デバイスがFPSの実力を左右する? 話題の「ラピッドトリガー」の実力を『REALFORCE GX1 KEYBOARD』でチェックしてみた

FPSで話題の「ラピッドトリガー」とは?

 昨今、ゲーミング界隈ーーとりわけ『VALORANT』を始めとする一部のFPSタイトルのプレイヤー間で話題になっているキーボードの機能「ラピッドトリガー」をご存知だろうか。筆者も実際にその機能に触れてみたのだが、その機能が搭載されたキーボードを使用すると、まるで「自分の実力が上がった」ような気になるのだ。

 誤解なきようあらかじめ言い含めておくが、決して「自動で相手に照準が合う(オートエイム)」「壁の裏が透けて見える(ウォールハック)」などのチート行為の話をしているわけではない。これは純粋な企業努力によってデバイスがより良いものになった、というだけの話なのだ。

 「ラピッドトリガー」は海外のデバイスメーカー・Wooting社の『Wooting 60HE』に初めて搭載された機能で、これに追随したのが日本の老舗キーボードメーカー・東プレだ。

 本稿では、機能の解説に加え、東プレ社の『REALFORCE GX1 KEYBOARD』を実際に触ってみた感想をお届けする。 

『VALORANT』や「Counter-Strike」シリーズで超重要な技術「ストッピング」とは

『REALFORCE GX1 KEYBOARD』

 「ラピッドトリガー」の解説に入る前段として、『VALORANT』「Counter-Strike」などのFPSタイトルにおいて重要な技術「ストッピング」について触れておく必要がある。これは、ざっくり言えば「自分の操作キャラクターを静止させる技術」のことだ。

 ほとんどのFPSタイトルでは、銃を撃った際の「反動(リコイル)」を拡散率という形で再現していることが多く、これを制御する技術が重要になってくる。銃口が徐々に上方向にズレていったり、しまいには弾の軌道が大きく拡散してしまったりするので、これをコントロールするのだ。

 この仕様のひとつとして、キャラクターが動いていると弾の拡散率が“大幅に高くなる”というのがある。「しっかり止まってから撃たないと、弾はまっすぐ飛ばないよ」というわけだ。エイムを合わせるのがどれだけ上手でも、弾がまっすぐ飛ばなければゲームには勝てない。

ちょんちょんと横移動を繰り返してラピッドトリガーを試していたときのシーン。移動したままだともっと派手に拡散する

 ストッピングには主要なやり方として二種類の方法があり、ひとつは「移動キーを離す」方法。単に移動するのを止めるというシンプルなやり方だ。もうひとつは、「逆キーストッピング」などと呼ばれる方法で、移動キーを離してから、逆方向のキーを一瞬入力するというもの。キャラクターの移動には慣性があり、そのままでは静止状態になるまで若干の間がある。そこで、逆方向への入力で素早く静止させるというわけだ。

 そして、「ラピッドトリガー」はおもに前者の方法で有利に働く機能だ。結論からいえば、この機能はキーを離してから入力までの遅延を“極限まで減らす”ことができるようになるものなのだ。

『REALFORCE GX1 KEYBOARD』

 もともと、キーボードのスイッチにはキーを押してから反応する地点「アクチュエーションポイント」が設定されており、最大まで押し込んだ際の距離(キーストローク)が4mmであれば、大抵のゲーミングキーボードは1〜2mm前後押し込むと、入力のスイッチがONになる仕組みである。

 「ラピッドトリガー」は、この「アクチュエーションポイント」を自由に変更できるキーボードが登場したことで生まれた機能だ。キーの押し込みに反応する地点を自由に設定できるようになったことで、その逆もできるようになり「アクチュエーションポイントに対して、どこまでキーを離したらスイッチをOFFにするか」というポイント(リリースポイント)も設定が可能になったのである。たとえば「キーを1mm押し込んだら入力をONにし、その地点から0.5mm戻したらOFFにする」といった具合だ。

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