PC接続解禁で、『PS VR2』は“息を吹き返す”のか? 既存デバイスとの比較や可能性を考える

PC接続解禁の『PS VR2』は息を吹き返すのか

 6月3日、『PlayStation VR2』(PS VR2)がPCでも使用可能となることが、突如アナウンスされた。8月7日に発売される『PlayStation VR2 PCアダプター』を使用することで、これまで『PlayStation 5』(PS5)にのみ接続できたPSVR2を、DisplayPortケーブルを通じてPCにも接続可能となる。

 これにより、「SteamVR」に対応した、多種多様なVRタイトルを『PS VR2』でもプレイできるようになる。新たに「PC接続型VRヘッドセット」としての顔を獲得し、汎用性が大きく向上するというわけだ。

 しかし、実際問題“使える”かどうかは、また別の話だ。詳細な使用感は対応後に試すとして、現時点で見えている材料をベースに、『PS VR2』がVRヘッドセットとしても使えるかどうか、『Meta Quest3』などの他社製品も交えて考察していく。

『PS VR2』の特徴を振り返る

PS VR2でまったく新しい体験を|PlayStation®VR2

 VRヘッドセット『PlayStation VR』(PSVR)の後継機として2023年に登場した『PS VR2』は、『PS VR』が順当に進化を遂げたVRヘッドセットだ。

【PS VR2】PlayStation®VR2 Tech Talk

 ディスプレイには引き続き(特に黒の)表現力が高い有機ELが採用され、解像度が片目あたり2000×2040と、初代の片目あたり960×1080から大幅に向上。HDRにも対応し、視野角も110度(初代は100度)と比較的広めで、良好な映像体験を実現しやすいスペックを有する。

 そして、独自機能が多いのが特徴だ。ゲーム内の挙動がヘッドセット本体に振動として反映される「ヘッドセットフィードバック」、視線を追跡するアイトラッキング機能と、アイトラッキングを用いたフォービエイテッドレンダリング(※)、ヘッドセット外部の様子を表示するシースルービューなど、没入感と利便性を向上させる機能が数多く搭載されている。

(※フォービエイテッドレンダリング:ユーザーが注視している箇所を鮮明に、それ以外の箇所を粗く表示させることで、レンダリングリソースを削減するデバイス最適化手法のひとつ。PS VR2は、アイトラッキング機能と併用することで、プレイヤーの視線を中心に鮮明に描画している)

『バイオハザード ヴィレッジ』 PlayStation®VR2版 発表映像

 特に「ヘッドセットフィードバック」はおもしろい機能だ。たとえば『BIOHAZARD VILLAGE』のとあるボスに主人公が引きずられるシーンでは、その間ずっとヘッドセットが振動し続ける。「仰向けに引きずられる感覚」をダイレクトに味わえるのだ。

 そして筆者の場合、頭部に直接触覚が作用することから、仰向け視点で移動する同シーンでもVR酔いをほぼ感じない、という不思議な体験が生じた。筆者に限った体験かもしれないが、触覚による没入感が「視点の違和感」から生じるVR酔いを軽減する可能性がありそうだ。

 専用コントローラー『Senseコントローラー』もユニークだ。手をスフィア状に覆う大きめのコントローラーながら、グリップ感は非常に良い。ここに、ゲーム内の挙動に応じてトリガーの抵抗の強さが変わる「アダプティブトリガー」や、ハプティクス(触覚)フィードバック、フィンガータッチ機能なども合わさり、特に「ものを握る」感覚の再現性が高い。銃や剣などを握るVRゲームとの相性は言うまでもない。

 基本スペックの高さと、没入感を高める独自機能を備えたユニークな一台ながら、ヘッドセット本体のカメラだけでトラッキングが成立する「インサイド・アウト方式」を採用しており、セットアップは『PS5』にケーブル1本でつなぐだけだ。外部カメラも要した初代PS VR以上の取り回しの良さを確保しつつ、本体重量も約560g(ケーブル除く)と軽め。“ものとしては悪くない”と言えるのが、『PS VR2』というデバイスだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる