“友達の友達にいそう”なあどけない少女「彩千華（さちか）」

　3体目は「彩千華」。黒を軸にまとめたシンプルなドレスに身を包んだ女性アバターだ。

　どこかコハクを思わせる特徴的な瞳が目を引く。同じく女性アバターである「風璃」と比較すると、ツインテールも相まって面立ちは少しあどけない印象を受ける。

　デザインのモチーフにはデルフィニウムの花が採用されており、サンバイザーやタイツの細やかな紋様にそのモチーフが見て取れる。ちなみに、デルフィニウムの花言葉は「あなたは幸福をふりまく」なのだそう。

　等身はやや高めだが、表情設定は「風璃」と同じくらい多彩だ。顔立ちの幼さも相まって、ハイティーンの少女のような印象を受けた。

　制作チームは2名体制。デザインはナナカワ氏が、モデリングはみりの氏が手掛けている。みりの氏によれば、「ほかのアバターよりも地味め」というのが一つのテーマとなっているらしく、「友達の友達」という絶妙な距離感を形作るのに注力したとのことだ。

　「華やかなパーティーにちょっと背伸びをして足を運んだ少女」というデザインゆえに、普段使いにも十分使っていけそうなアバターだろう。

　なお、等身の高さが影響しているのか、筆者の環境ではフルトラッキングの動きが最も映えるようにも感じた。「動き」を重視したい人にもオススメできそうだ。

細身のシルエットにラグジュアリーさを添えた「鳳蝶（あげは）」

　最後にご紹介するのは「鳳蝶」。「龍青」と同様の男性アバターだが、あちらが全身を白でまとめていたのに対して、こちらのカラーリングは真逆で、モノトーンでまとめたいかにも「正装」らしい姿だ。全体的なシルエットも細身だ。

　髪型は後頭部を少し短めに刈り上げたショートヘア。ファンタジー感のある「龍青」と比較すると、よりリアル感のあるデザインである。

　表情もどちらかといえば柔和な印象で、韓国風ファッションに身を包んだおしゃれな男性という雰囲気が強い。笑顔はさわやかだが、たまにあわてるような表情も見せるなど、意外と気弱なのかもしれない。

　全体の落ち着きある雰囲気に対して、アクセサリー類はものすごく派手だ。ジャケットにはジュエリー風のバッジ、指にはリングの数々、腰にはチェーンと、ラグジュアリーかつワイルドな雰囲気を醸し出す。

　こちらも制作チームは2名体制。イラストレーターの7日氏がデザインを、3Dモデラーの伊ノ本カズラ氏がモデリングを手掛ける。「蝶」「華」をコンセプトに掲げたところから、伊ノ本カズラ氏はカラスアゲハをモチーフとして採用。7日氏のイラストの雰囲気を再現しつつ、髪などに緑色の差し色を投入し、スーツのザラッとした光沢感も重視しながら造形を組み上げたとのことだ。

　王道のブラックスーツに身を包んだ男性ということもあり、華やかなパーティーによく似合いそうなアバターである。アクセサリーや髪型の雰囲気によってほどよくカジュアルな印象もあたえるので、シャープなルックスでいきたいときに最も映える男性アバターになりそうだ。

制作サイドも愛を込めて　パーティーで存在感を放つ「正装」はいかが？

　冒頭でも述べたように、一般的なアバターの価格帯が5000円前後であることをふまえれば、30,000円台という販売価格は、手を出すにはそこそこ勇気のいるアバターではある。だが、込められたコンセプトやこだわり、なにより「正装」という方向性にピタリとハマる姿は、数ある『VRChat』アバター中でも、唯一無二である。素朴に私情を述べると、筆者は発売日に2体程度は買いたい気分だ。とくに「龍青」は絶対にほしい。

　そう思わせてくれる原動力のひとつが、大丸松坂屋百貨店の担当者である、 経営戦略本部 DX推進部・岡崎路易氏の熱量である。

　彼自身、プライベートでも『VRChat』にしっかりハマって楽しんでおり、日々遊んでいる中で得られた「様々なシチュエーションに合わせた装いのアバターを提供できれば、ユーザーの暮らしが豊かになる」という気づきによって今回のアバター事業が始動したとのことだ。机上の空論ではなく、「実地での経験から芽生えた事業」ということだ。

　実際、筆者含めたメディア陣からは、華やかさのあるデザインやコンセプトからか、「高いけれどこれはほしい！」という声が挙がっていた。

　高価ではあるが、多数の著名クリエイターが参加していることもあり、それだけよいものに仕上がっている。「多数の中でも存在感を放つ装いがほしい」という方は、ぜひチェックしていただきたい。

　大丸松坂屋百貨店のオリジナル3Dアバター5種は、10月17日に「BOOTH」にて発売予定だ。ユーザー向けの試着会についても、第一回が10月9日に実施されており、第二回開催も10月20日に予定しているとのことだ。

■大丸・松坂屋アバター販売公式ストア
https://dm-avatar.booth.pm/