G-SHOCK、ホビージャパン、大丸松坂屋百貨店……大手企業の『VRChat』参入が相次いだ一週間
バーチャル店舗からデジタルアイテムまで。カシオ計算機が「G-SHOCK」とともに『VRChat』進出
毎週さまざまな「バーチャルのニュース」をお届けしている本連載だが、先週はとくにソーシャルVR『VRChat』関連のニュースが多かったように思う。なにせ大手企業の参戦が相次いだ一週間だった。
まず、カシオ計算機である。「G-SHOCK」などを有する老舗の電機メーカーが、突如『VRChat』に公式バーチャル店舗『G-SHOCK STORE』をオープンしたのだ。
店舗の様子は、コンクリートの壁面と、中央に広場的なスペースを備えた円周状のホール、というモダンな雰囲気である。外周には展示台が設置され、その一部に現在の「G-SHOCK」ラインナップの3Dモデルが展示されている。
人の上半身ほどはある大きさの3Dモデルには、触れるとパーツごとに分解され、内部構造までくわしく観察できる仕掛けが施されている。メカニカルな「G-SHOCK」ゆえに、細かな内部構造はそれだけで見応えがある。
そして、「自分だけのG-SHOCK」を作り出せる設備もある。名付けて『MY G-SHOCK』。まっさらなフレームの「G-SHOCK」に対し、本体フレーム、文字盤、ベルト、金具に至るまで色指定し、オリジナルのカラーリングの「G-SHOCK」をその場で作ることができる。組み合わせは実に100億通りだという。
作った自分だけの「G-SHOCK」は、その場で自分のアバターに装着できる。メーカーの製造体験イベントで、参加者が作ったものを持ち帰ることができる、というものに近いが、デジタル時計でこうした体験ができるのはなかなかにおもしろい。手軽にオブジェクトを作り出せるメタバースならではだろう。
なお、「MY G-SHOCK」は『VRChat』向けアバターに装着するデジタルアイテムとして、3000円で販売が始まっている。「G-SHOCK STORE」と同じ要領でカラー指定したオリジナル「G-SHOCK」をアバターにも身につけられる上、現在時刻も表示できる機能付きなので、本当に“時計”として利用できるのが特徴だ。ちょっとした便利な小物が意外と需要がある、『VRChat』アバター文化をよく理解した商品だ。また、CASIOオンラインストアでは実物のオリジナル「G-SHOCK」も注文可能で、お気に入りの組み合わせはバーチャルのみならずリアルでも身に付けることができるのはうれしいポイント。
バーチャル店舗で「G-SHOCK」をつくり、気に入ったものはデジタルアイテムとして購入し、アバターに身につけられ、さらにリアルでも購入が可能。ウィンドウショッピングの発展形とも言える施策を、カシオ計算機は米国VRChat社との公式パートナー契約締結とともに打ってきた。本腰を入れた業界参入と言えるだろう。