よく見ると背筋がゾッとする…手軽なSNSホラー「この謎解きはフィクションです」
ホラー作家・梨と株式会社闇、そして大森時生がプロデュースをし話題となった『行方不明展』。ホラー作家・背筋が出版し大ヒットとなった書籍『近畿地方のある場所について』。YouTubeによるホラー番組「フェイクドキュメンタリーQ」。2024年4月に放送されたテレビ番組『イシナガキクエを探しています』(テレビ東京)など、しばらくモキュメンタリーホラーブームが続いている。
モキュメンタリーホラーはフィクションであることが大前提なのだが、映像の作り方や見せ方は、まるで現実に起こった出来事かのようなリアルさがある。「これ、本当にあったことなのかも……」と、体験している側が思わず想像してしまうほど、現実との距離感が近いことが特徴だ。
そんなモキュメンタリーホラーの世界を、より手軽に楽しむことができるハッシュタグがあるので、今回はそちらを紹介したい。それが、「この謎解きはフィクションです」というハッシュタグだ。
コメント欄で盛り上がる現代の謎解き掲示板
このハッシュタグを投稿しているのは、謎解きクリエイターである角谷進之介氏だ。以前は謎解きクリエイター集団『RIDDLER(リドラ)株式会社』に所属しており、『謎解き日本一決定戦X』の監修など、現在も謎解き業界で活躍しているクリエイターだ。
そんな角谷氏がXに投稿している「この謎解きはフィクションです」シリーズは、何気ない日常の画像と投稿文が謎解きになっているのが特徴だ。
たとえば、2024年8月に投稿され、6.8万いいねの反響が起きたポストを例に紹介したい。「キャンプに行ってる友人から謎解き送られてきた でもなんかこの問題、どこかおかしい気がする……」という文章とともに、LINEのトーク画面が掲載されている。
どうやら、風邪をひいてキャンプに行けなかった投稿主のために、友達が現地からクイズを送ってくれたようだ。投稿されているのはトーク画面の画像と、友人が送ってきた謎解きの写真だけだが、そのなかにヒントがいくつも隠されている。
謎解きの写真について解説するとネタバレになってしまうため、ここではLINEのトーク画面に絞って触れていこう。まず、グループ人数が5人なのにもかかわらず、投稿主の発言に対し5つの既読がついている。そしてトークに参加している友人の名前が「くに」「津我」「サクナ」「津久井」というのもヒントとなっている。
友人が送ってきた写真に対して、投稿主が「ん?食べ物じゃなくね?何この答え」と返信したのが11時53分。そして誰からの返信もなく、17時14分に「おーい」と呼びかけている。この2つの返信についた既読は1。ということは……?
と、普段使っているLINEのトーク画面が見事に謎解きの舞台になっている。グループ人数や既読数、名前やアイコンなども、角谷氏の手にかかればすべて謎を構成する材料になるようだ。さらに時間経過などから、ストーリー性を想像させる部分もある。
ほかにも、Googleマップのレビューや物件のチラシ、ガシャポンの写真など、日常でよく見る景色をもとに、ゾクっとするような謎解きを更新しているのだ。
そして、「この謎解きはフィクションです」の楽しみ方のひとつに、コメント欄の使い方がある。投稿されているのはXなので、もちろんポストに対してコメントがついているのだが、すでに謎を解いたXユーザーが絶妙なヒントを記載してくれている。もし謎解きが難しいようであれば、このコメントたちをヒントに進めることができる。
ちなみに、ひとつの投稿に隠されている謎はひとつとも限らない。謎が解けたとしても、自分とは違った答えがコメントからわかるかもしれないので、「そんな考え方もあったのか……!」と、いろんなユーザーの意見を見て楽しんでほしい。
現代のSNSの手軽さを上手く使った、SNSホラー「この謎解きはフィクションです」。映像作品を見るのは怖いし、腰が重い。でも話題になっているモキュメンタリーホラーを少し味見したい、という人にはおすすめのコンテンツだ。