『フリースタイル日本統一』#8ーー呂布カルマが実力を認めたラッパーを吸収なるか?

『フリースタイル日本統一』前回までのおさらい

 オンエア開始から前回の【#7】まで、トーナメント1回戦(壱万石の戦い)として、TEAM東北がTEAM北海道、TEAM北関東がTEAM甲信越、TEAM埼玉がTEAM東京、TEAM神奈川がTEAM千葉を下している。

 なかでも前回の【#7】では、TEAM千葉とTEAM神奈川がバトルに。TEAM神奈川からは、いわゆる“バトルラッパー”ではない“音源勢”として、LEXやLeon Fanourakisなどとも肩を並べるSANTAWORLDVIEWが一番手に名乗りを上げ、2人抜きの奮闘ぶりを見せる。

 最終的には、TEAM神奈川がバトルに勝利し、『フリースタイルダンジョン』で2代目モンスターを務めていた輪入道を自チームに吸収。先輩MCのFORK(ICEBAHN)を温存したまま、最強のカードを手に入れただけに、オンエア後には“TEAM横浜がもう優勝確定では?”とSNSが軽くざわついていたが、あの輪入道すら“必殺仕事人”ともいえる淡々としたラップで制した次鋒=句潤にも本当に恐れ入るばかり。

 さて【#8】では、TEAM福井(ASS:B Miller×:DSLowvv×KANDAI)とTEAM東海(呂布カルマ×泰斗a.k.a.裂固×楓)が激突。『ULTIMATE MC BATTLE(UMB)』や『KING OF KINGS(KOK)』地方予選優勝者が集まるTEAM福井に対して、TEAM東海には呂布カルマや裂固と、高いバトル戦績がすでに広く知られているラッパーが。彼らとタッグを組む楓も、17歳ながら『UMB2023』愛知予選での優勝をはじめ(オンエアでは準優勝となっていたが)、最近よく名前を見かける印象がある。そもそも天下統一は、東海地方=尾張・名古屋から始まったもの。史実と同じく、自分たちの地元が天下統一を果たすと、バトルを目前に自信たっぷりに語っていた。

楓、ASS:B Millerを圧倒 未成年の手痛いところを突かれるも……?

 改めてルールを説明すると、かつての『フリースタイルダンジョン』放送当初のスタンダードであった、8小節2ターンの3ラウンド制とは異なり、今回は8小節3ターンの1ラウンド制に。判定は、KEN THE 390ら5名の審査員によって下される。

 まずは、ASS:B Miller(後攻)と楓(先攻)が、DJ KENZI aka BLACKBEATZ「NO91」のビートでフリースタイル。

楓:福井 飛び降りる東尋坊? 逆に突き落としてやる太平洋

ASS:B Miller:敵は俺の中 既に暗殺 福井 敦賀 I rep S.I.C.K 仲間の生活変えるClassic

楓:足りない まだ足りない 俺ら東海 never still dieだ

ASS:B Miller:足りないとか言いながら デイイベントしか出てないようなクソガキ

楓:たしかにナイトイベントはいまだ出れねぇし でも言い続けてんだよ そういう凡人たちに俺は夢見させたいって言ってんだよ/お前はラストする後悔を 富士山見上げ勝利 東海道

 紹介VTRで取り上げられた福井の観光名所・東尋坊を引用しながら、相手を言い負かすべく距離を詰め寄る楓に対して、ASS:B Millerは途中、小節の語尾合わせに迷いを生じる場面もあったが、あくまでも自身の信念を貫く言葉を提示。

 楓もまた、肝心なラインでやや噛んでしまう部分もありつつ、“デイイベント”の下りをしっかりとアンサーしたり、〈足りない まだ足りない〉のラインは、リズムをもたれさせて、その後のラインに期待感を抱かせるなど、フロウの面でもASS:B Millerを一歩上回っていた印象だ。やや治安の悪いビートと相性がよい“上から”のスタンス然り、地元レペゼンを押す相手に対して、最後には“東海道”と、同じ手法ながらもそれを上回る綺麗さでオチをつけていたところも勝因なのだろう。

 最終ターンで、楓のラップを認め、彼に対してだけ通用する的確なパンチを打てなかったASS:B Miller。その点も踏まえて、楓:4票、ASS:B Miller:1票という結果は納得だったのではないだろうか。

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