『Starfield』が2日で総プレイヤー数600万人突破 未来×スペースオペラはゲーム設定の新定番となるか?

 9月6日、ベセスダ・ソフトワークスから『Starfield(スターフィールド)』が発売となった。

 2023年屈指の注目作として話題を集める同タイトル。そこに描かれている設定から、今後のゲーム文化の潮流を考える。

25年以上ぶりに誕生した、ベセスダ発の新たなオープンワールドゲーム『Starfield』

『Starfield』公式ティーザートレーラー

 『Starfield』は、広大な宇宙で繰り広げられるオープンワールド型のアクションRPGだ。プレイヤーは、人類が太陽系外に進出した西暦2330年を舞台に、宇宙探検家集団「コンステレーション」の一員として、銀河をめぐり、貴重なアーティファクトを探す旅に出る。

 発売を担ったのは、アメリカに本社を構える大手パブリッシャーのBethesda Softworks(ベセスダ・ソフトワークス)。開発を傘下の制作チームであるBethesda Game Studios(べセスタ・ゲームスタジオ)が手掛けた。ベセスダ発のオープンワールドゲームといえば、「The Elder Scrolls」(以下「TES」)や「Fallout」を思い浮かべる人も多いだろう。これらはどちらも、ベセスダ・ソフトワークスとベセスダ・ゲームスタジオのマッチアップによって世に送り出されたシリーズだ。つまり『Starfield』は、両者のノウハウを結集して制作されたタイトルということになる。ベセスダ・ゲームスタジオが完全新規となるIPを発表するのは、実に25年以上ぶりだという。

 対応プラットフォームは、Xbox Series X|S、Windows、Steamで、価格は、8,800円(税別)。なお、MicrosoftがXbox/PCプラットフォーム向けに展開するサブスクリプションサービス「Xbox Game Pass」「PC Game Pass」にもラインアップされている。同サービスを活用すれば、1,000円弱の月額料金でプレイできる。

過去の不名誉を払拭し、順調な滑り出しを見せる

『Starfield』公式ゲームプレイトレーラー

 オープンワールドRPGの人気シリーズ「TES」や「Fallout」を手掛けたベセスダの最新作として、大きな期待のなか発売を迎えた『Starfield』。現時点では、おおよそ界隈が思い描いていたとおりのインプレッションをもたらしているようだ。

 リリース翌日の9月7日には、全世界におけるプラットフォーム合計の同時接続プレイヤー数が100万人を超えたと、Microsoft社でXboxブランドの統括責任者を務めるフィル・スペンサー氏が明かした。さらに翌日の9月8日には、総プレイヤー数が600万人に達したことが、発売元のベセスダ・ソフトワークスより発表されている。発売開始から2日でのこの数字は、同社のタイトルとして史上最速の記録になるとのこと。ここには9月1日よりスタートしたアーリーアクセスの期間も含まれるため、純粋な意味での2日間ではないが、その数字の大きさからは『Starfield』に集まる期待と話題性の大きさをうかがい知ることができる。

 思い返すと、ベセスダとオープンワールドRPGのこれまでは、(特にローンチ直後においては)制作側・プレイヤーの両者にとってバグとの戦いの歴史でもあった。「TES」シリーズの第4作『The Elder Scrolls IV: Oblivion』や第5作『The Elder Scrolls V: Skyrim』、「Fallout」シリーズの第3作以降の作品などは、バグの多かったゲームタイトルの代名詞ともなっている。集まる評価に勝るとも劣らないほどの不名誉も築き上げてきたのが、ベセスダ発のオープンワールドRPGだ。

 しかしながら、『Starfield』では、少なからずバグが見つかっているものの、上記で紹介した“金字塔”たちに比べると、幾分マシとも言える状況になっている。このあたりも、過去のノウハウが結集されたポイントといえるのかもしれない。

「未来×スペースオペラ」は、舞台設定の新定番となるか

『Starfield』の世界へ:旅の始まり

 先にも述べたとおり、『Starfield』では、広大な宇宙が舞台となっている。これまでオープンワールドやアクションRPGのジャンルでは、原始や中世、近世の時代がフォーカスされやすかった。しかし、同タイトルが物語の背景としている時代は、いまから約300年後。近未来のさらに先、中未来と呼ばれる時期だ。

 著名なオープンワールド・アクションRPGを振り返ると、「TES」や「グランド・セフト・オート」「ウィッチャー」「レッド・デッド・リデンプション」といったシリーズが、原始・中世・近世の時代を舞台としている。ベセスダ発のもうひとつの人気シリーズ「Fallout」でさえ、描かれているのは、現未来から近未来にかけての頃である。

 未来とスペースオペラの掛け合わせは、映画文化では散々に語り尽くされてきた設定だ。直近では、『アバター』や『インターステラー』『ブレードランナー 2049』といった作品が商業的に大きな成功を収めた。しかしながらこれまで、ことゲームカルチャーにおいては、あまり舞台に選ばれてこなかった(あるいは、文化的・商業的成功につながってこなかった)時代・テーマだった。映画と現代のゲームが比較的近い性質を持つ文化と考えられるなかで、なぜ後者においては、未来×スペースオペラの成功作品が生まれてこなかったのか。このことは極めて特異的であると言える。一昔前と比較すると、そうした時代が想像しやすくなったここ数年においても、一定の評価につながった作品は『Returnal』くらいではないだろうか。

 このような歴史を踏まえると、今後は『Starfield』の成功を背景に、ゲーム文化においても、未来×スペースオペラの成功作品が多く生まれるのかもしれない。毛色はやや異なるが、2023年4月には近しい設定を持つモバイル/PC向けRPG『崩壊:スターレイル』がリリースされ、話題を集めた。

 『Starfield』の次に続くのは、どのようなタイトルだろうか。未来×スペースオペラの設定を持つ作品があまり生まれてこなかった日本から、独自のアプローチで解釈した成功作が新たに誕生するのを楽しみにしている。

次世代RPG『Starfield』ローンチイベント開催 バレット役・岩崎ひろしは出演に感謝「本当に幸せ者だと思う」

次世代型RPG『Starfield』のローンチイベントが9月7日、RED TOKYO TOWER 5F SKY STADIUMに…

関連記事