンの中でも群を抜いて人気を集めるVTuber事務所・にじさんじの超大型イベントということもあり、全国各地から多くのファンが幕張メッセに集まり、活気あふれ大いに盛り上がった。
開催初日には『にじフェス』をはじめとする関連ワードがSNSの日本トレンド1位(もしくは上位)を獲得し、その影響力を見せつけていた。
今回、筆者はイベントに足を運び、24日に開催されたライブイベントの取材も試みた。本稿では、写真を交えながらその一部始終をイベントレポートとしてお届けしたい。
『にじフェス』が幕張メッセで開催されるのは2年ぶりとなるわけだが、今回は幕張メッセ7・8ホールも会場として追加されることとなり、同イベント史上もっとも大きな会場規模となった。
前回東京ビッグサイトでの開催からの大きな違いとして、フードコートとそれに合わせたスペースが一気に少なくなったことが挙げられる。オリジナルフードが制作されなかったのは少し悲しいが、振り返れば前回のイベントではフードコートの待機列が120分以上にわたってしまい、長時間並んでようやくフードを購入できるような流れとなっていたことを記憶している。
これらを思い切って縮小したことにより、フェスを楽しみにしていた観客がイベントやアトラクションに参加しやすくなり、トータルとしてしっかりと『にじフェス』を楽しめる状況になっていたように思う。
実際、筆者の目から見ても、前回・前々回に比べて待機列が形成される状況・状態が減り、また会場規模が一回り大きくなったことで、オープンブース、ラジオブース、着ぐるみ&ヒーローショーステージの観覧スペースが大きく取られるようになった。観覧希望の人たちをより多く募ることができ、少し遠巻きから立ち見ができるくらいの空間ができていたのだ。
とはいえ、このような広々とした会場であっても、ライバーの等身大パネルと記念撮影をしようとするファンの待機列は折り返しにつぐ折り返しで長くなり、通るのも難しいくらいの“すし詰め状態”になっていたのには驚かされた。
ほかのアトラクションでは加賀美ハヤトのダイカガミが100分待ち、にじさんじ甲子園が30分〜40分待ち程度の並びとなっており、他にもにじパペ展示スペースや音楽部・美術部の展示スペースにも多くの人たちが詰めかけていた。
前回開催された「美術室」での展示は今回も開催されており、樋口楓 presents ライバー私物展示とレイン・パターソン presents 香水展示という2つの企画展示に加え、イラスト展示・にじさんじ百人一首・Luxiem書道展示・ミニ四駆展示とさまざま。中には「昨年行ったナイトプールに行った時に着ていた水着」と、にわかに信じがたいものも展示されていたのが驚きであった。
またそんな美術室の真反対には音楽室が今年新設され、こちらはChroNoiR、樋口楓、VOLTACTION、緑仙、Nornis、ROF-MAOらが音楽活動やユニット活動にまつわるアイテムを展示しており、閉場間近まで列が途切れなかったのは印象深い。
ぐるぐると会場を巡って気づくことがある。いや正確には“すぐに気づいてはいたが、時間が経つごとにハッキリした”こと。この原稿を書いているのはあくまで初日に参加した上でのフィーリングとしてだが、女性参加者が圧倒的大多数であったのだ。
おおよそ8割、どれだけ少なく見積もっても7割程度は女性の参加者であり、男性客はいるにはいるがマジョリティでは決してないくらいの割合だった。
しかも、ここ数年の間にデビューした新人タレントの熱心なファンが多い。葛葉&叶のChroNoiR、ROF-MAOといった、活動歴の長い男性タレントらのグッズやアイテムを身につけたファンは以前と変わらず見かけられたが、VTA出身の男性陣……VOLTACTION以降にデビューしたOriens、Dyticaといったヒーロー系ユニットや、3人組ユニット・3SKMのグッズを身につけたファンが多かった。そして、彼らが関わっているプロダクトやイベントにもひときわ多くのファンが集まっていたことは、重点的に書き残すべきだろう。
それから、ショーイベントで注目を集めた部分はいくつかあるが、にじさんじのイベントとしては初めてとなる“ヒーローショー”が開催されたのは外せない。前述したOriensやDyticaなど、にじさんじの中から近年デビューした男性陣にはヒーローとして活動しているものたちがおり、彼らを主役にしたヒーローショーが開催されたのだ。
コミカルな掛け合いや効果音で観客を笑わせるだけではなく、敵役となる怪人・ヒマジンとの格闘シーンでは飛んで、蹴って、殴っての殺陣を見せてくれたり、ショーの終盤には新曲とダンスを見せて観客の視線を釘付けに。
意外な出演者が登場して「おおぉ……!」と思わず声が出てしまい、お決まり&王道な流れにちょっとしたヒネりも加えた内容で集まったファンを楽しませた。
ちなみに、同ショーは写真/動画撮影がOKであり、YouTube公式配信でも視聴可能だったこともあり、ショー終了時には『ヒーローショーがすごかった!!』と驚きの声と共に写真&ムービーの投稿が相次ぎ、SNSのトレンド一位をこちらでも獲得していたほどだ。
ヒーローとの握手会にも多くの方々が集まったのに加え、このヒーローショーを見るためのかなりの立ち見客がいたことには驚かされた。にじさんじ内でも若い彼らへの注目度の高さを感じずにはいられなかった。この後に開催された着ぐるみショーもどっと人だかりができ、スマホやカメラを構えて写真を撮るファンたちで溢れていた。
筆者が最後に見たのは、オープンステージで開催された『Dance Stage 2025』。先斗寧と倉持めるとによるPoMettoがキレのある動きとソロダンスで見どころを大いに作れば、チームIDDはシスター・クレアが右足の不調でいないなかでも和気藹々と愛らしい踊りを次々に見せてくれた。
しかし、特に筆者の印象に残ったのは、3月での卒業を発表していた瀬戸美夜子が3Dボディを使った最初で最後のリアルイベントをまっとうする、その有終の美を見届けたことだ。
じつは瀬戸と雪城のペアは参加した面々のなかでいちばんに披露楽曲が少なく、「これじゃ漫才になっちゃうよ!」と雪城がツッコミをいれるなど、自身が卒業することを一切口にすることなくステージで華麗に踊ってみせた。ステージからはけるときも颯爽と走っていってしまうあたり、なんとも瀬戸と雪城らしさを感じた一瞬だった。
同イベントを終えたあとの3月4日に卒業配信を迎えた瀬戸美夜子、彼女の晴れ舞台であり、リアルの会場で彼女と別れを告げることができる最後の舞台。それを目にすることが出来て、万感の想いに浸ったファンは少なくないだろう。