『M-1グランプリ2024』のダークホースに? 決勝初進出5組のYouTubeチャンネルから分析

 『M-1グランプリ2024』(朝日放送テレビ)が2024年12月22日に放送される。総エントリー数は再エントリーを含め史上最多となる10330組にのぼり、決勝戦はこれまで以上にハイレベルな戦いになるだろう。

 準決勝までの激戦を制し、ファイナリストに選ばれたのは、真空ジェシカ、トム・ブラウン、ヤーレンズ、エバース、ダイタク、令和ロマン、ママタルト、バッテリィズ、ジョックロックの9組。昨年の王者の令和ロマン、昨年2位のヤーレンズ、4年連続ファイナリストの真空ジェシカ、6年ぶりに返り咲いたトム・ブラウンに加え、決勝初進出が5組と誰が優勝するのか1ミリも予想できない今大会。

 本稿では、決勝初進出を果たした5組の芸人のYouTubeチャンネルから、彼らの魅力を紹介したい。

エバース

 全てのネタ作り担当で青いスーツに凛々しい顔立ちのボケ・佐々木隆史と、キッチリと刈り上げられた髪型が特徴のツッコミ・町田和樹からなるコンビ。『ツギクル芸人グランプリ』決勝進出、『ABCお笑いグランプリ』決勝進出、『NHK新人お笑い大賞』大賞など、大きな賞レースで結果を残し続けているコンビ・エバース。弁が立つ佐々木の謎の提案に町田が困惑しつつもツッコんでいくスタイルは、町田が佐々木に追い詰められれば追い詰められるほど面白さが増してくる。

 彼らのYouTube「エバースチャンネル」でも、町田の唯一無二のキャラクター性と佐々木の絶妙な手綱さばきを堪能することができる。特に若い頃キャバクラに通い詰めていた町田がキャバクラ嬢をプライベートでデートに誘う方法を伝授する動画は2人の面白さを存分に味わえる神回なのでぜひチェックしてもらいたい。

【エバース】町田が教えてくれるキャバクラ嬢の落とし方

 ファイナリストのなかで最も「波」が来てると言っても過言ではないエバース。決勝当日、その面白さに全国民が気づくことだろう。

ダイタク

 兄でボケの吉本大と、弟でツッコミの吉本拓からなるコンビ。見分け方としては、顔の圧が強いのが大、左目に泣きぼくろがあるほうが弟・拓だ。双子の漫才師として圧倒的な個性を放ってきたダイタク。ラストイヤーにして初の決勝進出とあって、今大会にかける想いは凄まじいものがある。まさに「阿吽」としか言いようがないテンポ感はファイナリスト、いや全漫才師のなかでもトップクラスだ。

 ネタのほとんどが家族の実話を元に作成されているのだが、恐るべきは双子のインパクト以上に「父親」の存在が濃すぎるという点にある。父である隆夫は40歳からボウリングを始めるとすぐに全日本シニアボウリングで2連覇を果たすほどの才能を持ち、YouTube『ダイタクTV』でもその腕前は披露されている。

【言うな】おい、親父が出るボウリング全国大会の応援に行くぞ!【返り咲き】

「双子」という武器だけにとどまらない無限のポテンシャルがあるダイタク。この大会を機に家族ごと日本中にダイタク旋風が巻き起こることを期待したい。

バッテリィズ

 オレンジ色のスーツとピシッと揃った前髪が特徴のエースと、ハタケヤマのキャッチャーミットを使っている寺家(じけ)からなるコンビ。「バッテリィズ」というコンビ名の通り、同じ芸人草野球チームに所属しピッチャー(エース)とキャッチャー(寺家)の関係性からコンビを結成。寺家がエースに対し色々なことを教えようとするのだが、ピュアすぎるエースがそれに対しああだこうだと疑問や暴論をぶつけるスタイルの漫才で、結成わずか7年目ながら『ytv漫才新人賞』(読売テレビ)で3位の成績を残すなど、メキメキと頭角を現してきた。

 前述の通り、2人とも大の野球好きで、自分たちのネタ動画をアップするチャンネル『バッテリィズのネタch』以外にも『バッテリィズの熱狂パワフル草野球』という野球のコンテンツだけをアップするチャンネルを運営している。むしろそちらがメインチャネルと言っても過言ではない。

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 主に彼らが所属するチーム・上方ホンキッキーズの活動を記録しているのだが、驚くべきはその「本気度」だ。現在、プロ野球のレジェンド達がプロデュースする日本最大規模の草野球大会『甲子園に行こう!LEGEND CUP本気1野球トーナメント』にエントリーしており、決勝まで勝ち進めば大会名の通り阪神甲子園球場での試合をすることができるのだが「バッテリィズの熱狂パワフル草野球」では、上方ホンキッキーズが甲子園を目指す道のりを追いながら彼らの野球に対する情熱を「生」で感じることができるのだ。ある意味、どのYouTubeよりもリアルな姿がここにはある。漫才と野球の二刀流で天下を奪ってもらいたい。

ジョックロック

 ダンディなヒゲをたくわえた福本ユウショウとビシッと美しくセットされたリーゼントヘアーのゆうじろーによるコンビ。2022年結成ながら『NHK新人お笑い大賞』で2023、2024年の2年連続で準優勝の成績を残すなどその勢いは留まるところを知らない。ドラマチックなコント漫才が持ち味で、観客を巻き込むほどの熱量を誇る濃厚な演技は池井戸潤原作ドラマを彷彿とさせる。

役所広司を目指せ!日常演技対決!

 YouTube『ジョックロックプレス』でもその演技力を堪能することができ、特に役所広司になるべく行われた「日常演技対決」では本人たちはいささか納得がいってない様子だったのだが、個人的には確かなポテンシャルを感じさせられた。今大会で彼らの知名度が全国に知れ渡り、来期のドラマでその姿が見られることを願っている。

ママタルト

 芸人界、いや芸能界一の巨体を誇る大鶴肥満と、大喜利モンスター檜原洋平からなるコンビ。規格外の体から想像もつかないほどの躍動感で動き回る肥満のダイナミックなボケと、その破壊力を何倍にも膨れ上がらせる檜原の斜め上のツッコミで同業者やお笑いファンから「いつ決勝に行ってもおかしくない」と言われてきた。

 コンビ愛が非常に強いコンビとしても知られ、彼らのYouTube「ママタルト本物チャンネル」でも仲睦まじい様子がうかがえる。ちなみにチャンネル冒頭で毎回流れる「まーごめ」とは、大鶴肥満が似ていると言われている俳優・大鶴義丹が元妻マルシアへの不倫謝罪会見で発した「まーちゃんごめんね」を略したオリジナルのギャグだ。

 最近では2人共「ポケモンカード」に大ハマリしており、劇場出番の間に一緒に遊ぶほど。誰も傷つけずほっこりできる老若男女に優しいチャンネルだ。

明日のポケカ大型大会で旋風を巻き起こすであろう、大鶴肥満考案「最強のペンドラーデッキ」 #ママタルト

 キャラクターのインパクト、漫才の実力、コンビ仲、どれを取っても売れる要素しかないママタルト。この大会で爆発を起こし、ぜひ「まーごめ」を国民的ギャグにしてもらいたい。

 誰が優勝するのか、私にはなにも予想できないし、予想しても絶対に当たる気がしない。ただひとつ分かっているのは、間違いなく「面白い」ということだけ。「お前たちが一番おもしろい」というポスターに書かれている通り、M-1グランプリの歴史を覆す伝説の大会になるのか、当日は心してテレビの前に正座したい。

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