解散したVTuberグループの“その後の物語” 再びスポットを浴びる3人に注目
愛らしさや可愛げを振りまく“ドジっ子” 、宙星ぱる
そんな天鬼ぷるるとほぼ同時期にZERO projectからデビューしたのが、宙星ぱるである。
ZERO project2期生として天鬼ぷるると同期である宙星だが、彼女は2020年8月頃からREALITYを通じ個人VTuberとして活動開始、その後にZERO Projectへ参加したという流れを汲んでおり、じつはぷるるから見ると先輩である。
活動当初にはYouTubeで、2021年12月頃からTwitchで配信をスタートすると、ゲームを歌を中心にした配信をつづけ、ジワジワと人気を広めていった。
ショート~ボブ寄りの髪型に全体的にピンク寄りな色合いのビジュアルを持っていることもあり、屈託のない笑顔や笑い声で雑談したり、モタモタとした印象をあまり抱かせないキュートな女性だ。
そんな彼女だが、おっちょこちょいな一面を持っているドジっ子でもある。そのせいかゲーム中に珍プレイが飛び出すことが多く、それがリスナーを大いに笑わせてくれるのだ。当然本人も意図していないため「あぁ~! 操作間違えたぁ!」と騒ぐのは1回の配信で1度きりのことではない。
こうしたこともあり、リスナーからは明るく元気なドジっ子と見られることも多く、彼女の笑顔や笑い声にホッコリとするリスナーは多いはずだ。
先述したZERO Project在籍時にぷるるを通じてk4senと知り合っており、密かに彼女の配信をみていたk4senは彼女をこのように評していた。
「ぱっさん、なんで伸びないんだろうなぁ? あいつはマジでおもろい。普通に5000人6000人(の視聴者を集めるくらいの)面白さがある。オレいろんな配信みるけど、マジで配信の才能があると思う。でも100人も見てなくて、今日クレジットカードが止まったらしい……(笑)」
「Call of Duty」シリーズのゲーム実況者/大会解説などを務め、その後10年にわたって人気配信者として活動する彼は、ネットシーンをサバイブするなかで様々なストリーマーやVTuberを見てきた見聞はもちろん、活動初期からコミュニティ運営に力を注いできたリーダー的な資質を備えている。そんな彼が、配信のなかでこう評したのだ。
宙星に注目が集まったのは、k4senが彼女を評してから約1年後、2023年10月初めに開催された『VCR ARK2』に参加したころだ。
多くの人気配信者たちが集まる企画へ参加することができた宙星だったが、『ARK: Survival Evolved』をプレイするにはギリギリなスペックのパソコンで配信をしていたため、一昔前のゲームのようなグラフィックでプレイせざるを得なかったのだ。
あまりに衝撃的な絵面に、企画がスタートして間もなく参加している配信者同士の会話やリスナーのコメントづてで「宙星ぱるの画面がヤバいらしい」という話題が広まり、彼女の配信を一目見ようと視聴者が集まることに。同企画を運営しているVAULTROOMのオーナー・土井氏が、「PS2かとおもった」とSNSに投稿するほどだった。
「配信画面が他の人よりもおかしい」と捉えると、ネガティブな広まり方に感じるかも知れない。だが、これが大きなチャンスとなる。
配信を見ていた土井氏から「ヤバい恐竜を捕まえたらPS2を卒業させてあげる」というメッセージが届いたようで、直後から宙星は“ヤバい恐竜”を捕まえるために奔走することに。
恐竜捕獲のために奔走する彼女の事情を知り、手助けをしようとさまざまなストリーマーやVTuberらが協力することになった。『VCR ARK2』が「1つの街を作って全員が住み、襲ってくる恐竜の攻撃に耐える」という内容で、「協力」をテーマにした動きと彼女の狙いとがマッチする形になったのだ。
企画終了後、多くのストリーマーやVTuberと親睦を深めた彼女のもとには、高スペックなパソコンがちゃんと届いたようだ。何よりドラマを生み出した彼女のもとには、活動において重要な「交友関係」「パソコン」だけでなく、以前よりも多くの「視聴者たち」が自然と集まるようになった。
現在彼女は『GTA5』を使ったサーバー企画「ストグラ」に参加していることが多く、同企画の参加者やファン/リスナーからよく知られる存在となっている。2024年に入り、彼女がどのような活動を見せてくれるのかに期待したい。