佐久間宣行とガチ喧嘩? ゲストの本音が曝け出される爆笑問題のYouTubeに注目

 また、このチャンネルの大きな魅力の一つが「豪華ゲストとのコラボ」だ。上田晋也(くりぃむしちゅー)、三村マサカズ(さまぁ〜ず)、中川家、永野、久保田かずのぶ(とろサーモン)、鬼越トマホーク、ラランドなどの人気者たちが爆笑問題のためならば、と様々なキャラクターでコントに参加する。通常回も十分に面白いのだが、コラボ回の面白さはまさに圧倒的だ。コント中、太田はたびたび台本外のアドリブを入れ込むことでゲストの本音を引き出す。

 特に評判なのが、『ゴッドタン』や『あちこちオードリー』(共にテレビ東京)などで知られるテレビプロデューサーの佐久間宣行をゲストに迎えた回だ。爆笑問題、特に太田光との因縁がある佐久間宣行との共演はファンの誰もが見たかった光景だった。(TBSラジオ『爆笑問題カーボーイ』で太田はたびたび佐久間への不満を口にしていた)

「鬼才プロデューサーとガチ喧嘩!?」爆笑問題のコント

 佐久間は飛ぶ鳥を落とす勢いの敏腕プロデューサー・後藤舌(ごとうたん)として登場。序盤こそ後藤(佐久間)がこれまで手掛けたテレビ番組を大炎上(太田)が元から考えていた、というコントの体裁を保っていたのだが、中盤から太田が大炎上の皮を脱ぎ捨て暴走を始める。

 「うざいプロデューサーみたいなのが、こっち(手前)で見てていかにも俺は裏方だよみたいな顔してんだけど、ちゃんとカメラが俺越しに撮れよみたいな感じで、自分がここを仕切ってんだぞっていうのを視聴者に押し付けて、ああいうの嫌なんだよね! お前所詮裏方なんだから! しまいにはさ、オールナイトニッポンかなんか始めやがってさ、それで全部若手がやってんのは俺が仕込んだんだみたいなさ、そういう態度がなんか気に入らねぇんだよな!」と佐久間に対する不満をぶちまけると、後藤も「本当にお願いだから俺に関わるもの一切見ないでほしい、これだけはマジで! 本当にマジで! 太田さんは好きだけど、好きなままでいたいから本当に俺に関わるもの一切見ないでほしい! 俺に関わることを一切ラジオで言わないでほしい! これだけ言いにきた!」

 「言っちゃうけど、俺達の年代40代以下、40代のディレクターからするとアンタ使いづらいタレントなんだよホント。めんどくせぇっていうか。50代のディレクターとかプロデューサーは太田さんと一緒にやって来られたから気概があるけど、俺達からしたら面倒くさいだけ。ちょっと言い過ぎて番組のスタッフも巻き込まれて、その割に堂々としてればいいのに、反省するでしょ? なんかへこむでしょ? それがカッコ悪いんだよな。(中略)お前と仕事したい若手なんかいねーぞ!」と反撃。これには流石の大炎上も「お前が使えよ!!!!!」と、本音を口にする。

 このコントの枠を超えた「生身の殴り合い」こそ、爆笑問題の真骨頂。太田はひとたびスイッチが入れば誰とでも本音をぶつけ合うことができる。そしてその横でツッコむだけでなく、時に太田ですらドン引きするような「マジレス」をする田中。このいびつに見えて絶妙なコンビバランスこそ、爆笑問題が今でも活躍し続ける理由のひとつなのだろう。だからこそ、後輩たちも芸歴の垣根を超えて「先輩ですけどお前黙ってろ!」「お前めちゃくちゃつまんねえな!」などと容赦なく戦うことができるのだ。

 鬼越トマホークがゲスト出演した回で、「こんな再生数低いYouTubeなのにこんなにスタッフいてどっから金を捻出してるですか?」「もうやめたほうがいいですよ、こんなコントやめましょう!」と毒舌を吐き、2人をたじろがせていた。たしかに、この回の再生回数は46万回にとどまっていたのに対し、逆に爆笑問題が鬼越トマホークのYouTubeチャンネルに出演し、4人でフリートークをした動画は180万もの数字を叩き出していた。コントではなく、2人がただ喋るだけのほうがチャンネルとしては伸びるのかもしれない。コントでもあり、フリートークでもある現在のこの形は、ゲストの本音が曝け出される最高の笑いであることはたしかだ。

 そんな『爆笑問題のコント テレビの話』は、刺激的なお笑いが少なくなってきた昨今において、とても貴重なコンテンツだ。

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