イーロン・マスクが「設立時の合意違反」を理由にOpenAIを提訴 「実質的な子会社」と批判
OpenAIの共同設立者ことイーロン・マスク氏は米国時間2月29日、OpenAIと同社CEOのサム・アルトマン氏を訴えた。訴状は、OpenAIが「Microsoft(マイクロソフト)の事実上の子会社になっている」というものだ。
この訴訟の経緯を知るためには、まず会話型生成AI『ChatGPT』で知られるOpenAIの歴史を紐解いてみる必要がある。まず2015年に、アルトマン氏やマスク氏らによって非営利法人としてOpenAI社がサンフランシスコに設立された。
このとき、当初の合意では「OpenAIの技術を社会が自由に利用できること」が求められていたと、マスク氏は指摘する。なお、マスク氏は2018年2月にOpenAI社を離れ、役員も辞任している。
その後2019年7月にOpenAIはMicrosoftから10億ドル(約1500億円)、2021年には同社から追加で20億ドル(約3000億円)の出資を受ける。2023年1月にはMicrosoftが100億ドル(約1超5000億円)を出資し、49%の株式を取得。一方で、11月にはアルトマン氏がOpenAIから電撃解任されるものの、すぐにCEOに復帰するなどの騒動も起きている。
Microsoftは自社の生成AIツール「Copilot」にて、OpenAIのChatGPTを使用している。これについてマスク氏は、「OpenAIが非営利団体としての地位になく、また『人類の利益のためにAIを開発する』という基本的な契約上の合意に違反している」と主張しているのだ。
マスク氏は以前から、人工知能が「Googleのような閉鎖的な営利企業に囲いこまれる」ことについて、懸念を表明していた。またOpenAIに競合するように、AI関連の新会社「xAI」を2023年7月に設立している。
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一方で、Bloomberg(ブルームバーグ)の報道によれば、OpenAIはマスク氏の訴訟に全面的に対抗する意向で、Microsoftの子会社化しているというマスク氏の主張を否定している。また、訴訟の理由について「(マスク氏が)会社に関わっていないことへの後悔によるものかもしれない」と、手厳しくやり返している。
たしかにOpenAIはMicrosoftから多額の出資を受けており、子会社に近い立ち位置になっていることは事実かもしれない。しかし、争点となるのは「Microsoftに技術が囲い込まれているか否か」についてだ。はたしてマスク氏の主張が認められるのかどうか、今後の裁判の行く末に注目したい。
〈Source〉
https://www.courthousenews.com/wp-content/uploads/2024/02/musk-v-altman-openai-complaint-sf.pdf
https://www.engadget.com/elon-musk-sues-openai-and-sam-altman-for-allegedly-ditching-non-profit-mission-160722736.html
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-03-01/openai-says-it-categorically-disagrees-with-musk-s-suit
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