現行機でよみがえった『ポケモンスタジアム金銀』 “ポケスタ”はなぜ人を魅了し続けるのか

“ポケスタ”はなぜ人を魅了し続けるのか

支持の理由は画期性に? 第3作で昇華された「ポケモンスタジアム」の新しさ

リアルな表現はゲームボーイの本編では実現できなかった
リアルな表現はゲームボーイの本編では実現できなかった

 なぜ「ポケモンスタジアム」は、これほどまでに支持されるのだろうか。その理由は、同シリーズに盛り込まれた画期性にある。

 現在では、ナンバリングタイトルの1要素として定着した「リアルな表現によるポケモンバトル」だが、当時はシリーズ本編がゲームボーイで発表されていた時代。白黒の画面かつ平面的なグラフィック性能では、実現したくてもできないテーマだった。

 本来、「ポケットモンスター」が分類される育成系ゲームは、自身が選んで育てるキャラクターへの愛着がつきもののジャンルだ。ナンバリングが成功した背景にも、そうした要素からくる影響が少なからずあったように思う。その意味において、「ポケモンスタジアム」が実現したポケモンバトルは、シリーズ本編がヒットした理由の延長上にある。この点こそが「ポケモンスタジアム」が支持されてきた理由のひとつなのではないだろうか。

第1作では使用できるポケモンが限られていたが、第2作では軌道修正がなされた
第1作では使用できるポケモンが限られていたが、第2作では軌道修正がなされた

 一方、第1作『ポケモンスタジアム』が発売されたタイミングでは、対応する『ポケットモンスター 赤・緑』『ポケットモンスター 青』『ポケットモンスター ピカチュウ』に登場する151匹のポケモンのうち、40匹しか使用できず、残りの100匹以上は能力とモデリングを眺めることしかできなかった。そのせいもあり、シリーズが誕生した当初は、寄せられていた期待とは裏腹にファンを満足させられる作品となっていなかった実態もある。

 こうした経緯を踏まえ、翌年に発売された第2作『ポケモンスタジアム2』では、151匹すべてのポケモンが使用可能となった。「ポケモンスタジアム」がシリーズとして評価されているのは、同作での軌道修正があったからにほかならない。

 さらに続く『ポケモンスタジアム金銀』では、第2世代のナンバリングである『ポケットモンスター 金・銀』『ポケットモンスター クリスタルバージョン』に対応。使用できるポケモンの数は、両作に登場する251匹まで増え、さらなる支持を獲得することになった。もちろんそこには、第1作の課題でもあったゲームバランスに対するテコ入れ、システムの拡張、演出機能の向上などによる影響もあっただろう。このようにして『ポケモンスタジアム金銀』は、シリーズ最高傑作と呼ばれる作品となっていった。

「ポケモンスタジアム」はポケモンバトルのコンセプトを確立した
「ポケモンスタジアム」はポケモンバトルのコンセプトを確立した

 「ポケモンスタジアム」の魅力となっている「手塩にかけて育てた相棒たちとともに、相手のトレーナー・ポケモンに立ち向かうこと」は、プレイヤーにとって「ポケットモンスター」の世界観そのものである。いまでは当たり前となっている「リアルな表現によるポケモンバトル」。そのコンセプトを2000年以前の時点で確立していたのが、「ポケモンスタジアム」シリーズだった。

 過去執筆した記事でも再三再四述べているが、往年の名作タイトルの復刻には、文化的に大きな意義・価値がある。グラフィックが20年以上前のクオリティであること、Nintendo Switch Online +に加入しなければ遊べないことなど、目を瞑らなくてはいけない部分もある今回の復刻だが、「リアルな表現によるポケモンバトル」が当たり前となった時代であるからこそ、その礎となった『ポケモンスタジアム金銀』に触れ、当時を回顧するのもよいのではないだろうか。

 動画プラットフォーム上には、復刻された同作を実況・配信するプレイヤー・ファンの姿がすでに多数ある。彼らが発信するコンテンツからも、ぜひその画期性を感じてほしい。

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