“コスパ最強”のAirPodsが登場 ラインナップ刷新でAppleのオーディオ製品はどう変わったか

最新のAirPodsは何が変わった?

 9月10日午前2時(日本時間)、アップルは「September 2024 Keynote」と題したイベントを開催し、その席でApple WatchとAirPods、そしてiPhoneの新製品を発表した。AirPodsシリーズに関しても新モデルの登場やアップデートがあったので確認してみよう。

エントリーモデルのAirPodsに第4世代が登場

 インイヤー型のワイヤレスイヤホンとして人気を博している「AirPods」に第4世代が登場した。アップルでは「AirPods 4」と呼んでいる。形状は前モデルとほぼ同じだが、より快適な付け心地を実現するためにいろいろな耳の形を正確にマッピングして分析、デザインを微調整している。

この小さなイヤホンの中にデュアルビームフォーミングマイクや内向きのマイク、光学式インイヤーセンサー、動きを感知する加速度センサー、音声を感知する加速度センサー、感圧センサーを内蔵している

 内部的にも上位モデルの「AirPods Pro」が搭載している「H2」チップセットを採用したことで音質を大きく向上し、より豊かな低音とクリアな高音を実現している。

 パーソナライズされた空間オーディオやダイナミックヘッドトラッキング、Hey Siri、デバイスの自動切り替え機能は前モデルと同様だが、AirPods 4では周囲のノイズを瞬時に取り除いてくれる「声を分離」に対応したので通話時の品質もクリアになる。パーソナライズされた音量もサポートされた。

 さらに前モデルの耐汗耐水性能に加えて防塵性能が加わりIP54等級に適合している。

従来のH1に代わり、AirPods Pro 2が採用しているH2チップセットを搭載したことで大幅な機能アップを果たしている

◯アクティブノイズキャンセル搭載モデルも登場

 今回、新しくなったAirPodsにはアクティブノイズキャンセル(ANC)機能を搭載したモデルも用意されている。これまで上位モデルのAirPods Proやオーバーイヤー型のAirPods Maxにしか搭載されていなかったノイキャンがエントリーモデルでも使えるようになったわけだ。

 ただしアップルによるとAirPods ProやAirPods MaxのANCはAirPods 4と比べて最大2倍のプロレベルと謳っているので能力に違いはありそうだ。

 そのほかにも、環境の変化に合わせて自動的にノイズを低減する「適応型オーディオ」や周囲の環境音も自然な感覚で聞こえる「外部音取り込みモード」、音楽を聴いているときに誰かと話し始めると自動的に音量を下げてくれる「会話感知」が利用できる。

◯モデルによって充電ケースの性能に違いが

 ケースに関しては通常モデル、アクティブノイズキャンセル搭載モデルともバッテリを搭載していて充電用のポートはUSB-Cだ。1回の充電で使える時間は前モデルのAirPods 3より1時間短くなって最大5時間だが、充電ケースの使用で30時間の合計再生時間は変わりない。

 ただしANC搭載モデルの充電ケースは「探す」機能のためのスピーカーを搭載している上にApple Watchの充電器やQi規格の充電器で充電できるワイヤレス対応と違いがある。

◯どちらのモデルを選択するか

 気になる価格だが、通常モデルが21,800円、アクティブノイズキャンセルを搭載したモデルが29,800円と8,000円の違いがある。

 ANC搭載だけでなく適応型オーディオや外部音取り込みモード、会話感知などAirPods Proとほぼ等しい機能が使えることや、ワイヤレス充電対応のケースなどの違いを考えると、断然、ANC搭載モデルがコスパ最強でイチオシだろう。現在、予約受付中で9月20日からの発売だ。

■AirPods Maxは新色とUSB-C搭載

 オーバーイヤー型のAirPods Maxに関しても発表があった。ただしこちらはマイナーチェンジ的なもので、ミッドナイト、ブルー、パープル、オレンジ、スターライトのカラーの追加とUSB-C搭載だけの違いだ。価格は84,800円。こちらも予約受付中で9月20日からの発売になる。

■AirPods Pro 2がヒアリング補助機能に対応

 今回、個人的にも注目したのが「ヒアリング補助」に関する発表だ。

 WHO(世界保健機関)の推定によると、世界中で15億人以上の人々が難聴を抱えていて、そのまま放置していると認知機能の低下や転倒、社会的孤立などのリスクが増大して「うつ病」につながることもあるそうだ。

 アップルではApple Watch上の「ノイズ」アプリやiPhoneでのヘッドフォン音量の曝露通知、アップルヒアリングスタディでの16万人の参加者を対象とした最大規模の調査など、過去数年に渡りこの分野で重要な取り組みを続けてきた。こうした調査をもとにアップルが提供するのが今回のヒアリング補助だ。発表内容によるとiPhoneとAirPods Pro 2を使ってヒアリングチェックを行うことでパーソナライズされたヒアリング補助機能が使えるようになるという。

 「ヒアリング補助」は発話の一部や周りの環境内の要素など必要な特定の音をリアルタイムで強調するもので、難聴という問題を抱えた人々をサポートする機能だ。

 すでにこの発表を目にした人たちの中には『AirPods Proが補聴器になる!』と喜んでいる人もいるようだが、あくまでもヒアリングを補助するための機能で補聴器の代わりになるものではないことに注意したい。

 ヒアリング補助機能については近日中にFDAや他の規制機関から認可を受ける見込みで、今秋からヒアリングチェックとヒアリング補助機能が米国やドイツ、日本を含む100以上の国と地域で利用可能になる予定だ。これらの機能はAirPods Pro 2とiOS 18へのソフトウェアアップデートで使えるようになる。期待して待とう。

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