My Hair is Bad・椎木知仁がロンドン公演で感じた手応えとステージに立つ意義 「歌い始めてしまえばどこにいても自分」
My Hair is Badのボーカル&ギターを務める椎木知仁が「ABEMA」による国際的音楽プログラム『[ AMBIENCE TOUR ] sessions Starring : TOMOMI SIIKI (My Hair is Bad)』に出演した。
本企画は、椎木がロンドンの音楽スタジオ「アビーロード」にてアコースティックセッションを披露するというもの。6月に渡英し、My Hair is Badの既存曲だけでなく、音源化されていない新曲、はっぴいえんどの「風をあつめて」、井上陽水「最後のニュース」も含む全11曲をパフォーマンスした。
今回は椎木本人に、渡英の感想や本公演の手応え、配信で音楽を届けることの意義などをメールインタビューにて聞いた。(伊藤美咲)
生まれて初めての海外。日本のことが全く気にならなくなる
ーー椎木さんは今回の渡英が初の海外だったそうですが、いかがでしたか?
椎木知仁(以下、椎木):生まれて初めての海外は、なにからなにまですべてが新鮮で刺激的でした。まさかこの歳になって、水を一本買うことですらこんなにワクワクできるなんて思ってもいなかったです。あと、海外にいると日本のことがまったく気にならなくなるのが不思議でした。SNSでは当たり前に日本の情報や友だちの日常が流れてきたけど、自分とは関係のないことに思えました。
ーー渡航前、滞在中、帰国後で海外に対するイメージの変化はありましたか?
椎木:外国で外国の人と話すなんて、宇宙で宇宙人と話すことのように思っていましたが、意外と起きて働いて趣味の時間があって食事して眠って……と僕らと同じような生活をしているんだなと。少しだけ身近に感じるようになりました。
「歌い始めてしまえばどこにいても自分」
ーー今回は「アビーロードスタジオ」にてパフォーマンスを行いました。世界的に有名なスタジオにご自身が立つ意味をどのように考えていますか? 実際に歌ってみた感想も聞かせてください。
椎木:自分が立つ意味は観た人が決めてくれたらいいかなと思いますが、由緒正しい、歴史ある場所で自分の曲を歌えたことは心から光栄に思います。アビーロードのスタッフさんたちや外国の映像・照明技師の前で歌うのは緊張しましたが、「歌い始めてしまえばどこにいても自分なんだな」と思いました。
ーー今回のパフォーマンスを見た現地の方の反応や反響はいかがでしたか?
椎木:どうだったんですかね……(笑)。「ナイス!お疲れ!」みたいな感じでした。でもみんな優しかったので、多分嫌われてはないと思います。
ーー今回披露した、はっぴいえんどの「風をあつめて」、井上陽水の「最後のニュース」を選曲した理由や曲に関する思い出を教えてください。
椎木:日本や世界中で大切されて、いままでもたくさんのミュージシャンにカバーされてきた2曲を選びました。それ以上に特に強い理由はないです。「風をあつめて」はよく当時付き合っていた彼女の部屋で、昼間にぽけーっとしながら聴いてました。「最後のニュース」は奥田民生さんのカバーがきっかけで知って以来、ずっと好きな曲です。
ーーいつもはMy Hair is Badのボーカル&ギターという立場ですが、今回は弾き語りでのパフォーマンスでした。「歌」「ギター」という同じ武器でも、バンドと弾き語りでは音楽への向き合い方やリスナーへの届け方、自分の役割は変わると思いますか?
椎木:もちろん別物だと思って歌っていますが、歌っている人間が変わらないので好きに受け取ってもらって構わないです。でもMy Hair is Badの曲は3人で演奏しないと表現しきれないものなので、弾き語りだと不完全だな……とは思っています。
ーーこれまでの日本で行った配信ライブと、今回のパフォーマンスの違いをどのように考えていますか?
椎木:My Hair is Badで行った自分の地元の球場での配信ライブは、コロナ禍にコロナ禍でしか書けなかった新曲を含めて、あの鬱々とした気持ちとこれからまた光がさすような雰囲気をそのまま表現したライブだったように思います。
今回は椎木知仁として、急に海外に行って、まさかのアビーロードで、なんでかオリジナル曲を歌ってるという誰も想像しなかったことが独特の緊張感とともに映像化されています。本当に行ったの?という気持ちも相まって少し現実味のない配信になっているかもしれません。