「VCR ARK」や公式サーバー閉鎖で話題に 恐竜サバイバル『ARK』はなぜプレイヤーの心を掴むのか

恐竜サバイバル『ARK』はなぜプレイヤーの心を掴むのか

 10月2日、『ARK: Survival Evolved』の専用サーバーを活用した、ストリーマー・VTuberのみが参加できるイベント「VCR ARK(スト鯖ARK)」が開幕した。

 2022年11月以来、2度目の開催となった同企画。主催する招待制ゲームコミュニティ「VAULTROOM」とプロゲーミングチーム「Crazy Raccoon」はこれまでにも、『Grand Theft Auto V』や『Rust』といったタイトルで同様のイベントを開催している。

 『ARK: Survival Evolved』の面白さはいったいどのような点にあるのか。その魅力について、考える。

恐竜時代を舞台にしたサンドボックスアクション『ARK: Survival Evolved』

『ARK: Survival Evolved』Nintendo Switch アナウンストレーラー

 『ARK: Survival Evolved』は、恐竜をはじめとした古生物たちが生息する世界を舞台に、必要な素材や道具、拠点を採取・製作・建設しながら、生活をおこなっていくサンドボックスアクションだ。プレイヤーは1人のサバイバーとなり、大自然のなかで生きる方法を自分ひとり、もしくは仲間とともに模索していくことになる。特徴的なのは、遊び方に道筋が用意されていない点。「生きる」という目標のために何をすればよいのか、都度考え、行動していくことが、同タイトルの最大のゲーム性となっている。

 『ARK: Survival Evolved』は、2015年6月からの約2年間のアーリーアクセス期間を経て、2017年8月にPC版が発売された。同年10月には、PlayStation 4版がスパイク・チュンソフトよりリリースに。その後はAndroid/iOS版、Nintendo Switch版も発売となっている。全世界における販売/ダウンロード数は、7,650万本(2022年6月時点)。オープンワールドやサンドボックス、サバイバルアクションといったジャンルを好む多くのフリークに愛されているのが、『ARK: Survival Evolved』というタイトルだ。

『ARK: Survival Evolved』の面白さは、「自由度」「やりこみの深さ」「多人数のマルチプレイ」にあり

 なぜ『ARK: Survival Evolved』は人を夢中にさせるのか。数ある魅力のなかで、まず触れておかなければならないのが、同タイトルの持つ自由さと、やりこみ要素の豊富さについてだ。

 先に述べたとおり、『ARK: Survival Evolved』には、ゲームデザインに誘導される攻略ルートというものが存在しない。右も左も分からない大自然のなかで、プレイヤーは生き抜く術を考えていく。最初は衣食住に代表される生活基盤を整えることになるが、その先には“本当の自由”が待っている。これは経済的・時間的余裕の上に自由が成り立っている、現実の人間社会とおなじ構図だ。狩猟するための武器を製作する者、住居をより納得のいく形にアップグレードしていく者、行動エリアの外側にあるまだ見ぬ場所へ探検に出かける者など、プレイヤーはそれぞれに目標を見出し、サバイバルを続けていく。

 ステップアップの過程には、人間の力では立ち行かない問題に直面することもある。そのときに頼ることになるのが、フィールドで共生する動物たちの力だ。『ARK: Survival Evolved』には、彼らを飼いならす「テイム」と呼ばれるアクションが存在する。プレイヤーはそれぞれに異なった能力・特性を持つ彼らの力を借りることで、人間だけでは到達不可能だった領域にも可能性を広げていく。なかには、自分のプレイスタイルに合った“相棒探し”に夢中になる者もいるだろう。このテイムこそが、ほかのサンドボックスにはない、『ARK: Survival Evolved』の個性でもある。

 このように段階に応じて、プレイヤーが自由に目標を変えられること、また、それらすべてが異なるやりこみの深さを持つことが、『ARK: Survival Evolved』の楽しさの根源だ。こうした成分を抜きにして、同タイトルの魅力を語ることはできない。

 一方、もうひとつの触れておくべき魅力が、多人数でのマルチプレイである。近年のゲームカルチャーにおいて、マルチプレイはオンライン要素を持つタイトルに当たり前に含まれるシステムとなってきた。しかし、その人数は多くても4~10人ほど。『ARK: Survival Evolved』のように、1サーバー/100人までという実質的に無制限ともいえる人数でマルチプレイができる例はほとんどない。すでに遊んだことがあるプレイヤーのなかには、見ず知らずの人と協調、あるいは対立した経験を持つ人もいるのではないか。フレンド同士の大所帯で協力プレイを行ったという人もいるだろう。

 こうした既存の枠組みにとらわれない大規模なマルチプレイもまた、『ARK: Survival Evolved』の楽しさのひとつである。冒頭で紹介したイベント「VCR ARK」では、約100名のストリーマー・VTuberが参加を表明し、実際に日々、配信で協力プレイを行っている。

 もちろん紹介した2つの魅力はあくまでも主なものに過ぎない。マップの豊富さ・壮大さ、現実的すぎるゲームデザインであるがゆえの不便さなどを魅力に挙げる人もいるだろう。さまざまな特徴によって、『ARK: Survival Evolved』の面白さは構成されている。だからこそ、同タイトルは多くの人の心を魅了するのかもしれない。

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