HYBEは“総合ゲーム会社”を目指す 新作RPG『星になれ ヴェーダの騎士たち』&事業説明会レポート

 2月27日、株式会社HYBE JAPANは新作ゲーム『星になれ ヴェーダの騎士たち』(星になれ)に関する事業説明会を開催した。

[星になれ ヴェーダの騎士たち] 公式ティザームービー

 本稿では事業説明会の模様をはじめ、現時点で判明している『星になれ』最新情報をレポート形式でお届けする。

※『星になれ ヴェーダの騎士たち』は記事掲載時点では未リリースですので、本タイトルのダウンロード及びプレイはできません。リリース日以降、プレイが可能となります。

“総合ゲーム会社”を目指す韓国大手・HYBE

 HYBEは、韓国に本拠を置くエンターテイメント企業である。JYPエンターテイメントから独立したパン・シヒョク氏により、2005年に設立。2024年現在は韓国にくわえ、HYBE AMERICA(アメリカ)、HYBE JAPAN(日本)と計3か所に拠点が存在。「BTS」「LE SSERAFIM」「SEVENTEEN」といったアーティスト陣を擁しており、音楽シーンだけでなくさまざまな業界へ影響力を発揮している。

 「HYBEと言えばK-POP」といったイメージも強いなか、なぜゲーム事業に本格的に参入したのだろうか。説明会ではHYBEゲーム事業部門を取りまとめるチョン・ウヨン氏が登壇し、「ゲームパブリッシング事業を手掛ける理由」「HYBEが抱えるIP郡とゲーム分野のシナジー」等についてプレゼンテーションが行われた。

 HYBEはこれまでにも『Rhythm Hive』(リズムゲーム)や『BTS Island:インザソム』(3マッチパズル)等、モバイル向け作品を中心にゲーム事業を自社で手掛けてきた。しかしチョン氏によると、2024年度からは実力を備えた“外部のゲームデベロッパー”と連携し、グローバル市場を見据えたパブリッシング事業へ参入するとのこと。その第1弾として選ばれたのが、2024年内リリース予定の2DアクションRPG『星になれ』というわけだ。

 『星になれ』が本格的に発表されたのは、2022年に開かれた韓国の大型ゲームショー「G-STAR 2022」。そこからHYBEは韓国に構えるゲーム開発会社FLINTと手を取り合い、約2年にわたってユーザー体験会やグローバルβテストを実施してきた。当初は2023年下半期リリースを予定していたものの、作品クオリティを全面的に見直すべく、2024年リリースへとスケジュールが変更された。

 くわえてチョン氏はHYBEがゲームパブリッシング事業に着手した背景について、「ゲームと音楽の親和性は高く、HYBEが培ってきたノウハウや強みを活かせると判断した」とコメント。具体的なプロジェクトはまだ明かせないと前置きをしつつ、「ゲームジャンルに合わせてHYBEが抱える音楽アーティストとのコラボレーションも検討中」と表明した。

 またHYBEは『星になれ』を皮切りに、3DダンジョンRPG『ダンジョンストーカーズ』のパブリッシング契約を締結したと発表している。「ゲーム事業に着手し始めた新参として、まずはコミュニティ形成やファン獲得に注力したい」と語ったチョン氏。将来的には“総合ゲーム会社”を目指すとされているが、その姿勢にはゲーム業界を含む各方面からさまざまな関心が寄せられることだろう。

『星になれ ヴェーダの騎士たち』は80年代~90年代のアクションゲーム風味

 HYBEゲーム事業部門に関する発表のあと、新作2DアクションRPG『星になれ』に関する説明会がスタート。登壇したのは、HYBE JAPAN ゲーム事業室の中西啓太氏だ。

 『星になれ』はHYBEがパブリッシャーを務め、FLINTが開発を担うモバイル/PC向け2DアクションRPG。狂気王「マグヌス」によって混沌がもたらされたプレニス大陸を舞台に、女神から使命を授かったプレイヤーが世界救済の旅へ赴く。本作は基本プレイ無料で提供され、課金要素はヴェーダの騎士(キャラクター)ガチャ/装備品ガチャ/シーズンパス等が予定されている。またタイトル名には、「プレイヤー個々人がプレニス大陸の英雄(星)を目指す」という意味合いが込められているという。

[星になれ ヴェーダの騎士たち] HYBEIM FirstPublishing_Collaboration告知

 『星になれ』のプレイフィールについて、中西氏は「プレイヤー自身のテクニックがゲームの進行に影響する」とコメント。本作は1980年代〜1990年代のベルトスクロールアクションを現代的に再解釈。そのうえで、攻撃&回避を織り交ぜながら戦う、歯ごたえある2Dアクションが全面に押し出されている模様だ。続けて中西氏は、「ゲームを進めるためには自身の戦闘テクニックを磨く必要がある。試行錯誤を経た先に達成感を感じてほしい」と述べた。本作のキャッチフレーズ「わたしよ、わたしを越えてゆけ」は、そうしたプレイヤーの挑戦心を試すようなゲーム性を反映したものではないだろうか。

 説明会の終盤では、『星になれ』のローンチにまつわるプロモーション施策が公開された。HYBEは本作のグローバルモデルとして、アーティストの平手友梨奈の起用を発表。平手はテレビCM出演をはじめ、『星になれ』のために制作されるスペシャルメインテーマ「絶望の女神」にも歌唱参加する。なお、起用にあたっては「楽曲制作やテレビCM放映を計画した際、HYBEが擁するアーティストの平手さんがマッチした」とのことだ。

 200以上のカットシーンを声優陣によるフルボイス仕様で描く2DアクションRPG『星になれ ヴェーダの騎士たち』は、モバイル/PC向けに2024年内リリース予定。3月5日からは事前登録受付がスタートする。HYBEゲーム事業部門は本作でどのような第一歩を踏み出すのだろうか。今後の続報に注目だ。

©2024 Flint inc. &HYBE IM. All Rights Reserved.

HYBE傘下から「グローバル総合ゲーム会社」へ 新作RPG『星になれ-ヴェーダの騎士たち』リリースの背景と展望とは

BTSが所属するBIGHIT MUSICやSEVENTEEN所属のPLEDIS、NewJeans所属のADORなどを傘下に抱える…

関連記事