中世日本はなぜゲームの舞台として選ばれやすいのか? 新作『Sengoku Dynasty』から理由を考察

中世日本はなぜゲームの舞台になるのか

 8月11日、『Sengoku Dynasty』のアーリーアクセスがスタートした。

 戦国時代を舞台にした設定が、そのグラフィックやゲーム性とあわせ、注目されている同タイトル。近年、ゲーム市場では、海外ディベロッパーによる中世日本を舞台にしたゲーム制作の例が増えてきている。

 本稿では、『Sengoku Dynasty』の概要を踏まえ、同タイトルの今後の展開や、海外ディベロッパーが中世日本を舞台に選ぶ理由を考える。

戦国時代の日本を舞台に村づくりをするサバイバル・シミュレーション『Sengoku Dynasty』

Sengoku Dynasty Release Trailer JP

 『Sengoku Dynasty』は、戦国時代の日本を舞台に、ゼロから村づくりを行うシミュレーションゲームだ。プレイヤーは戦乱に巻き込まれすべてを失った主人公となり、探索や採集、耕作、狩猟、製作、建築といった極めて原始的なアクションを繰り返しながら、飢餓や戦によって荒廃した地に新たな集落を築いていく。

 開かれた広大なマップも同タイトルの特徴。必要な手段さえあれば、順序は関係なく、目に見える場所すべてに行くことができる。ゲーム内に明確な最終目標はなく、何をすべきかは、都度プレイヤー自身が考えていく。その意味において『Sengoku Dynasty』は、オープンワールドやサンドボックスといったサブジャンルにも分類されやすい。

 シングルプレイのほか、最大4人でのオンライン協力プレイにも対応している。他のプレイヤーやNPCなどと協力し、何もなかった場所に新たな経済圏を築き上げることが、同タイトルの大まかな目標であり、最大のゲーム性となっている。

 対応プラットフォームは、PC(Steam)のみ。正式リリース時の価格は未定となっているが、アーリーアクセス期間中は、3,599円(税込)でダウンロードできる。

発売元の“主戦場”でリリースされた『Sengoku Dynasty』「賛否両論」スタートも今後に期待

 戦国時代を舞台とする設定や、本格的なゲーム性、Unreal Engine 5を活用した美麗なグラフィックなどから、アーリーアクセス以前より注目を集めてきた『Sengoku Dynasty』。リリース後には、著名なゲーム配信者である2BRO.が取り上げたこともあり、当初はその存在を知らなかった層にも少しずつリーチし始めている。

【戦国時代生活シム】弟者,兄者,おついちの「戦国ダイナスティ | Sengoku Dynasty」【2BRO.】#1

 発売を担ったのは、オーストリアのインディーパブリッシャーであるToplitz Productions。同社はこれまで、似たゲーム性を持つタイトルを「Dynasty」シリーズとして複数発表してきた。2019年11月には、農場を舞台にした『Farmer's Dynasty』を、2021年2月には、木こりを主人公に据えた『Lumberjack's Dynasty』を、2021年9月には、中世ヨーロッパを時代背景とした『Medieval Dynasty』を、2023年2月には、ウエスタン・カウボーイの世界を描いた『Wild West Dynasty』を、それぞれライフシミュレーションとしてリリースしている。つまり、同ジャンルはToplitz Productionsにとって、過去に数々の作品を発売してきた“主戦場”というわけだ。

 しかしながら、『Sengoku Dynasty』のアーリーアクセス開始直後のSteam上での総評は、「賛否両論」と芳しくなかった。先述した設定やゲーム性、グラフィックについては一定の支持を獲得しながらも、インターフェースの不親切さ、バグの存在などが足を引っ張り、期待ほどの評価には至らない結果となった実態がある。

Medieval Dynasty - LAUNCH TRAILER

 とはいえ、同タイトルはまだアーリーアクセスが始まったばかり。今後の正式リリースに向けて、さまざまな変更が施されていくのだろう。8月15日には、発表直後のユーザーのフィードバックを反映したと思われる0.1.1.0アップデートが配信となった。同パッチには、不具合の修正、インターフェースの向上に分類される変更が多く盛り込まれている。

 時代背景に違いはありながらも、最も類似する設定を持つ『Medieval Dynasty』は2023年8月20日現在、Steam上で「非常に好評」という総評を獲得している。Toplitz Productionsが主戦場でこれまで得てきたノウハウが生かされれば、『Sengoku Dynasty』もさらに良質な作品となっていくに違いない。

 同社はSteam上のイベントページで、『Sengoku Dynasty』のロードマップを公表している。それによると、今後はまずフィードバックの収集、不具合の修正、ユーザー体験の向上に力を入れていくようだ。長期的には、ゲームボリュームを大きくするコンテンツの追加も予定しているという。実績のあるToplitz Productionsだけに、これまでの評価が一変するような良化を期待したい。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる