“呪われた青春ラブストーリー”がSNSで大バズり 『初恋ハラスメント』制作陣が語る「緻密な戦略の裏側」

“いつもの自分”を演じる 役者たちの演技力に支えられた

――本作の裏の主人公である、菅沼役の星耕介さんの存在感はすごかったですね。

宮岡:助監督という設定なんですけど、実は10数年前に業界で働いていた過去の自分を投影しているんです。当時は今よりもハラスメントが横行していて、働き方改革も未整備で……。自分の顔を鏡で見たときに、クマがびっしりついて「誰の顔?」と思ったことがあるんです。

 そういうボロボロにされてしまった助監督の辛さ、嘆きを本作に投影したいなと思いました。その説得力を出せる方を探しているときに星さんの顔を見て、「この人だ」と直感で感じたんです。

――主演である清村春太役の小宮璃央さん、緑川夏希役の吉田伶香さんは、物語ではキャラクターを演じつつ、撮影裏の映像では役者としての“自身”を演じるという、複雑な役割をこなしていましたね。

宮岡:2人とも「頭がちょっとおかしくなりそう」と悩んでましたね(笑)。演じている役とは違うものがひとつあいだに挟まっているような感覚だと思うのですが、すごくいいかたちで演じてもらいました。

綾田:本人役で引き受けてくれたというのも、すごく大きかったですね。

宮岡:とくに吉田さんはハラスメントをするシーンがあったので、なんとか一緒にチャレンジしてほしいという思いで、マネージャーさんとも話し合いました。

宮岡:小宮くんは、自分のなかで細かい演技プランを持って撮影に臨んでくれました。モキュメンタリー部分である事前番組のパートのお芝居も、一つひとつに意味を持って演じてくれたので、その部分も注目して見てほしいですね。

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