2024年にブレイクするVTuberは? 『VCR GTA』の活躍から考える
赤見かるびの運命を分岐させた、ストリーマー・スタンミの存在
「無法者」なイメージがついてしまった赤見かるびだったが、2023年にはいってからは、喜怒哀楽さまざまな感情を沸き立たせる名シーンを作ってきた。
2023年4月末に開催された『VCR RUST2』では、先述した騒動の影響もあり、運営から注意を受けた上で参加。ストリーマー・スタンミと共にチームを組み、昨年までのイメージを払拭するようなおもしろシーンを生み出し続け、最後に彼女はスタンミにこのような言葉をかけたのだ。
「スタンミがわたしを拾ってくれなかったら、こんなに長くスト鯖を楽しむことはできなかった」
「わたしたちはスト鯖で一番弱いかもしれないけど、一番楽しんだ自信があるよ!」
いちどついてしまった「無法者」のイメージ、それを知りつつも彼女とともに行動したナイスガイも、このような感謝の言葉が告げられ、思わず感極まる姿を見せた。
こうした出会いと成長を経て、彼女の猪突猛進なプレイングやおバカな一面は愛される要素となり、一気に人気に火がついたのだ。
くわえて、彼女が『ストリートファイター6』をプレイし、これまで関わることのなかった格ゲー界隈のプレイヤーらと交流をした際のエピソードも忘れることはできない。
上記の感動的なシーンから約1ヶ月ほど経ち、2023年6月9日に行われる『REJECT FIGHT NIGHT』に出場することが決定した赤見かるび。ほとんど格ゲーをプレイしたことがない彼女は、日本格ゲー界の第一人者・梅原大吾とチームを組むと、いきなり梅原を「ウメちゃん」と呼びはじめ、チームメイトだったけんきをあわてさせることに。
ゲーム内でも指折りの重量級&高火力キャラ・マリーザをメインにしてプレイすることを決めた赤見かるび。アーマーを使って猪突猛進していくマリーザの戦法は、日々の配信で赤見かるびが見せるプレイスタイルと重なる部分がある。強引な打撃で勝利を奪い取っていくスタイルで大いに大会を盛り上げた彼女は、その後の格ゲー企画・大会にも毎回のように呼ばれるようになったのだ。
また、梅原からの紹介でプロ格闘ゲーマーであるShutoを紹介されると、みごとに意気投合。明るく振る舞うかるびと、それに引っ張られるように軽い口調で次々と冗談を言って笑わせるShutoという関係が生まれ、良好な師弟関係を築いたのだった。
そんな赤見かるびが、リーダーとして一大勢力を率いたのが、12月末に催された『VCR GTA2』だった。以前から交流のあったSHAKAとsasatikにくわえ、直近のFPS大会でチームを組んで良好な関係を結んでいた葛葉、『GTA5』を使ったサーバー企画「ストグラ」に参加していてゲーム慣れしていた鈴木ノリアキとファン太などが加わり、自身のプロフィールをもじったギャング「お肉の国」を結成した。
ゲーム強者かつ大物が揃ったギャングの長となったことや、連日に渡る長時間配信で徐々に疲れが蓄積していたこともあり、ここでもかるびは何度となく珍プレイをみせ、ギャングメンバー及びリスナーを笑いの渦に巻き込んだ。
もはや笑いの神が彼女の後ろにたっているのではないか? と思えるような場面も多く、彼女の周りにはいつもハプニング・事件がつきまとっていたことがアリアリと見えてくる。
こういったこともあり、彼女は期間中普段の配信よりも倍近い視聴者数を集めることになり、12月2週・3週において「Twitchにおいて最も視聴された女性ストリーマー」となったのだ。
一時の炎上騒動や失態からマナーやモラルを身につけ、ジョークや笑いを生み出すVTuber~バーチャルタレントとして成長し、いまや「いま最も旬なVTuber」と呼べるまでに飛躍した赤見かるび。
過去に交流した相手からは「過去にあったイベントで炎上していた」「ちょっとしたタイミングで関わった時に危うそうだった」という負のイメージを強く持たれてしまい、「用心深く接しようと距離を取っていた」と、警戒を直接口にされることもあった。
トラブルを起こした際、彼女はしんじとの会話のなかで「面白ければいいっていうけど、面白いってなんだ?」という風に切りかえしていた。そこからしばらく経ち、いまの彼女はうまく言葉にできなくても「なにがリスナーにとって面白いのか?」ということを体感でわかっているのかもしれない。
彼女がどのような形で“2024年の台風”となるのか、いまから楽しみである。