リズムゲームだけでなくカードゲームも搭載 アイマス新作『シャニソン』の多彩な魅力に迫る

 2023年11月14日にリリ-スされたスマートフォン向けアイドル育成シミュレーションゲーム『アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism』(以下、シャニソン)。バンダイナムコエンターテインメントが手掛ける本作は、「アイドルマスター」シリーズの最新作だ。

 筆者は原作の『アイドルマスター シャイニーカラーズ』(以下、シャニマス)をプレイしていないが、本作の『シャニマス』の世界観を知らなくてもわかりやすいストーリー、シミュレーションとカードゲームを掛け合わせた育成システム、アイドルたちをより好きになるリズムゲームなどを存分に楽しんでいる。さまざまな要素をあわせ持つ『シャニソン』は、「アイドルマスター」シリーズに触れるきっかけとして最適な作品ではないだろうか。本稿では、そんな『シャニソン』のゲームとしての特徴を解説するとともに、その魅力を紹介していく。

初心者でも入りやすいエピソード

 原作を持つ作品ではあるが、ストーリーはシンプル。アイドル事務所・283(つばさ)のプロデューサーことプレイヤーは、所属しているアイドルたちの成長を見守っていく。原作をプレイしていない筆者にも世界観がわかりやすく、心を揺さぶられるシーンがいくつもあった。まずは、アイドルユニット「イルミネーションスターズ」のエピソードの一端を紹介したい。

「イルミネーションスターズ」のアイドルたち

 「イルミネーションスターズ」の始まりを描く、「星たちの出会い」。アイドルの風野灯織(かざのひおり)、櫻木真乃(さくらぎまの)、八宮めぐる(はちみやめぐる)が同じユニットとして一心同体となり成長していく様子が描かれる。原作をプレイしていない筆者にとって特に印象に残っているのは、灯織と真乃の仲直りシーン。「イルミネーションスターズ」全員の結束がより深まった場面だ。

3人が同じユニットとして成長するためにレッスンを行っている様子

 なかなか成長できずにいる真乃に対して、「ひとりで練習する時間が足りないのでは」と、きつく当たってしまう灯織。3人の関係性がピリピリし始め、真乃を叱った灯織は“悪役”のような印象を与えるが、実はオーディションの失敗によって真乃とめぐるとの居場所がなくなることに不安を抱えていた。その焦りが災いし、ほかのふたりとさらに距離ができてしまうという負の連鎖。そんなとき、プロデューサーは灯織に寄り添う。一人ひとりの悩みに向き合うことの大切さを感じさせるストーリーだ。

練習に付き合うめぐるに対して謝る真乃
真乃にきつくあたって後悔する灯織

 その後、ある日のレッスンで灯織は真乃のダンスの上達に目を見張る。灯織は真乃の努力を称賛し、自身の態度を謝罪。「イルミネーションスターズ」は互いの心の内をさらけ出し、本当の意味でユニット結成の瞬間を迎えたと言えるだろう。

真乃と灯織の反省によって仲が深まる3人

 本作には「星たちの出会い」だけでなく、ほかのエピソードも用意されている。そのなかには、選択肢も存在し、アイドルたちと擬似的な相互コミュニケーションが可能。趣味や性格などを会話から知ることもできるため、彼女たちへの愛着が増し、プレイへの意欲を自然と高めてくれる内容となっている。そして「イルミネーションスターズ」のエピソードのように、王道のストーリーを楽しみながら、自然と本作の世界に引き込まれていくのだ。

コミュニケーションにおいては選択肢が提示されることも

カードゲームに見立てたアイドル育成

 「プロデュース」ではエピソードだけではなく、レッスンやオーディションを受けることができる。ここで重要になるのが「プロデュースカードゲーム」の攻略だ。成功させるためには、あらゆる種類のカードを出し、アピールポイントを獲得し続けなければならない。

画像の上に表示されているのがアピールポイントを蓄えたゲージ。上限まで溜めると成功となる

 獲得したアピールポイントが上限に到達すると、レッスンやオーディションが成功となる。しかし、ここのカードゲームがとても難しい。ほかのアイドルやプロデューサーがカードを出し、こちらの妨害をしてくるのだ。敵となる彼らは、こちらの手持ちのカードをシャッフルしたり、行動できないように制限したりしてくる。     カードを出す順番によってアピールポイントの獲得量に差が生じる「プロデュースカードゲーム」においてシャッフルは天敵だ。くわえて、それを防ぐ手段がないため、「攻撃をしないで」と祈ることしかできない。

敵のアイドルから無慈悲にカードをシャッフルされる

 しかし、カードを出す順番が上手くいったときの開放感と達成感は最高だ。クリアできなかった壁に何回も挑戦し、ついには乗り越えるという体験は何事にも代えがたい。失敗経験として積み上がり、その証拠として右上のゲージがぐんぐん溜まっていく。その感動を何度でも味わいたくて、筆者は最高難易度のHARDをクリアするまでやり込んでしまった。

難易度はEASY、NORMAL、HARDの三段階

 レッスンは成功しなくても進行可能だが、オーディションでは成功しない限り次には進めない。そこで諦めてしまうと振り出しに戻ってしまうため注意が必要だ。何度もリトライしてクリアを目指そう。

オーディションに失敗すると“プロデュース”で進行してきたデータが削除される

 NORMAL以上の難易度では難しさを感じたが、EASYでは苦戦を強いられることはなかった。カードゲーム初心者の筆者でも楽々クリアできたため、安心してほしい。

高難易度のレッスンやオーディションで成功した達成感

 NORMALやHARDのレッスンやオーディションを成功できない場合どうすればいいか、悩んだことがある。プロデュースが始まると同時に所持しているカードのランクは基本的に低く、勝ちやすいデッキは組めない。しかし、カードの入手も、レッスンやオーディション、仕事をクリアした場合のみで、回数は限られている。ここからは、カード入手のために気をつけるべきふたつのポイントを紹介したい。

NORMAL以上のレッスンやオーディションで失敗することもしばしば……

 ひとつ目はいらないカードは捨てること。スケジュールで「相談」ができる場合は必ず行おう。そこで汎用性のないカードを捨てることによって、アピールポイントを獲得するための必要最低限のデッキを作れる。シャッフルをされても欲しいカードが手元に来るようにデッキを整理できれば、レッスンやオーディションが成功しやすくなる。

“相談”では手持ちのカードを削除できる

 ふたつ目はカードの効果を絞ること。効果の種類は合わせて9つ。その中で特に役立つのは、“アピールポイントを獲得する”カードと、“効果量の上昇を発揮する”カードの2種類だ。それ以外を入れてしまうと、欲しいカードが来なかったり、手元に来たとしてもシャッフルされてなかったことにされたりといった事態に陥りやすい。入手したカードの効果を絞ることで、レッスンやオーディションでの“下ブレ”や妨害効果を軽減できるのだ。

カードの効果の種類はアイコンで区別しやすくなっている

 このふたつを意識しておくと、カードゲームをあまりプレイしたことのないプレイヤーでも、難易度の高いレッスンやオーディションのクリアが可能になる。プロデュースカードゲームのルールは独特で少し難しい。レッスンやオーディションをクリアしていき、そのゲーム性をつかめると楽しさが格段に増す。

 もちろん、「アイマス」シリーズ作品としてリズムゲーム要素も搭載。『シャニマス』楽曲をMVとともにプレイ可能で、滑らかに動くアイドルのダンスは、筆者が『シャニマス』に触れるきっかけにもなった。

アイドル育成×カードゲーム×リズムゲームでやりがいMAXに

 本作の最大の魅力は「アイドル育成」「カードゲーム」「リズムゲーム」という、あらゆる要素を組み合わせた斬新さ。そして、筆者が目を丸くしたのはカードゲームの完成度だ。初心者でも楽しめる難易度があり、カードゲームの難しさを突き詰められるようにもできている。そんな本作は、スマートフォンおよびPCで手軽に無料で遊べるので、ぜひ本作の魅力を味わっていただきたい。    

THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.

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