参加者男性に“選ばれたい” バチェロレッテの苦渋の決断とは? 『バチェロレッテ・ジャパン』S3・最終話

言語化能力高めのヒロイン、分かったつもりになってしまった男性参加者たち

 武井さんの櫛田さんへの気持ちははっきりとしていることが分かったが、坂口さんに対しての気持ちは視聴者サイドからだと見えづらかった。家族訪問では武井さんの人間性を深堀りするような質問も投げかけ、櫛田さん以上の好感を与えているようにも見えた。坂口さんと武井さんの母のやり取りは、きっと武井さん自身にとっても坂口さんへの好感度を上げるものとなっただろう。

 そう考えると、シーズン全体を通して「男性参加者から武井さんへの問いかけ」が少なかったように感じる。武井さんの好きな男性像、理想の恋愛像……インタビューでは非常に分かりやすく言語化してくれていたので、私たちは武井さんの人間像について理解できているが、男性たちにとってはどうだっただろう。

 武井さん自身は探究心が強く、デート中に男性たちの価値観を掘り下げるシーンも多かったが、男性たちが武井さんに質問を投げかける様子は、あまり見受けられなかった。武井さん自身が素直で感受性豊かなので「見れば分かる」と思ってしまった男性も多かったかもしれない。

 しかし、私たちは知っている。武井さんに実は乙女な側面があること、男性からアプローチされたいと願っていたことを。しかし、その価値観が男性たちの口によって引き出されることはなく、結果的にすれ違いを生んでしまったシーンもたくさんあったように思う。梅谷さんの時も、北森さんの時もそうだ。

 そして例のごとく、坂口さんとも最後のデートですれ違いかけてしまうのだ。エピソード7での坂口さんの告白は、その意図を汲みかねる内容だった。自身の過去の愚行を語り「聖人君子ではない」と話した坂口さんだが、武井さんにはただただ不安を与えるだけの結果となってしまい、視聴者視点では自分から墓穴を堀りに行ったようにしか見えなかったのだ。

 しかし武井さんは意外にも、その不安を坂口さんにぶつけなかった。エピソード7では坂口さんを肯定していたため、このタイミングで話をぶり返されるのは、坂口さんにとっても心外だったかもしれない。武井さんに「なぜ不安を持ってしまったのか」と問うことはせず、話が飛躍していると責める態度を取ってしまった。

 ただ、坂口さん自身もきっと、ストレートな物言いの武井さんが心に不安を抱えているとは気が付かなかったのだろう。今回のバチェロレッテでは、そういった「男女のすれ違い」が如実に現れていたように思う。相手に気持ちや想いを確認する大切さを、再考せざるを得なかった。

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