すとぷり運営企業が事業急拡大、一方終了するサービスや事務所も バーチャル業界で相次ぐ“慌ただしい動き”
人気VTuber監修の衣装やプラットフォーム 新規参入が続くバーチャルファッションの世界
先ほど話題に上げた「のりプロ」の看板ともいえる犬山たまきは、興味深いものを手掛けた。『VRChat』向けアバター用衣装だ。
『きんいろモザイク』をテーマにしたワールドや衣装を手がけた株式会社Vより発売された衣装『犬山たまき戦闘服』は、犬山たまきがデザイン監修を手掛けているアバター向け衣装だ。ポップなかわいらしさの中に、カッコよさも込めたテック系のウェアとなっており、複数のアバター向けにセットアップ済みである。
「バーチャルタレントがデザイン・監修をしたアバター向け衣装」は意外と事例が少なく、著名どころではVシンガー・somuniaとYOYOGI MORIのコラボウェアが挙がる。『VRChat』向けアバターへの着付けは多少の知識こそ要するが、VTuberをフックにした商品は新規ユーザーの流入につながり得るだろう。
アパレルECのドットエスティは、にわかに「ファッション特化型メタバースマーケットプレイス」の設立を宣言した。詳細こそまだ不明だが、長らくメタバースファッションに力を注いできた同社だけに、いよいよ本腰を入れてきた感がある。早速、バーチャルファッションのクリエイターに向けた説明会も展開しているが、クリエイターとの協働を強めてきた同社ならば、その誘致力はかなり期待できるだろう。
昨年、3Dモデルの取り扱いを開始した「SUZURI」にも、にわかにバーチャルファッションブランドのショップ開設が相次いでおり、新顔のドットエスティ、老舗のBOOTHやVket Storeなど、いよいよこの領域もプラットフォーム側の競争が激化する予感がある。現状では『VRChat』との提携を結んでいるBOOTHが一歩進んでいる印象はあるが、それも今後の展開次第だろう。
なぜこれほどまでバーチャルファッションに熱狂する人や企業がいるのか、それを知る手がかりとしては、先日コミティアにて頒布されたバーチャルカルチャー ガイドブック『Vuide』第1弾が参考になる。筆者も冒頭のコラム執筆で参加しており、やや手前味噌感はあるが、業界の最前線を張るクリエイターへのインタビューや、バーチャルファッションのスタイリングページなど、バーチャルファッション文化を知る上で重要な内容が込められている。ぜひ手にとってみてほしい。