“癖”を刺激するキャラクターがスタイリッシュに暴れまわる! 『ゼンレスゾーンゼロ』のハイクオリティな演出が放つ魅力
『原神』や「崩壊」シリーズでおなじみのHoYoverseによる基本無料の都市アクションRPG『ゼンレスゾーンゼロ』。アクション面での魅力はすでにリアルサウンドテックで語られているが、本稿では筆者が特に惹かれた本作のグラフィックや演出について語りたいと思う。
本作は崩壊した近未来の世界を舞台に、旧文明の残骸である「ホロウ」を探索する際のサポーターである「プロキシ」である主人公として、さまざまなキャラクターと関わりながらストーリーが進行していくのだが、登場するキャラクターや、ストーリーを筆頭にした各種演出がとにかく魅力的なのだ。
“癖”なキャラクターが迫真の演出で動き回る
本作を語るうえでまず抑えておきたいのが多様な“癖”を満たしてくれるキャラクターデザインだ。主人公のデザインからして秀逸だが、チェーンソーを武器に戦うメイドのカリンや、オオカミ男×執事のライカンなど、リリース時点で個性豊かなキャラクターが登場する。
ちなみに筆者のお気に入りのキャラクターは、「リチャード・ティーミルク」の店員のココ。彼女は現時点では単なるNPCで、掘り下げも一切ないが、なんらかの形でストーリーに関わってきそうなオーラを放っているので、今後プレイアブルキャラとして登場してくれることを熱烈に祈っている。
キャラクターはキャラ選択画面の時点でさまざまなアニメーションで動いてくれるが、それ以上にストーリーで描かれるアニメーションや、コミック風のアドベンチャーパートでより魅力的な姿を見せてくれる。
まず、アドベンチャーパートはアメコミ風に表現されており、漫画を読むように楽しむことができる。フルボイスかつ、1シーンにつき何枚もの絵を使用しており、こちらもとにかく手が込んでいる。
また、ところどころ挟まるアニメーションではキャラクターが動き回るのはもちろんだが、カートゥーンやディズニー映画を思わせるオーバーでメリハリの効いたキャラクターの動作を、抜群のカメラワークで表現している。といっても、文章では伝わりきらないと思うので、ひとまず本作のリリースPVを視聴してほしい。実際のゲームでも、PVと同等かそれ以上のクオリティのアニメーションを楽しめる。
バトルアクションの演出はスタイリッシュ
キャラクターの動きはプレーヤーが操作するアクションパートでも一貫して輝いている。キャラの動きはその設定をしっかり反映しており、たとえばネコ娘キャラの猫又は、アニメーションでも猫らしく毛づくろいのような動きをするし、バトルでは素早い動きで飛び跳ねながら強力な一撃を繰り出している。
バトルは簡単な操作でスタイリッシュなアクションを連発できるものとなっており、3人のキャラを切り替えながらバトルをこなすことになるのだが、ここでもキャラクターの動きはもちろん、サウンドなどの演出でも楽しませてくれる。
キャラの入れ替えはワンボタンで可能だが、パリィやジャスト回避を決めることでもキャラチェンジをすることができ、その際の一瞬時が止まるような演出はスタイリッシュでカッコイイ。特に連続でパリィを決めた際には、相手の攻撃を弾く音がテンポよく響くので心地よく、戦闘への没入感をグッと上げてくれる。
なお、バトル自体の難易度は高くないものの、しっかりとキャラの育成をしていなければ突破が困難なステージもあり、パリィや属性・状態異常を使いこなして効率よく戦っていくにはそれなりの練度が必要となる。上達すればするほど演出を目にする機会も増えるので、演出面で感じることのできるアクションの気持ちよさと、プレイが上達していく感覚を同時に味わうことができる。
近未来×レトロな世界観も魅力
また、本作は近未来的な世界が描かれているが、同時にどこか90年代的なレトロな雰囲気が漂っていることも特徴だ。主人公が住む街では、ロボットがラーメンを作る一方で、レトロ風のゲームが実際にプレイできるゲームセンターや、主人公が経営するビデオ屋、壁の落書きなどから、どこか懐かしい空気を感じることができる。
街並み以外でも、探索パートではブラウン管が並んだマップを進むことになるし、ガチャを引くために使用するマネーがフィルムだったり、シーズンパスが切手の台紙のような形で表現されていたりといった風に、近未来×レトロな要素は至るところで見つけられる。同時に、映像作品やアニメ、日本のサブカルチャーからインスパイアされた表現も各所にちりばめられており、これらが合わさることで本作独自の、お洒落で見ていて飽きない世界観が形成されていると感じた。
このように『ゼンレスゾーンゼロ』はキャラクターのモーションやアニメーション、街並み、UIの表現に至るまで、無料ゲームとは思えないほど細部まで作りこまれており、「魅せる」ことに対する開発者の熱意をひしひしと感じることができるタイトルだ。
本作は『原神』のようなオープンワールドではなく、「崩壊」シリーズのような壮大な物語が展開されるわけでもなく、比較的コンパクトなタイトルではあるものの、本作の世界観とはそれがマッチしているように感じた。いうならば、HoYoverse版「ジョジョ4部」的なポジションのゲームなのではないかと筆者は勝手に思っている(伝わるだろうか……)。
なお、本作の公式Xでは今後のアップデートで追加されるキャラクターがすでに発表されている。こちらも魅力的なキャラクターばかりなので、いまから登場が楽しみだ。
日本と中国で根本から違う「ゲーム作り」の考え方 『原神』『崩壊』で約5400億円の売上を叩き出したmiHoYoの快進撃から読み解く
6月9日、ひとつの投稿がRedditを賑わせていた。中国の総合日刊紙「光明日報」が、2022年におけるmiHoYoの財務状況(売…