「伝説を作れた」島育ちのクリエイターが“故郷でイベント成功”&“収益180万円寄付” 裏側を担当者と語る
「伝説を作れたな」クリエイター・観光交流機構・顧客の“三方よし”を実現
ーー3月10日の「佐渡の日」には、UUUMも制作協力した『佐渡ヶ島フェス2024』が開催されました。このイベントはけえさんと三條さんの会話がきっかけだったそうですね。
けえ:三條さんは高校時代のソフトテニス部の先輩で、僕が1年生のときに三條さんが3年生で、そのときから仲良くさせていただいて。高校卒業後もプライベートでテニスをしたり、お下がりの服をくれたり、お世話になった先輩です。あるとき三條さんが焼肉をご馳走してくれたんですけど、その当時、三條さんが市役所から佐渡観光交流機構に出向されていたので、一緒になにかやりたいねという話になったんです。
三條侑威(以降、三條):気づいたら後輩が人気動画クリエイターになっていて(笑)。僕のことを覚えているか聞いたら、けえさんも覚えてくださっていて、これもなにかの縁だし、一緒に食事に行かないかと誘いました。プライベートの話などをしていくうちに、佐渡でやりたいことはないか聞いてみたら、けえさんがイベントをやりたいと。そのとき佐渡観光交流機構でイベントなどに携わっていたので、自分も挑戦してみたいという気持ちもあり、職場に持ち帰って相談しました。職場の人のなかにはけえさんを認知していた人もいたので、うまく話がつき、一緒に佐渡を盛り上げていこうとイベントが実現しました。
ーー宮本さんは企画・運営担当として、けえさんと佐渡ヶ島フェスの準備をされていたとのことですが、けえさんならではのアイデアや良さはありましたか?
宮本直樹(以降、宮本):イベントの内容は、最初にけえさんにアイデアを出していただき、そこに我々の希望を入れたり、話しあったりして決めていきました。子どもにも大人にも分かりやすい案をいっぱい出していただいたので、けえさんの飾らない人柄が伝わったイベントだと思います。通常、イベントをやるとなると揉めるようなシーンがありますが、このイベントではほぼなく、素晴らしいイベントでした。
ーー平和に準備が進んだのは、けえさんだからこそなのでしょうね。佐渡ヶ島フェスは今回が初開催でしたが、開催までに苦労したことはありますか?
宮本:イベントの1週間前に三條が盲腸で倒れたときは、このイベントはできるんだろうかと(笑)。
三條:このイベントは予算ゼロで始まったので、予算集めからスタートしたのですが、やることは決まっているけどお金はあるのか、そういうところが最後まで大変でした。けえさんも私たちと一緒に地元の企業に頭を下げて企画を説明した結果、温かい方々にご協力いただき、無事予算をカバーできました。
けえ:朝から夜までアポイントを取っていただいたところを回って、ポスターを配りました。地元のテレビ局に自作の動画を持ち込んで流してもらったり、新潟日報にも載せていただいたり、そういうところが1番大変でしたね。
ウィロビー晃恵(以降、ウィロビー):島内のイベントは行政からのサポートを受けていることが多く、今回はそういった行政のサポートがなかったぶん苦労しました。その反面、自由度が増して、けえさんと私たちがやりたいことをできたのはすごく良かったなと思います。
ーー当日の動画を見ると、開場前からお客さんがたくさん集まって、大盛況だったようですね。
けえ:前日に大雨で昼間の船が欠航になって、これはまずいと思ったんですけど、その日の夕方に事務所の方から佐渡汽船のターミナルが人でごった返している動画が送られてきて、明日は大変なことになるんじゃないかと。当日、すごい数の人が並んでくださっているのをみて、伝説を作れたなと感じました。
ーー前日、船が欠航したことを知ったときは不安ではなかったですか?
三條:前日の夜は緊張と不安で眠れなかったです。当時、けえさんのチャンネル登録者が55万人くらいで、そのうちのどれくらいの人が来るのか想像がつかなかったのですが、佐渡汽船のターミナルの様子を動画でみたら、見たことのない数の親子連れの方々がいらっしゃって。会場もそこまで大きい場所ではなかったので、全員入れるのかと、不安で仕方がなかったです。
ーー当日は2500人が会場に詰めかけたとのことで、嬉しい悲鳴とはこのことですね。
こうた:僕自身、表舞台に立つのが佐渡ヶ島フェスが初めてで、すごく緊張しました。佐渡ヶ島非公認キャラクターのガシマくんのなかに入っていたんですが、たくさんの方がきてくれてすごく嬉しかったです。
宮本:朝の時点で伝説を作れたなと思いましたね。テレビインタビューもその日の夕方に放送されたので、終わったあともすごい反響でした。
ーーけえさんはイベントの全利益188万円を佐渡市に寄付されてましたが、なぜ寄付しようと思ったのでしょうか。
けえ:寄付することは最初から決めていたんですが、1月には能登半島地震(編注:佐渡市では最大震度5強を観測し、断水や液状化・建物の倒壊といった被害が見られた)もありましたし、少しでも佐渡のためになればいいなと。お金を稼いでやるぞというよりも、佐渡で面白いことをやって、みんなを笑顔にしたいという気持ちの方が大きく、そういうところで役に立てればと思って。佐渡にちなんだ310円の入場料やスポンサー様からいただいた支援金の余剰分、物販などの収益を寄付させていただきました。