Wi-Fiルーター、何年同じもの使ってますか? コスパも性能も安全性も抜群な製品をレビュー
現代において、Wi-Fiの無い生活は考えられないだろう。一方でワイヤレスでつながるデバイスが増加していくにつれ、「Wi-Fiの遅さ」という新たな悩みが登場してきたのも事実だ。
そんな時に見直すべきは、当然Wi-Fiルーター(無線LANルーター)だ。今回は世界シェアナンバーワン(2023年第1四半期IDC調べ)のWi-Fi機器メーカー・TP-Link(ティーピーリンク)の製品を実際に使ってみたので、その紹介をしていきたい。
そもそも「Wi-Fiルーター」って何をするものなの?
製品の紹介をする前に、Wi-Fiルーターの役割について簡単におさらいをしておこう。たとえば自宅でインターネットにアクセスするには、有線もしくは無線で使う端末をネットワークと接続する必要がある。
自宅に光回線を引いたとしよう。この場合、家にはモデムもしくは終端装置が設置されているはずだ。家の中でWi-Fiを使えるようにするには、これらの装置をルーターに繋いでやる必要がある。引き込んできた光回線の「宅内のルートを確保する装置」が「ルーター」というわけだ。
Wi-Fiルーターには多様な種類があり、最大通信速度や最大接続台数といったスペック的な違いがある。家族で使うなら大人数で接続できるWi-Fiルーターが欲しいし、オンラインゲームを快適に楽しみたいなら高速かつ安定性に優れたWi-Fiルーターが推奨される。さらに、ネットワークのセキュリティにもルーターは大きく影響してくる。
とはいえ、冷蔵庫や電子レンジのような電化製品であればいざしらず「ルーターの調子が悪くなってきたから買い換えようかな」と考えることはそれほどないはず。ネットに繋がっている限り、ネットワークの不調は見えづらいものだ。
だが、古いルーターは接続速度が遅いだけでなく、セキュリティの脆弱性や規格の古さといったリスクを抱えてしまっている。「そういえば家のルーターの見直しなんて考えたことがなかったなぁ」という人には、今回紹介するTP-LinkのWi-Fiルーターをぜひオススメしたい。
アプリを使った簡単セットアップも可能 現代の定番モデル『Archer AX23V』
まずは、TP-Linkの現行製品でベーシックモデルともいえるWi-Fiルーター『Archer AX23V』(Amazon限定モデル)を紹介する。2023年9月に登場したばかりの最新モデルで、価格は5,980円(税込)と非常にリーズナブル。「とりあえずWi-Fiルーターを用意したい」「最新のルーターに買い替えたい」といった目的にもおすすめのモデルだ。
箱を開封するとルーター本体、電源、LANケーブル、説明書などが梱包されている。ルーターの設置は初心者には難しいと感じるかもしれないが、後述のアプリを使えば簡単に設定ができる。こちらのモデルの公称の無線速度は最大1.8Gbps(1201Mbps:5GHz + 574Mbps:2.4GHz)だ。
こちらが『Archer AX23V』を組み立てた状態。サイズは底面が約13cm、高さが約15cm、厚みが約4cmと非常にコンパクト。本モデルはこのコンパクトさも特徴の一つで、場所を選ばず設置できる。
また、『Archer AX23V』はこれだけのコンパクトさでありながら「Wi-Fi 6」に対応している点も大きな特徴だ。Wi-Fi 6は2019年頃に登場したWi-Fiの規格で、現在も普及が進んでいる。その特徴を動画でチェックしてみよう。
時代とともにWi-Fiを利用する機器が増え、自宅の電波の混雑・干渉といった懸念が増えていくなか、Wi-Fi 6は接続速度や同時接続数などが従来の「Wi-Fi 5」よりも優れている。古いルーターを使い続けている場合は、規格がWi-Fi 5で止まっている可能性もあり、規格のアップグレードのためにもWi-Fi 6への乗り換えは検討したいところ。
ちなみに、Wi-Fi 5が登場したのは2014年頃。なんと10年近く前の規格なのだ。エアコンや洗濯機といった電化製品でも10年前となると省エネ性能が今とは段違いだが、目に見えない無線通信も日夜進化し続けていることを実感する。
実際に『Archer AX23V』を設置してネットワークに繋ぐまでの流れを紹介していこう。ルーターの背面には電源や有線LANケーブルを繋ぐポートが配置されている。
事前に、TP-Linkの製品をワイヤレスに管理できるアプリ『Tether』のインストールをお忘れなく。ひとまずインストールしておくだけでOKだ。
背面端子の下にある「WAN端子(Wide Area Network、ブロードバンド回線に接続するためのポート)」にLANケーブルを差し込み、ケーブルのもう片方は自宅のモデムor終端装置に接続する。これで、自宅に届いているネット回線がルーターにも伝わることとなる。
電源をつないでしばらくするとスマートフォンやパソコンから「TP-Link◯◯◯◯」といったSSIDが確認できるようになる。SSIDとパスワードはルーター本体に記載されているので、それを参考にWi-Fiへ接続。
次に、インストールしておいた『Tether』アプリを開く。ネットに繋ぐまでの設定はこのアプリから行えるが、難しいことは何もなく、ポンポンと項目を選んでいくだけで完了した。接続タイプのような専門用語も出てくるが、基本的には自動検出を選ぶだけでOK。ものの3分ほどで設定を終えることができた。
ルーターの設定(SSIDの変更やセキュリティ情報など)は、すべてこのアプリから管理できる。他社製品や昔のルーターの場合、ルーターやネットワークの設定変更はブラウザから特定のページへアクセスしたりとやや専門的な作業が必要だった。そういった煩わしさを解決してくれるのが『Tether』アプリというわけだ。
アプリ側で設定を完了させれば、無事に自宅でWi-Fiが使えるようになる。実際に『Archer AX23V』に接続した状態でNetflixの視聴やオンライン会議などを試してみたが、接続状況は快適そのものだった。
また、『Archer AX23V』は「WPA3」という最新のセキュリティ規格に準じているのもポイントだ。WPA3は2020年7月からすべてのWi-Fi無線機へのサポートが義務付けられており、言い換えると2020年7月以前に発売された製品は、前世代のセキュリティを使っている状況といえる。
Wi-Fiルーターにありがちな問題として、設置場所に悩みがちというものがある。従来のルーターはその大きさゆえ設置場所が限られてしまっていたが、『Archer AX23V』のコンパクトなボディなら設置場所にも困らない。
コンパクトなサイズを活かして、棚の奥に収納してしまえる。本体が黒いためアイアン脚を採用している家具との相性も良く、ルーターの存在感をうまく中和して隠してくれる。文庫本よりやや大きい程度のサイズなので、本棚に設置してしまうことも可能だろう。
あるいは壁などと並行におき、手前のモノで隠すことで専有スペースを取らない設置スタイルも。ルーターはどうしてもケーブルが出てしまうが、ルーターの手前にモノを置いていけばケーブルも上手く隠すことができるだろう。側面には壁掛けのためのスペースも付いている。
便利なポイントとして、『Archer AX23V」は「EasyMesh」と呼ばれる機能に対応していることも見逃せない。これは複数のEasyMeshに対応したWi-Fiルーター・中継器を設置することで網目状にネットワークを構成する仕組みのこと。電波のカバー範囲が広くなるほか、中継器と違っていちいちWi-Fiの接続先を切り替える必要がないので非常に快適だ。二階建ての家であれば一階にメインのルーターを設置し、二階には『Archer AX23V』のようなコンパクトなルーターを設置するといったイメージで使うのもよいだろう。
Wi-Fi 6対応、設置場所を選ばないコンパクトボディ、EasyMesh対応、WPA3のセキュリティ性などなど。これらの機能性を兼ね備えつつ価格もお手頃な『Archer AX23V』は、まさにニュースタンダードモデルと呼ぶに相応しいモデルだ。